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538 女城鼻=土佐清水市松尾(高知県)神社と監視哨とアコウと名前の読み方と… [岬めぐり]

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 女城鼻は、古くからの由緒もありげな松尾の集落の間を抜けて、南の海に向かう細い道の先にある。さて、これはナンと読むのか。地名の読み方問題も、突っ込めばキリがないうえに、これこそがもっと信頼できるという情報に行き着くのがまことに大変なので、これも深入りしないことにしている。
 だが、ここでは国土地理院と土佐清水市教育委員会と、どちらを“より信用するか”という問題になってしまった。
 国土地理院の「ウォッちず」では、「めじ」とわざわざふりがなをふってある。ところが、岬の先端にある旧陸軍の監視哨跡に教育委員会の立てた説明看板では、「めしろはな」とふりがながついている。
 さあて、困ったね。
 だいたいわが国では、地名の読み方には、こだわりがないというか、どうでもいいのか、非常におおらかなところがあって、読み方もひとつでないこともあり、地元での特殊な読み方も少なくない。しかも、あえてそれを統一しなければならんという圧力も、あまり強くはなかったようで、でんでんむしもムリに統一すべきとは思わない。だから、あまり詮索もしたくはない、ということもあるのだ。
 そういえば、ラジオ族(ほぼNHK-FM専門)のでんでんむしは、いつも気になっていることがある。自分の名前がどう読まれようと、それにもこだわりのない人があまりにも多いのだ。毎度毎度、「お名前にはふりがなを…」とお願いされているのに、平気でそれを無視して、いつもDJを困らせている人のいかに多いことか。ふりがなのないリクエストなど、無視すればいいのにね。でもまあ、それとこれとは直接関係がない?(脱線)
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 女城鼻の先端は、テーブル状の岩場が展開(最初の写真で、黒いカラスのように見えるのは、辛抱強い釣り人なので、その広さがわかる)していて、その前に水平線がゆるい弧を描いて広がっている。ジョン万次郎は、はからずもここから太平洋を越え、ホーン岬を回ってアメリカ東部へ渡った。戦争で敵となったアメリカは、この海を越えて、艦船で潜水艦で艦載機で爆撃機でやってきた。
 地続きの国境線がどこにもないわが国では、岬と海岸こそが、常に最前線であったのである。
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 ここに監視哨をつくるという発想は、実用的なというよりはもっぱら精神的なものであったろう。現に、教育委員会の看板には「空襲が激しくなり、小さな漁船さえ襲われるようになると海面近くに飛来する米軍機をここから小銃で狙撃したこともあった」とある。
 実際は、その程度であったろうと納得できる。
 この、ちっぽけな石組みの監視哨を見ていて、つい思い起こすのは、何度観たかわからない映画『史上最大の作戦』のドイツ軍が、ノルマンディの海岸につくったトーチカのことであった。もちろん、比較してどうこうというのではないのだが…。なんとなく、連想してしまった。
 しかし、教育委員会の看板は「当時のまゝ現存するこの種の監視哨は全国的にも珍しく、貴重な戦争遺跡と云われている。」と結ばれていた。
 平成20年という日付の看板は、比較的新しいものなのに、文言の表現からするとこの原稿の作者は、高齢の方であろうか。
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 看板といえば、ここにはまだ新しい看板がほかにもある。岬の神社といえば、だいたいは小さな祠とかわいらしい鳥居があるだけのものが多いのだが、結構大きい社殿がある女城神社の看板と、それと同時に掛けられたらしい同じつくりかたによる“石抱アコウ”の看板である。
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 ここ松尾の集落には、大きな古い木が生い茂っているが、そのなかには黒潮に乗って南方から流れ着いてここに根を下ろしたアコウの木も多い。アコウの木については、これまでも四国最西端である愛媛県の佐田岬に行ったとき、三崎のはずれで大きなアコウを見たし、和歌山県の産湯崎「遠き島より流れ寄るのはヤシの実のみにあらず」の項でもふれていたのだが、その分布は広く、あちこちにあるらしい。
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 アコウの自生地それ自体は、そうめずらしいものではないのかもしれないが、これは相当めずらしいでしょう、やっぱり…。
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 海岸よりだいぶ上のほうにあるのは、一見すると一本の大木のように見えるが、なんと三種類の成育状況の異なるアコウの気根がからまりあったものだそうで、これもめずらしいのかもしれない。
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 小さな港の上に続く緩斜面に家々が肩寄せ合って固まり、その間を路地と狭いバスが通る道路がうねっているこの集落には、アコウだけでなく、天満宮の回り舞台や旧家など、営々として続いてきた人々の暮らしの厚みを想像させるものが多く、ただの通りすがりのでんでんむしにも、なかなか魅力的に思える。
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▼国土地理院 「地理院地図」
32度43分49.88秒 132度59分1.74秒
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dendenmushi.gif四国地方(2010/01/23 訪問)

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タグ:高知県
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