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547 叶崎=土佐清水市大津(高知県)願いが叶うとき…それはいつ? [岬めぐり]

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 城ノ岬から南西方向に向かう321号線には、長さ1キロ前後のトンネルが断続的に4つも並んである。トンネルとトンネルの間には、判で押したように、川が流れていて、橋があり、橋を渡るところに集落があり、船溜まりがある。これも、日本の海岸線に多い、特徴のひとつである。
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 3つ目の貝ノ川トンネルを抜けると、そこは大津で、前方に灯台をちょこんと乗せた叶崎が眼前に飛び込んでくる。
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 もう陽が西に寄っているので、またシルエットの景色になってしまう。
 振り返れば、そこには足摺岬の大きな半島があるが、これも灯台を過ぎると視界からは消えてしまう。
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 叶崎もその下にはいくつもの大小の岩島が散らばり、そこには西ヶ森碆という名もある。灯台のある出っ張りの上には、山塊の急斜面が落ちてくる。
 国土地理院の地図には、その斜面の海岸寄りに「大津大橋」の表記があるが、これは川を渡る橋ではなく、321号線が大津の海岸と叶崎のあるところの高度差40メートルを結ぶ道路橋なのだ。山の急斜面には道を取り付ける余地もないので、山と海の間に橋を架けた。
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 山地が多く、どこまでいってもでこぼこの地形ばかりのこの国では、高速道路も新幹線も、いわば橋梁技術の進歩の上を走っているようなものだ。大地が揺れる自然の驚異は脅威となり、その技術もいかにも脆く、しばしば危うさを露呈してしまう。
 公共事業の闇や公共工事のムダはまったく別の問題としても、でんでんむしは単純に科学や技術の未来を信じており、限りない憧憬を抱いている。
 あれは高度成長も終わった頃だったろうか。ある大手ゼネコンが、“地図に残る仕事”というキャッチコピーを広告で使い始めたのが、印象に残っていた。
 そうか。地図に残る仕事…か。ZENRINを使っているMapionやYahoo!の地図では、たいていのものは残らないが、本四架橋のような大物でなくとも、この大津大橋も、叶崎灯台も、トンネルも、321号線も、そうには違いない。
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 そのフレーズの響きには、リクルート向きの夢と希望とロマンにあふれる清新なイメージを、受け取る側に勝手に連想させてしまうものがある。こういう言葉に魔法をかけて駆使するのが、広告屋の真骨頂なのだろうが、それが必ずしも広告主の実態を写したものでもなく、コピーと実際の仕事と会社が高邁な理想によって動くこととは、なんの関係もないことが問題なのだろう。
 一方で、最近流行りの“コンクリートから人へ”というキャッチにも、その抽象性のゆえに、まったく同じような問題があるのではないだろうか。
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 一昨日のことだが、ある人との話で“そうだった”と思うことがあった。
 「イノベーション」という言葉は、一般には単に“技術革新”と捉えられているが、シュンペーターが唱えたのは経済全般、生産、技術、資源、消費、産業構造などをも含む、極めて広範囲にわたる広義な概念であり、その底辺にある発想は、「新たなる結合による新機軸」ということであったはずではなかったか。
 いまとなっては、“地図に残る仕事”も“コンクリートから人へ”も、ひとつの新たなイノベーションの大きな課題として、新たな概念でこの国の地図をどう描いていくかを総合的に見直し考え直していかなければならないのであろうが…。
 日本は世界に冠たる技術をもちながら、近年では中国や韓国にも後れを取っているような傾向がある。
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 新たなる結合は、いつになったら、どこで、どのようにうまれるのか。それによってはじめて多くの日本人の願いが、その一部でも叶うことになる…のかもしれない。

▼国土地理院 「地理院地図」
32度44分54.47秒 132度48分7.91秒
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dendenmushi.gif四国地方(2010/01/24 訪問)

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