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494 弁天崎=下北郡風間浦村大字下風呂(青森県)真っ赤な鳥居と祠になにを託すか [岬めぐり]

 名前からすると、当然に弁天さんが祀られているのだろう。地図上の鳥居マーク表記があるのは、海に向かって突き出した小山で、岬の名はその先端の岩場にある。道路からすぐに、手すりがないと怖いような急な石段が上っている。猫の額ほどのその山上には、朱塗りのというよく使われる形容は使えない赤い鳥居と祠。
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 その裏から覗くと、小山の下が岩場になって延びている。これが、弁天崎の先端ということになる。
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 下の海岸の岩場の上にもまた、赤い鳥居と祠が、海岸の岩の上に鎮座している。山の上の弁天社の出張所かなにかなのか、それともまったく別のものなのか、それはわからない。
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 弁天様は、七福神のなかではただひとりの女性神で、音楽など芸能の神様ということになっているが、“銭洗弁天”のように財が貯まる金運の神様という極めて世俗的な象徴であることも多く、なかなか複雑な存在である。
 これが岬の名前になっているところは、「弁天崎」が23件(名前の多い順では6位)だが、ほかに「弁天岬」というのも11件あるので、これを合わせると、弁天勢力は日本全国の岬・崎・鼻の名前では、4番目に多いことになる。(岬・崎・鼻データベース参照)
 あまたの神仏あるなかでは、観音様(岬・崎・鼻計で42件あり、黒崎に次ぐ第2位)に続く2番人気、ということになる。
 もともとのサンスクリット語の神は水にも関係のある神様とされているので、海辺にあってもおかしくはないが、元は川や池の淡水をイメージしていたのだろうから、それとは直接には関係がなさそうだ。
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 これが、漁師たち海に生活の糧を求める人々の信仰から祀られたものだとすれば、“財”のほうも大きな比重を占めていたのかも知れない。不知火の海岸の岬をめぐって歩いたとき、あちこちの港で鯛を抱えた大黒様を見たので、そのほうがニーズに合っていて、現世利益のポイントが明確で効果も大きなようにも思えるのではあるが…。
 弁天崎の南には、前日は雨の中だった甲崎の北側が見える。
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 弁天崎からバスでJR大湊線の下北駅に着いて(バスの終点は、なぜか駅とはかなり離れたところにある)みると、人でごった返している。こんなに大勢の人を見るのは、ひさしぶりのような気がした。これでは野辺地まで出るのに立って行くことになるかも知れん。それもしんどいので、大湊まで行って、そこで折り返すことにした。同じように考える人も多いらしく、JRもそれは織り込み済み。大湊駅では、いったん改札を出て列の後ろに並ばなくてはならない。
 それでも、作戦は功を奏して座席は確保できた。小学生の団体やら、外国人のグループまでいて、超満員の2両編成列車は、一直線の線路をひたすら南下する。
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 こんなに人が多いのは、列車の本数が少ないこともあるが、JR東日本の「3日間乗り放題切符」の客が相当数いると考えてもよかろう。
 でんでんむしも、これを岬めぐりに最大限活用しているわけだが、これは「3日」という制限と、使える期間も限定されているところがミソなのだろう。だから、その期間には、東日本エリアは(でんでんむしのような)ヒマな中高年の旅行客で溢れるのだ。
 それにしても、この大湊線の沿線風景は、いつ来てみてもほとんど変わらないような気がする。

▼国土地理院 「地理院地図」
41度27分54.93秒 141度6分23.82秒
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dendenmushi.gif東北地方(2009/09/10 訪問)

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タグ:青森県
きた!みた!印(8)  コメント(9)  トラックバック(0) 
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きた!みた!印 8

コメント 9

dotenoueno-okura

なるほど、弁天様といふのもなかなかの勢力でござるなあ。たしかにあれは芸能・音楽担当だが、拙者にもむしろ“水”との関わりが印象深い。もともと海に無縁ゆえでもあるが、真っ先に連想するのが井の頭(公園)のそれであり、弁天池はほかにもいくつか思い当たる。淡水ではないが「小便するな」の鳥居もよく見かけるでのう。
鳥居の色の相違には、何ぞ深い意味があるやうに思われる。朱色が主流と思っておったが、たしかに赤もめずらしくない。宗派・流儀によるのか地域的なものか、この分布・使い分けを調査・分析すれば文化功労賞ものの発見があるやもしれぬ。
鄙びた光景を目の保養と見ておったところ、かやうな地にも「人でごった返している」とは驚き。ひょっとして江戸川の土手のほうが閑静かもなどと……それはともかく「いつ来てみてもほとんど変わらない」光景といふのが、すばらしく貴重なものに思われる次第でござる。
by dotenoueno-okura (2009-11-06 07:49) 

dendenmushi

@そう、弁天池とか、池のそばや池の中の小島に弁天さんって多いですよね。だから、それと同じ趣旨で海にあるわけではなくて、池と海は弁天の意味と由来も違うのではないだろうか、と想像してみたのですけどね。
人でごった返しているところは写真に撮らないで、ホームへも一番乗りで行って、誰もいないところを撮りました。
鳥居と社の色も、こちとらは宮島の大鳥居とか、海に浮かぶ朱色の社殿でおなじみなもんですから、ついそういう先入観がある。京都辺りまでは赤ではなくて朱だと思うんですがね。
by dendenmushi (2009-11-08 05:18) 

pirorine

#コメント投稿エラーかも知れないので再稿します

初めまして。
全国の港などを巡ってらっしゃるとのことでお伺いしたいことがあります。

私は現在、海岸で撮られた写真の場所を探しています。
その候補に青森がありまして、その写真の場所をご存知ないかと思いましてコメントいたしました。
一度URLをご覧いただけないでしょうか?

青森以外でも結構ですので似ているなどの情報がありましたら下記までご連絡いただきたいです。
・pirorine55@gmail.com宛のメールを頂く
・私のブログへのコメントを頂く

お手数ですが是非ご協力をお願いします。

by pirorine (2010-10-26 02:04) 

dendenmushi

@pirorineさん、興味深いコメントありがとうございました。別に港をめぐっているわけではなく、岬めぐりがメインなのですが、写真を拝見するとそれこそご提示いただいた問題が岬そのものですね。
 う〜ん、こりゃ血が騒ぐワイ!
 …とはいうものの、これまでの経験では人様が撮られた写真の場所を特定するのは、そう簡単なことでもないのです。
 でんでんむしが岬めぐりで行ったことのある場所であれば、なんらか手がかりが得られるかも知れませんが…。
 少しお時間をいただければ、調べてみて、なんらかご指定のブログページにご報告をさせていただきたいと思います。
 そうですね、どうみても神奈川県ではないと思いますが…。
by dendenmushi (2010-10-26 08:14) 

pirorine

dendenmushi さん、ありがとうございます。
港ではなく岬ですね、大変失礼しました。

岬までの距離や奥の陸地の長さなど写真からはなかなか図れないとは思いますが、ご協力に感謝いたします。
それにしても写真を見ただけで神奈川県ではなさそうとのお言葉、スゴイですね。頼りにさせていただきます。
お手すきの時で構いませんので情報をお待ちしております。

by pirorine (2010-10-26 13:17) 

dendenmushi

@ちょっと安請け合いしてしまったかもしれませんね。自分が撮った写真でさえどこだったかわからないこともあるくらいで、なかなか、大変そうです。
 だいたい、岬の写真というのはどれも似たようなものだし、おっしゃるとおり3D的なところはすべて想像で補わなければならないことが多いし…。
 それにこの写真の場合、ヒントになるものがほとんど写っていない(逆にいうとそれがヒントか)し。
 「おいらせ」というヒントもあるということらしいので、青森県を調べてみましたが、期待した場所とは違ったようです。そう簡単にはいきそうにないですが、すでに行ったところで該当するものがないかどうか、もう少し調べてみます。
 ほんとに、気〜長〜に待ってください。
 pirorineさんも、どうぞ、その場所と人とのつながりを推理する旅に、ゆったりと漂ってみるくらいのお気持ちで…。
by dendenmushi (2010-10-28 07:04) 

pirorine

dendenmushi さん、調べてくださってありがとうございます。

やはり写真2枚程度でその他の情報が少ないので特定が難しいですね。太陽の位置・角度、雲の種類、草木の状態などからもうちょっと場所を絞り込んでいくつもりです。
この場所探しはライフワークにして今後もゆっくりと探してみるつもりです。まずは青森県の海岸沿いを巡るなんてことも企画中です。

dendenmushi さんからの情報はこれからも気長に待っています。
岬めぐりをされた際にこんな場所を探してる人間がいたなぁ程度に覚えていていただければありがたいです。

by pirorine (2010-11-04 23:23) 

dendenmushi

@この2枚の写真は同じ場所から撮ったものだとすると、太陽が右手の低いところから差していますから、これが朝日だとすると、北向きの海岸になります。
 逆に、これを夕日だとすると、南向きの海岸になります。
 ずっと、青森から東北の海岸、関東の海岸、静岡・東海の海岸までは見てみたのですが、どうもピンとくる場所がない…。
 砂浜の距離からみても、そう小さな半島などではありません。人家などもほとんど写らない場所など、首都圏大都市周辺では、まずあり得ない…。
 砂浜といえば、砂が黒っぽいですね。そう思って、どこが砂が黒かっただろうかと思い出して、心当たりをまた見たりしています。
 まだ、pirorineさんのページに書き込むほどのこと、手がかりは得られないので、それらしきものがわかったら、書かせていただきます。
 それと、昨夜、写真を見ていて新発見!
 道路の行く手をよく見ると、この道はトンネルに消えているのです。しかも、トンネルの穴は、ひとつじゃない?
by dendenmushi (2010-11-05 05:46) 

pirorine

でんでんむしさん、いろいろ調べていただいてありがとうございます。

太陽の位置を調べてみましたが水平線から35度程度だとみています。その場合、11月や3月の昼ぐらいの時間でも太陽がこの角度にあるのでその場合は東向きも考えられるかと思います。
(35度という角度は目測なのでちょっと怪しいですが・・・)

また道路の行く手はトンネル?!ですか。気づきませんでした。確かに正面の道が切れてるように見えますが曲がっているか木に隠れてる程度に思ってました。ありがとうございます!
1枚目は複数の陸地からなっているように見えます。
手前左側と右側に小さい山や岬のような陸地があり、その奥に同じぐらいの高さの陸地(鉄塔のようなものがある)が見えるのでトンネルの可能性はありましたね。。。

by pirorine (2010-11-05 13:56) 

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