497 大崎=日光市中宮祠(栃木県)日光の中禅寺湖にも岬はあるんです [岬めぐり]
関東近辺であれば、小学校の遠足や修学旅行で行くだろうから、日光には早くから馴染みがあるだろう。ところが、高校の修学旅行で初めて箱根を越え、そのときも久能山には行ったが日光まで行かなかったでんでんむしは、ケッコウというまでに随分と年月を要した。
結局、初日光は、齢30を前にして、ブルーノ・タウトの『日本美の再発見』を読んでからも、何年も経ってからのことになった。これは、日光東照宮についての先入観を、しっかり植えつけられてから、ということになる。
しかし、それは本を読んで影響されたというより、自分で興味を持って歴史を眺め、山岡荘八の『徳川家康』を経営の書としてではなく単なるエンターテインメントとして読み、自然に培われた徳川体制への理解による。その結果、タウトと同じ意見に達しただけのこと。
あのケバさは、権力が己の権威をこれでもかと見せつけよおうとする、なんともいえない臭いが先立って、どうにも素直に感心できぬものである。個々の職人の技術がどうであれ、その全体も細部も多くは、日本人の美意識とはおよそ異質のものであろう。
いろは坂を登って、明智平を過ぎると、二荒山神社の大鳥居が立つ湖畔に出る。中禅寺湖は、この七曲がりの坂と、華厳の滝と男体山をもつことによって、特別な湖となった。
関東に住むようになってから、湖畔の道も何度も通っているが、この湖の風景は、常に逆光の中にあった。
今回、初めて遊覧船に乗ることにした。というのも、レンタサイクルがあるのだが、ケータイがないと貸せないといわれてしまったので、湖の南岸を回ることはあきらめなければならなかったからだ。
紅葉のシーズンは、すでに最盛期をいささかはずれていたが、遊覧船はまだまだかき入れ時のようだ。船は桟橋を離れると、一路男体山の麓、二荒山神社中宮の前を西へ向かう。
その下の出っ張りが、北岸では唯一の岬、大崎である。ここも、地図では「なんでここが岬なの?」というような場所なのだが、実際に湖上から見ると、なかなかどうして、立派な岬なのだ。
岬とその名は、地図を見て探してつけたものではない。
湖の岬は、海の岬とはまた趣を異にする。
東照宮より遙かに古く、この男体山には神があった。それを祀るのが二荒山神社で、徳川はその立地を利用したに過ぎない。二荒山神社にしてみれば、庇を貸して母屋を乗っ取られたようなものだ。中宮祀は山頂と神橋(そういえば、この橋も「朱色」といっているが、実際は赤に近い。)がある本社の間にある社ということらしい。
▼国土地理院 「地理院地図」
36度44分26.24秒 139度28分58.34秒
関東地方(2009/10/28 再訪)
タグ:栃木県
うむ、中禅寺湖にものう。河口湖の例からして不思議とは言えぬが……などと思った途端にわかに妄想癖が発症。なれば、淡水の利根川や江戸川に岬があってもよからう。大利根崎、船方岬……こじつけの歌碑・句碑も建てれば出来上がりじゃ。
アイデアはいくらもある。富士見崎、鳰鳥岬、舟渡の鼻、菜の花の鼻、ローレライ崎、大曲の鼻、靴擦れ岬、老い人岬……こうなると、ワル乗りが止まらない。
ところで、かういふ場合の命名権・知的所有権は如何なってるでござるか。勝手に名前を付けたりすると前原大臣に咎められるか、はたまた器物損壊罪に問われるか。
by dotenoueno-okura (2009-11-10 11:58)
関東育ちではない私には、修学旅行で日光や箱根に行った記憶はありません。
大人になってから何度も日光に出かけ、光徳牧場で指をくるくる回してトンボを指の上に乗せてみたり (子どもの前で自慢げにやりましたが、それを見て子どもが同様にできたのには驚きました)、戦場ヶ原で小熊を見つけたり (木登りの速さに驚いた)……。
ところが、一度も中禅寺湖に入って遊覧船に乗ったことがない……。でんでんむしさんのブログのおかげで、私も中禅寺湖を初めて経験したような気がしました。
by 中宮寺薫 (2009-11-10 21:55)
@江戸川や利根川にも岬があってもいいじゃないか…。そういうdote…(長いので勝手に省略)さんの考えはよくわかります。
それで、でんでんむしも、一生懸命探してみたのです。
ところが、やっぱり湖にはあっても、川にはないんですね、これが。
河口が岬になっているという例は、いくつかありますけど。
前原大臣が何というかは知りませんが、勝手に岬の名前をつけても、それだけで罪に問われることはありません。
ただ、誰もそんな名前、使いませんからね。
でも、海の崎でも、最初はそうした個人的につけた勝手な呼び名が、だんだんと一般化していったというものがあるはずでしょうね。
by dendenmushi (2009-11-12 05:29)
@中宮寺さん、ここは中宮祀(ちゅうぐうし)ですね。そういう名前つながりでのおひさしぶりのご登場ですか。
やっぱり、そうですよね。西日本育ちの人間にとっては、日光は遠いですね。
中宮寺さんの書込みに啓発されて、今日はちょっと掟破りで湖の上のほうまで…。
そうですか、戦場ヶ原でクマと遭遇ですか。まあね、熊ぐらいいても当然ですが、子熊のそばには親がいますから、気をつけないと。
でんでんむしのお気に入りは、湯滝です。
by dendenmushi (2009-11-12 05:38)