539 スボノ口鼻=土佐清水市松尾・足摺岬(高知県)「ロ」ではなくて「口」ですから(祝:AlpsMAPの復活!?) [岬めぐり]
松尾は、平地も畑もほとんどないので、生活の糧は海に求めているのだろうが、ここから東へかけては、ほつぼつ観光地らしくホテルなども目立つようになり、スボノ口鼻の上にも白いホテルの建物がある。
一見すると迷わず「すぼのろはな」と読んでしまうが、国土地理院の「ウォッちず」には「くち」とルビをつけてくれている。確かに、こりゃルビがないと…。
この岬のある出っ張りは、女城鼻の何倍もあるうえに、高さも奥のいちばん高いところで50メートルを越えていて、ここが松尾と足摺岬の地域境界になっている。
波打ち際は、ここも例外なく岩礁と崖で囲まれていて、その東側にはもう少し周囲の立地条件さえよければ、立派な観光スポットになりそうな洞門が、黒い口をポッカリと開けている。だいぶ経ってから気がついたのだが、この岬の名前の由来は、まさしく“口をすぼめた”ようなこの洞門にあったのではないか。(「洞門」と書いていたが、よく考えると、ここのは穴であって突き抜けているわけではないので「門」ではない。)
足摺岬の近くにも白山洞門というのがあるが、周辺一帯の海岸で目につくのは「碆」と名のついた岩礁や小さな岩島である。
「碆」は、「ば」、「は」、「はえ」、「ばえ」とたくさんの変化を、その読み方にもつが、元もとは「矢じりの石」の意であるという。
これが多いのは、高知県南西部沿岸の特徴ともいえるが、とくに目立つのは須崎市の横浪半島周辺と、この足摺岬周辺である。「碆」については、511 白ノ鼻の項でもふれている。本項後段の地図の話も書いているので、参照していただければありがたい。
明神岬と女城鼻の間にもオドリ碆という岩島があったが、スボノ口鼻の東にもメンドリ碆という表記が地図に載っている。これは、雄鳥と雌鳥の対称を示しているのであろうか。
そのほかにも、黒碆、長碆、ススキ碆、ナミ碆、カジャ碆、ナガ碆、コウジ碆、新ヶ碆、白碆、ユスガ碆、松碆…と、東海岸の窪津にかけて、たくさんの碆が示されている。なかには、白碆、赤碆のように、小字名になっているものさえもある。
◆祝:AlpsMAPの復活!(岬めぐり標準地図は、excite.地図に)
こうしたこの地域の地形的な特徴は、当然地図にも反映されていなければ、地図ともいえないであろう。
4月から改変されたらしいYahoo! 地図は、それをまったく無視している点でもおおいに問題があるし、第一「足摺岬」の表示さえもまるっきりないのだから、洞門のように開いた口がふさがらない。(細かい縮尺は省略したというなら、大岐海岸の蟻崎付近では細かい縮尺まででるのに、足摺岬周辺では、下の地図以下には細かくならない。表示の統一基準も、そうとうバラバラである。途中経過、進行形だという言い訳はできるが、こういうことは全体がチェックされてから公開すべきであろう。)なので、蟻崎の項では、ネット地図では国土地理院以外はまともなものがひとつもなくなってしまった、と書いていた。
別に、Yahoo! 地図やZENRINに特別の遺恨があるわけではないのだが、みんながいちばん見るであろうメジャーなネット地図だからこそ、もっと地図を真面目に考えて、しっかりしてほしいという願いから、あえて苦言を呈している。
再々のことで「しつこいヤツだ」と思われながらも、こんなことでうるさく文句をいうのは、でんでんむしくらいのものだろうからと思って…。
それで、Yahoo! 地図が使えないなら、なんとかもう少し信頼できるネット地図はないものかと、前からなじみのあったexcite.(エキサイト)地図を、ひさしぶりに覗いてみた。そうしたら、これも前はYahoo! 地図に準拠していたのだが、どうやら最近それが変わったらしい。
なんと、ここではAlpsMapのデータが使われていて、(C)Mapionと表示され、「岬めぐりデータベース」をつくった頃の、昔懐かしい地図に戻っている。Mapion自体がZENRINになってしまったうえに、愛用していたALPSLAB baseがサービスを停止してしまった今、かつてはあちこちで見られたAlpsMapが、なくなってしまったと嘆いていたのだが、エキサイトで復活できたのは喜ばしい。
広告ウインドウがうるさくわずらわしい点は、エキサイトも商売だからなんとかがまんすることにしよう。この地図にも難点がないわけではないが、Yahoo! 地図のように岬の名前は恣意的に書いたり書かなかったりしていないし、海岸線も国土地理院にのっとっているので、安心できる。国土地理院を併用すれば、現在ではこれが最良のネット地図だ。
ところでねえ、いろいろ文句を言うのは勝手だが、ここはSo-netですぜ。そこでYahoo!やexciteのことばかりいうけど、So-netの地図はどうなんだい?
そうでした。以前に「ネット地図比較考」として、総ざらいをしたときにチェックして、そのときに選に漏れたキリで、それ以降見ていませんでしたねえ。では、改めて見てみましょう。So-netの地図は、こんな感じでした。
横長バイオの画面で見る人向けに、特化したのだろうか。おもしろいことに、So-net地図にはYahoo!のクレジットが入っていて、excire.地図にはMapionのクレジットがある。Yahoo!もMapionもどちらも、自分のもっていたデータをほかのプロバイダに提供して、自分の本体ではZENRINに切り替えている、ということになる。部外者には、まったく理解できないが、それにもまたいろんな理由があるのであろう。
さて、この日の宿はスボノ口鼻からは東に2キロちょっとのところにある、“国民宿舎足摺テルメ”である。
この宿は、山の上にあって、でんでんむしのようなマイカーでもレンタカーでもない人間にはいささか不便なのだが、なにしろ一人でも泊めてくれるうえに、その建物がなかなかユニークなので、それを見たかったのである。
32度43分45.98秒 132度59分22.75秒




YahooとMapionがAlpsMapをやめてしまったことに関して、何か情報がないかと思い、検索していたら、このHPに辿り着きました。
AlpsMapは、名古屋で愛された道路地図を長年出版していたアルプス社が、90年代に全国展開したもののネット時代に行き詰まり、手放した部門をYahooが合併したものでした。
名古屋出身者としては、慣れた地図がYahooに残って嬉しかったのですが、4月にネットから消えてしまい、がっかりです。
でんでんむしさんは、AlpsMapの海岸線の美しさを誉めてましたね。私は県道名やバス路線がきちんと入っているのが好きでした。
AlpsMapの部門は、今もYahooの一部門として残っているようですが、IT企業なので、今回の動きは部門売却の前兆な気がします。
買い手がなくて消滅ってことがないこと、願っています。
岬と無関係なコメントで、ごめんなさい。
by てと (2010-04-24 00:57)
@てと さん、「同憂の士」?がおられることがわかって、ちょっとほっとしました。ありがとうございました。
ほんとうに、近頃の企業や事業の売り買いや消長には、いつもやるせない思いがするのは、グローバル化とやらについていけない、古い日本人だからなのでしょうか。
でんでんむしも、最初は「Yahoo!とMapionがZENRINに切り替えた理由を知りたい」と書いていたのですが…。
てとさんも、まったく同じ疑問を感じておられて、調べようとしたとのこと。やっぱり、それは知りたいですよね。
でんでんむしは、AlpsMAPはネット地図のなかではいちばんちゃんとしている、まともな地図だと思っています。
海岸線だけでなく、てとさんのおっしゃるとおり、道路やバス路線の描き方、鉄道の駅名表示、地名の入れ方の統一性、すべてにわたって他に優れています。
それを拾ったYahoo!が、カンタンにそれを放り出して、改悪の方向に走るのは許せない…ですよね。
もともと拾ったものだから愛着もないし、地図を提供することに対する深い信念や洞察もないとしか思えません。ま、損得ばかりで動いてしまう世の中の象徴なのか…。
でんでんむしは、岬だけでなく地図もサブテーマとしていて、以前からこの問題にくいついているので、タグクラウドの「地図」でまとめてごらんいただければうれしいです。
もっとも、わかった人間同士が、「そうだそうだ!」といってみても、事態が改善されるかどうかはわからないのですが、ユーザーも、大いに文句を言うべきですよね。
by dendenmushi (2010-04-24 07:40)