542 稲荷崎・窪津崎=土佐清水市津呂・窪津(高知県)♪ダバダバダ ダバダバダ… [岬めぐり]
足摺岬半島は山また山である。平地はほとんどないので、人家は海岸のところどろに固まっている。海岸は断崖が切れ目なく続いているので、半島をめぐる細い道も、だいたい50メートルくらいのところを走っている。
バスは土佐清水バスセンターを中継点にして、東海岸を回るのと西海岸を回るふたつのルートがあるが、半島の中央を縦断する広いバイパスもできていて、その道が今回泊まったホテル、足摺テルメのところにつながっている。
この日は、そのホテルの下から、朝一番の東回りのバスに乗って、土佐清水まで戻る。足摺から乗った高知南西交通中村行きバスの運転手さんは、「観光バスなどはみんなバイパスを通りますがね、山ばっかりの中を通るだけでおもしろくないですよ」という。こちらも、相づちを兼ねて前日通ってきた西海岸回りの隘路を、苦もなさげに走るドライバーの運転技術に感心したりした。
東側の海岸にも、稲荷崎と窪津崎というふたつの岬があるのだが、わざに降りるほどのこともないので、バスの車窓から見えればそれでいいと考えていた。
この日は土曜日だったのからか、まだ9時にもなっていない時間に、金剛福寺の前ではもうバスを降りた団体さんが、ガイドの旗を先頭に、歩いて万次郎の銅像のほうに向かうところだった。
天狗の鼻を過ぎ、道路が北へ向かうとますます道幅は狭くなり、同時に登り始める。木立の間の細い道を、お遍路さんが数人、金剛福寺をめざして歩いている。シャッターを押したが、ブレてしまい、さすがにここに掲げるわけにもいかない。けれども、こんなに朝早く、この場所を南に向かって歩いているというのは、この人たちは前夜はどこに泊まっていたのだろうと、またしてもどうでもいいことを考えてしまう。
これから稲荷崎の付近までは、バス道路は130メートルもの高いところを走る。自然、海からは遠く離れてしまう。稲荷崎へきたところでは、とうとう道は海岸から500メートル以上も内側を走っていた。
ざんねん! これでは稲荷崎は見えません。
そのだいぶ手前のあたりで、ちらりと見えたのをなぐさめとしよう。
稲荷崎があるところの小字名は「駄馬」。さらにその先の窪津には「柳駄馬」があり、さらにまた北の以布利には「伊予駄馬」があるのだ。これもおもしろい。
だって、駄馬は、いわば馬の蔑称のようなもの。乗馬用の馬と荷物を引く馬を差別するのはけしからんと、馬が思ったかどうかはわからないが、そんな地名がどうしてついたのだろう。
例によって、でんでんむし得意の憶測だが、足摺の半島の道は、この東海岸ルートが古くからのほとんど唯一の要路であったろう。とすれば、高い細い道を越えていくのに、荷馬車は欠かせない。そこで…、というのはどうだろうか。もっとも、この説もどの程度の交通量や輸送量があったかによるのだが…。
窪津崎では、道路は岬のそばを通るには通ったのだが、灯台の姿を探しているうちにあっという間に通り過ぎ、シャッター・チャンスを逃してしまったというお粗末。
窪津の港へ降りてきたところで、バスの中から振り返ってみたところ、ようやくその灯台が見えた。
でもまあ、窪津崎は蟻崎のところからも見たしね。いちおう、これでよしとしましょう。
▼国土地理院 「地理院地図」
32度45分41.11秒 133度1分0.85秒 32度47分12.82秒 133度0分6.32秒
四国地方(2010/01/24 訪問)
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