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541 天狗の鼻=土佐清水市足摺岬(高知県)足摺岬に“伝説”はあふれていて… [岬めぐり]

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 海面から高さ60〜70メートルくらいのところを遊歩道がめぐっていて、いわゆる照葉樹林帯の特徴を示す樹林のなかをくぐりながら、足摺岬から展望台を経て天狗の鼻を往来できる。
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 照葉樹の代表で最も身近にあり、誰でも知っているのがツバキであるが、ここにはブナ科のウバメガシも多く、ヤシ科のビロウの自生地もあるらしい。シロウトの悲しさで、これが備長炭の原材料になるウバメガシだと特定することもできない。情報ではなんとなく知っていても、実地にそれに触れたりする機会が少ないから、こういうことが多くなってしまうのは、なんとも情けない。情報社会は情けない社会なのか。
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 天狗の鼻からの眺めは、足摺岬を見るにもいいポイントなのだが、その間にある丸い展望台からは、両方が眺められる。
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 天狗だって、出るとこへ出れば、立派にあがめたて祀られる存在なのだが、室戸岬(003)には弘法大師が室戸の天狗を足摺に封じ込めたという話があり、それとの関連は不明ながら天狗の鼻には天狗がいて、役行者となにやら競い合いをしていた天狗が足を滑らせて崖から落ちたが故に足摺という名がついたとか、いろんな話がある。
 伝説は大切とはいいながら、伝説にも史料的な根拠のあるものもあれば、後世の眉唾もののつくり話に過ぎないようなものもある。つくられた作為的な伝説には、だいたいにおいてムリヤリなところが多くて、かえってその裏にある事象を見えにくくしてしまう傾向がある。
 伝説にも、いろいろあるので、ある程度はそれを見分けることも必要なのだが、残念ながら普通の人にはそういう方法をもてというほうがムリである。
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 でんでんむしとしては、天狗の鼻の命名は、もっと素直に、この岬の形状からついた自然な呼名のように思える。花崗岩の大きな固まりが細くとがりながら海へ向かって突き出している。その様子は、大天狗の鼻のように見えなくもない。
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 展望台から山のほうを見れば、山が滑り落ちてくるようで、その間に金剛福寺の塔が頭をのぞかせている。寺に近づいていくと、中浜万次郎の銅像が立っている。ちょんまげでもなく、刀も差していない銅像は、3つに分けて鋳造したのをくっつけたものか。ジョン万次郎については、536 遠見崎・長崎の項ですでにふれているので、ここでは省略。(ちょうど、この前の日曜日04/25、NHK大河ドラマの放送で、最後にくっついている5分の紀行番組で、中浜万次郎のことをとりあげて、その項に書いた内容と同じようなことをいってました。)
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 第三十八番札所金剛福寺にも、“七不思議”としてさまざまな伝説があふれかえっているようだ。
 北が山、南が海という立地条件は補陀落信仰に叶うものだという。補陀落についても、ちょっと思いはあるが、それはまあ、熊野方面に行ったときの話だろう。
 補陀落門を入った境内には、大きくて買えば高そうな巨石がごろごろしている。このお寺は、やはり明治の排仏毀釈のときには存亡の危機に追い込まれたのを、なんとか復興させ守り続けてきたという。
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 足摺岬の伝説には、もうひとつあって、それはこの地に巨石文化があったという説である。こうなると、もうすっかりトンデモ本のネタになってくるが、この半島の南部一帯には、巨石による多くの石組みがあるのだという。これがどうやら太古の遺跡ではないかと、土佐清水市も一時期は乗り気で調査をしているという話もあった。
 実は、昔からでんでんむしはエーリッヒ・フォン・デニケンの本を好んで読んでいて、グラハム・ハンコックも、デニケン後継として二番煎じ狙いとは、売れ筋のうまいとこへ眼をつけたじゃないかと思ったくらいなので、トンデモ本のネタもまるっきり嫌いではない。それもおもしろい。
 しかも、その論者が古田武彦氏である。古田氏といえば、一連の『邪馬臺国』ものや『東日流外三郡誌』で、ユニークな説を論じた人で、それらの本も始めの頃に出たものはだいたい読んでいたが、なかなかおもしろかった。
 ただ、もともと歴史学や考古学の専門外の人が、いくらいいところに着眼して書いても、学会は完全に無視して黙殺しようとするので、せいぜい評価されたとしても、“学問的研究に一石を投じた”程度で終わってしまう。それは、松本清張でも同じことであった。
 そのせいかどうか、古田氏が精彩を放っていたのは、はじめのうちで、徐々にグループやマニア・セクトの争いの危険地帯、地雷原のようなところに踏み込んでしまったようだ。
 その古田氏が、「足摺に古代大文明圏」という原稿を雑誌に発表したのは1993(平成5)年だったが、その頃にはもう氏の著作を追うことはやめて久しかった。
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 う〜ん、それにね、さすがにそこまではついていけないかもね。確かにこんなのもあるにはありますけど、いくらなんでも、そりゃムリだってば…。

▼国土地理院 「地理院地図」
32度43分36.50秒 133度1分18.16秒
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dendenmushi.gif四国地方(2010/01/23 訪問)

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タグ:高知県
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