495 安井崎=東津軽郡平内町大字東滝(青森県)取り残されて…夏泊半島 [岬めぐり]
青森県は、岬の数も多い。その理由は、ひとえに下北半島と津軽半島、そして夏泊半島と、3つもの半島を抱えているからである。東のむつ湾と西の青森湾を分ける夏泊半島自体は岬の数もそう多くないが、小さいながら地図上では存在感のある半島で、ここはすべて平内町に属している。
野辺地でほとんどの人が降りたが、そのまま青森まで行く列車に乗って、小湊までやってきた。
安井崎は、バスの往復で眺めるだけ。狭い道を曲がりくねりながら、結構なスピードで走るので、写真がほとんど撮れない。
灯台もあるのだが、これが内陸の道路のすぐそばにあって、木に覆われた道路を走るバスの窓からは、ちらりと白い胴体の一部が見える程度。これも灯台のある場所、位置としては、いささか異例のように思われる。
船溜まりの堤防を兼ねた岬は、かろうじてそれとわかる程度には見えたので、いちおうこれでよしとすることに。
平内町の中心は、東北本線の小湊駅周辺であるが、新幹線ができると取り残される組である。小湊には特急が停まらないので、すでに取り残されているようなものだ。特急に乗るには、隣の浅虫温泉まで行かなければならないが、そこはもう青森市。
調べたところ、夏泊半島を周回するバス路線はなく、ここから東海岸の東田沢までと西海岸の稲生まで往復する町民バスしかない。町営のバスだが、実際に走っているのは下北交通の車両と運転手で、要するに町が借り上げで運営している。運賃が100円均一というのがすばらしい。
これがなぜか東も西も途中までで切れているのも、なんとなく納得いかないが、今回は東海岸のみ。
そのバスが来るまで時間があるので、駅の北側の丘の上にある図書館に寄ってみた。大きな木が茂っているところをみると、この丘は城跡かなにかだったのではないか…。
そう考えて帰ってきて調べようとしてみたが、ホタテと椿山と白鳥と高橋竹山しか町のホームページでは触れていない。あちこち見ても、歴史のレの字も出てこない。かくも歴史に淡泊な地域もめずらしい。
津軽と南部の境界に近いこの辺りは、大きな歴史の流れからは取り残されてきたのだろうか。
ということは、ここでは大きな争乱に巻き込まれることもなく、比較的平穏に長い時間が流れてきた、といってよいのだろうか。
小湊の駅を出たバスは、やがて大きな入江にさしかかる。この付近には、「雷電」と名のつくところが多いので、さては雷電為右衛門のゆかりの地かと思えば、そうでもない。雷電橋を渡りながら眺める車窓には、橋でつながった松島という小島がある。ここから東にかけての海岸は、「小湊のハクチョウおよびその渡来地」として、特別天然記念物に指定されている。
ハクチョウがいて、椿の赤い花が半島を覆う頃に、また改めて来たいものだが、今回は帰りの暗くなった駅のホームにあったこんなものでも…。(あれっ、このはく製があったのは浅虫温泉駅だったのか。わからなくなってしまった。)
40度57分39.33秒 140度58分53.16秒
東北地方(2009/09/10 訪問)
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