番外:竜串=土佐清水市竜串(高知県)足摺岬へ来た人の20%しかここまで来ない [番外]
今朝は、これを書く前に iPad の予約で忙しかったが、岬めぐりにそれをもっていって、現地でその日にすぐ書込みをしたいとは思っていない。やはり、こうして、帰ってきてしばらくしてから、あれこれ無駄話も入れながら書く方が、今のところスタイルとして安定している。
岬の名前や読み方については、いつも折りに触れて登場する問題であり、最近では「538 女城鼻=土佐清水市松尾(高知県)神社と監視哨とアコウと名前の読み方と…」でもふれたのだが、これが案外いいかげんで決め手がないことが多い。
「竜串」も同じくで、その名の由来には諸説あるものの、これというものがない。わが民族は名前についてはどうでもいいと思っているのではないか、とそこでも極端なことを書いたが、それも本心からではない。
ただ、地名に関してはそれがお上が決めて「そうせよ」と命じたものよりも、庶民の間で長い間に言い伝えられて徐々に定着してきたものが多いので、それを逐一記録する習慣がなかったことと相俟って、正確な伝承ができずにきたということも大きいだろう。
竜串の諸説につけ加えることが許されるならば、でんでんむしにも自説がある。それはやはりその地形からの想像だが、“竜の櫛”というのがもともとの意味ではなかったか。「櫛」は字画が多くて書きにくいから「串」の字をあてたのだ。
真面目な話、こういうことは過去にいくつも事例があるだろうし、現に今でも常用漢字に入れるか入れないかで、似たようなことを考えている。少なくとも、“竜を串刺したような”というのよりは、遙かに「櫛」のほうが妥当性があるのではないだろうか。「竜に髪があるのか?」といったツッコミはこのさい受付けない。
2000万年も前の地面のことを、ごちゃごちゃ言ってみても、今更始まらないんではないかと思う人が多いのか、地学的教材の宝庫という竜串までやってくる人は多くないらしい。
なにしろ、足摺岬にくる人10人のうち、竜串にくる人はたったの2人に過ぎないのだそうだ。これは、いわゆる観光ツアーなどを企画運営する旅行会社のせいであろうと、でんでんむしは思っている。
現在のツアーは、契約している観光施設の点と点を結びながら、ひたすら走り回るのをもって旨とするようなものがほとんどで、その計画からすると、同じ道を引返すのは極力避けたいと考えるのが普通である。土佐清水からまた西へ足を延ばすには、その先にまた点がつながっていなければならない。それに、どうせまた高知へ引返さなければならないのならば、わざわざ遠回りする理由はない。
そんなわけで、竜串まで来てもそこから先、宿毛に抜けるのはなかなか取りにくいコースになってしまう。これが須崎か四万十あたりにあれば、また事情は少し変わっただろう。
たとえ、足摺海底館があるとはいえ、ここまで連れてきたとしても、でこぼこの岩が続くだけの海岸の岩場をみても、多くの人はたいして感心しないのであろう。
竜串層の地学的な特徴は、砂岩・泥岩が波風の浸食作用で、無数の甌穴や丸い岩の玉を生み、波風のつくる紋がそのまま岩に化石となって刻まれた、複雑な地形と地層にある。この特徴は、松崎付近から千尋岬、この一帯にかけて広く展開している。
自然の景観を珍奇に思い、それをわざわざ訪れてみるという興味と習慣は、割と古くから日本人はもっていた。ここでも、大竹小竹、しぼり幕、らんま石、かぶと石、鯉の滝登りなどの名称が付けられているが、これも古い観光地によくある。
しかし、ほんとうのおもしろさは、もうちょっとだけ踏み込んだ、科学的な知識を理解しないと味わえない。感心したりおもしろがったりするところまでは、なかなかいかないのだ。
遊覧船を降りると、砥崎と叶崎を前後に遠く見ながら、竜串の岩場を急いで通り抜けながら、そんなことも思う。なぜ、急いでいるかといえば、次の宿毛行きのバスに乗るため、足摺海洋館前のバス停まで間に合うように到達しなければならないからだ。
ここでも、ハコモノはできているが、竜串の魅力を、日本人が潜在的にもっているはずの興味や好奇心に結びつけるソフトがないのだ。
だから、旅行会社も団体客も、吸引する力にはなっていない。
先週の土曜日の夜、実にひさしぶりにTBSの『日立 世界ふしぎ発見!』を観た。この春の番組改編以来かどうか、近頃だんだんNHK-BSの番組で見るものがなくなっていて、たまたまグランドサークルをやっていたチャンネルに止めた。この番組も以前はたまにみることもあったが、数年前から変な番組のつくりになってしまったうえ、竹内海南江さんがあまりでなくなったので見なくなっていた。それが、たまたまみたその回に出ていて、番組構成も元に戻っていた。
抽選で一日20人しか見学者を許可しない、“地上で一番美しい場所”というグランドサークル内のザ・ウェイブとは、もちろん比較することではないが、砂岩と泥岩の造形という共通点はある。竜串の写真を整理していると、そんなことも思い出した。
ここに来るのも二度目で、本来ならちゃんと一項目にしたいところだが、正式に岬としての名称はないので、番外なのだ。
▼国土地理院 「地理院地図」
32度47分11.10秒 132度51分56.68秒
四国地方(2010/01/24 訪問)
岬の名前や読み方については、いつも折りに触れて登場する問題であり、最近では「538 女城鼻=土佐清水市松尾(高知県)神社と監視哨とアコウと名前の読み方と…」でもふれたのだが、これが案外いいかげんで決め手がないことが多い。
「竜串」も同じくで、その名の由来には諸説あるものの、これというものがない。わが民族は名前についてはどうでもいいと思っているのではないか、とそこでも極端なことを書いたが、それも本心からではない。
ただ、地名に関してはそれがお上が決めて「そうせよ」と命じたものよりも、庶民の間で長い間に言い伝えられて徐々に定着してきたものが多いので、それを逐一記録する習慣がなかったことと相俟って、正確な伝承ができずにきたということも大きいだろう。
竜串の諸説につけ加えることが許されるならば、でんでんむしにも自説がある。それはやはりその地形からの想像だが、“竜の櫛”というのがもともとの意味ではなかったか。「櫛」は字画が多くて書きにくいから「串」の字をあてたのだ。
真面目な話、こういうことは過去にいくつも事例があるだろうし、現に今でも常用漢字に入れるか入れないかで、似たようなことを考えている。少なくとも、“竜を串刺したような”というのよりは、遙かに「櫛」のほうが妥当性があるのではないだろうか。「竜に髪があるのか?」といったツッコミはこのさい受付けない。
2000万年も前の地面のことを、ごちゃごちゃ言ってみても、今更始まらないんではないかと思う人が多いのか、地学的教材の宝庫という竜串までやってくる人は多くないらしい。
なにしろ、足摺岬にくる人10人のうち、竜串にくる人はたったの2人に過ぎないのだそうだ。これは、いわゆる観光ツアーなどを企画運営する旅行会社のせいであろうと、でんでんむしは思っている。
現在のツアーは、契約している観光施設の点と点を結びながら、ひたすら走り回るのをもって旨とするようなものがほとんどで、その計画からすると、同じ道を引返すのは極力避けたいと考えるのが普通である。土佐清水からまた西へ足を延ばすには、その先にまた点がつながっていなければならない。それに、どうせまた高知へ引返さなければならないのならば、わざわざ遠回りする理由はない。
そんなわけで、竜串まで来てもそこから先、宿毛に抜けるのはなかなか取りにくいコースになってしまう。これが須崎か四万十あたりにあれば、また事情は少し変わっただろう。
たとえ、足摺海底館があるとはいえ、ここまで連れてきたとしても、でこぼこの岩が続くだけの海岸の岩場をみても、多くの人はたいして感心しないのであろう。
竜串層の地学的な特徴は、砂岩・泥岩が波風の浸食作用で、無数の甌穴や丸い岩の玉を生み、波風のつくる紋がそのまま岩に化石となって刻まれた、複雑な地形と地層にある。この特徴は、松崎付近から千尋岬、この一帯にかけて広く展開している。
自然の景観を珍奇に思い、それをわざわざ訪れてみるという興味と習慣は、割と古くから日本人はもっていた。ここでも、大竹小竹、しぼり幕、らんま石、かぶと石、鯉の滝登りなどの名称が付けられているが、これも古い観光地によくある。
しかし、ほんとうのおもしろさは、もうちょっとだけ踏み込んだ、科学的な知識を理解しないと味わえない。感心したりおもしろがったりするところまでは、なかなかいかないのだ。
遊覧船を降りると、砥崎と叶崎を前後に遠く見ながら、竜串の岩場を急いで通り抜けながら、そんなことも思う。なぜ、急いでいるかといえば、次の宿毛行きのバスに乗るため、足摺海洋館前のバス停まで間に合うように到達しなければならないからだ。
ここでも、ハコモノはできているが、竜串の魅力を、日本人が潜在的にもっているはずの興味や好奇心に結びつけるソフトがないのだ。
だから、旅行会社も団体客も、吸引する力にはなっていない。
先週の土曜日の夜、実にひさしぶりにTBSの『日立 世界ふしぎ発見!』を観た。この春の番組改編以来かどうか、近頃だんだんNHK-BSの番組で見るものがなくなっていて、たまたまグランドサークルをやっていたチャンネルに止めた。この番組も以前はたまにみることもあったが、数年前から変な番組のつくりになってしまったうえ、竹内海南江さんがあまりでなくなったので見なくなっていた。それが、たまたまみたその回に出ていて、番組構成も元に戻っていた。
抽選で一日20人しか見学者を許可しない、“地上で一番美しい場所”というグランドサークル内のザ・ウェイブとは、もちろん比較することではないが、砂岩と泥岩の造形という共通点はある。竜串の写真を整理していると、そんなことも思い出した。
ここに来るのも二度目で、本来ならちゃんと一項目にしたいところだが、正式に岬としての名称はないので、番外なのだ。
▼国土地理院 「地理院地図」
32度47分11.10秒 132度51分56.68秒
四国地方(2010/01/24 訪問)
タグ:高知県
2010-05-10 06:01
きた!みた!印(13)
コメント(4)
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所々にある丸い岩が気になります。なぜこんなにも球なんだろう。
by miff (2010-05-11 17:12)
@miffさんはご自分のブログで、アナウンサーの「ゴーヤー」発音のことを書いておられましたが、でんでんむしも同じようにテレビに出てきてしゃべる人のしゃべり方に、いつも違和感をもつことがあります。
それはこれからシーズンを迎えるので、またそれを聞かされるのが、ユーウツになるのですが、「梅雨」のアクセントがおかしい、「つゅ」(「つ」にアクセントをおく)というしゃべり方です。
それはともかく、ね。丸いのがおもしろいでしょう。
三浦半島の海岸にも、こういう丸い石がたくさんあった海岸があるのです。そこでは子産み石と呼ばれていました。
ここ竜串のは、砂岩の中にしっかり埋め込まれていて、どうしてこうなるのでしょうね。
誰も、それを教えてくれないのです。
by dendenmushi (2010-05-12 06:23)
dendenmushiさんも球な岩の由来はご存知でないですか。ちょっと残念でした。でも不思議なものはずっと不思議なままでいいのかもです。
by miff (2010-05-12 18:31)
@そおなんです。わたしにもわからない。わからないのに、みんなへーきですましている。
そーいうことって、ものすごくたくさんありますね。
だれもおしえてくれないのは、りけーのひとのひょうげんりょくがふそくしているから、というわけではないのでしょうが…。
by dendenmushi (2010-05-14 06:24)