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553 文庫鼻=高知市春野町甲殿(高知県)iPadの届く日に文庫への想いやらなんやら [岬めぐり]

 今日、2010年5月28日は、iPadが届く日である。アプリの方は本格的にはまだこれからなので、届いたらまずは手始めに青空文庫などの作品を大量にダウンロードして、いつでも読めるようにしてみようか。それとも、実は同姓であるという誼で、朝日新聞で紹介されていた京極夏彦作品を買って読むか。iPhoneでもいろいろやっているが、i文庫、豊平文庫のようなリーダーが、どうiPadで読めるのか、ただ大きくなるだけではなかろう。楽しみである。
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 そして、まったくうまい具合に、今日の岬はおあつらえむきの「文庫鼻」。この出っ張りにどうしてこんな名前がついたのか、それがわからない。その名前にはどんな意味があるのか、高知へ着いた日にここを訪れるつもりだった。それが果たせず計画を変更せざるを得なかったので、バスはここを通らず、仁淀川の西を抜けて宇佐に行ってしまった。
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 そのため、文庫鼻は浦戸からの遠望になった。長浜という長い浜がほぼまっすぐ延び、それが山に当たった先が文庫鼻で、高知市春野町甲殿と春野町仁ノの境にあたる。この付近の地形も、なかなか興味深い。岬の東の甲殿側は袋のように閉じ込められているし、西の仁ノ側は入江と湿地帯が広がり、その奥の山懐に仁崎という地名がある。
 それは、地図を見ているだけで、ここが仁淀川の河口の小さな湾になっていて、かつての岬が集落になっていると想像できる。文庫鼻の東は岬のわずかな出っ張りを利用した船溜まりになっていて、道路は短いトンネルでそこを抜けている。
 計画では、できれば五色台の牧野植物園にも行くつもりだったのだが、それも次の機会に譲らざるを得ない。『牧野植物図鑑』は、その見事さに魅かれて買ってしまったが、青空文庫で読んでいた牧野富太郎の『植物知識』には、あっと思わされたものだ。なにしろ、いきなり「花は、率直にいえば生殖器である。」で始まるのだ。
 言われてみれば、そのとおりであるが、先生ちょっと率直過ぎます。日々花を丹精して育てているガーデナーや、その写真をしきりに撮ってはブログに載せているブロガーのみなさん、そんなことを考えたことありますか。
 青空文庫などのうれしい点は、書店では買えない古い著作権切れの作品が、タダで読み放題…ということである。わざに本を買ってまでは読まないようなものが、たくさん読める。
 高知で少年時代を過ごした寺田寅彦の、『土佐の地名』という作品には、この付近の地名がいろいろ出てくる。アイヌ語源(アイヌがここに住んでいたということではなく)だが、前項の最後で触れた種崎は「長い砂嘴」、甲殿は「コタン」、仁淀は「樹木豊富」、そして土佐は「ツサ=袖」の意があり、土佐の海岸のどこに立っても陸地が袖を広げたように広がっているので、『この附会は附会として興味がある』と書いている。
 同時に寅彦さんは、この小文の書き出しで、『地名には意味の分らないのが多い。これはむしろ当然の事である。』と書いていて、でんでんむしを安心させてくれる。
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 文庫鼻の向うの丘の上に白い建物が見えるが、そこが今回の高知シリーズの初日の宿だった。その先端、白ノ鼻の遠くにかすむ山並みは足摺岬の半島である。足摺は「アツイ=海、ツリ=突出」だそうだ。
 でんでんむしが中学生になってわずかなお小遣いで最初に買った本は、岩波文庫の★ひとつ40円の本であった。中身はなんであれ、40円で本が買えることがうれしくて買っていた。文庫にはそういう喜びもある。
 So-netであまりMacintoshやAppleのことを書くのは、シカト覚悟の勇気もいる。なにしろ、このブログへの訪問者のうち、MacOS Xの人はわずか2%にも満たないのだ。が、もともとひきこもりは自ら望んでシカトされているようなものだから、いまさら関係ない。
 「ソニー、KDDI、朝日新聞 アイパッドに対抗 電子書籍新会社7月設立」というニュースも、今朝のネットで流れたが、偏向の強いサンケイ系列ばかりなので、なにかの思惑含みの記事なのだろう(と気を回し過ぎたが、他のメディアも遅れて続いた)。でんでんむしに言わせれば、もはやこうした囲い込み競争の時代ではないはずなのに、今頃になって相変わらず周回遅れの戦略しか立てられないのが情けない。SONYが欧米でリーダーを出すときに、同時に日本でも出していれば、買ったかも知れないし…。
 そもそもでんでんむしのコンピュータ(のようなもの)への想いは、いちばん安い岩波文庫を買っていた頃に芽生えていた。それから、一貫して夢見てきたことの多くは、残念ながらSONYではなくてAppleによって、少しずつ実現されてきたのは事実である。いや、まてよ。あの3.5インチのFD。あれとドライブは、確かMacintosh用にSONYが初めて出したものだった。今、あの大量に溜まったFDを、これからどう処分するか、困っている。東京都中央区では、“燃えるごみ”でいいのだそうだが…。
 そして、今日届くiPadは、でんでんむしの見果てぬ夢のひとつの到達点といえるかも知れないと、自分では位置づけられる。それは、初めてBASICマイコンにふれたとき、初めて日本とわが家にMacintosh128kがやってきたとき、初めてかな漢字変換ができるようになったとき、初めて通信ができたとき、初めてページ編集で文庫判の印刷物をつくったとき…と、長い歴史の末なのだから。
 牧野さんは『植物知識』で、リンゴの食べている部分は実ではなく花托であり、明治とともに西洋から日本に伝わったApple西洋リンゴを、「林檎」と呼ぶのは当を得たものではない、とも書いている。
 近頃では、もはや誰も言わなくなったので、あえて書いておくと、Macintoshも北米産の小ぶりなリンゴの種類名である。
▼国土地理院 「地理院地図」
33度28分6.03秒 133度30分12.06秒
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dendenmushi.gif四国地方(2010/01/25 訪問)

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