483 大崎=むつ市大畑町(青森県)ウニはなぜアノ薄い木の箱に入っているのだろうか [岬めぐり]
南側遠くの空はまだ青いのに、北からは黒雲が厚くなり、佐助川の辺りを歩いているときから、雨が落ち始めた。
細長い集落を抜け、279号線に合流するところから峠になり、これが海に向かって大崎となる。この峠の展望台のようなところにも、赤川台という石碑や掲示案内板があるが、これはこの上に下北自然の家というものができているので、それらと連動した開発の結果なのだろう。
これと、前項で述べた木野部海岸の住民合意型海岸事業が、他からの注目も集めるモデル事業という側面をもっていたので、おそらくはお偉方や視察者が大勢やってきた、そんな時期もあったに違いない。そうした経緯から、この周辺だけが観光地並みに説明板などの整備も推進されてきた、と考えれば辻褄が合う。。
この展望台兼駐車場の下あたり、大崎の東海岸は、ちぢり浜という岩礁地帯で、これも古い浜の様子を示すものなのか。赤川村に降りるところで、雨が本降りになる。
大きな固まりが押し出されて、途中で折れたような巨岩やポットボウルの大崎も、傘を腕ではさみながら撮っていたので、ブレてしまった。
赤川には、小赤川と大赤川という二本の川が流れている。付近の地質の影響で、確かに赤い。大赤川がむつ市大畑町と風間浦村大字下風呂との境界になっている。
境界を越えたところで、雨がますますひどくなってきたので、公民館のような集会所のような建物の軒先を借りて雨宿りをする。
少し大きな町だと、必ず近所のどこかになにか店があって、こういうときにも一休みもできるのだが、地方へ行くとそんなことは期待もできない。
後から考えてみると、六ヶ所村から大間、大湊、夏泊を歩いている間、結局そんな店は一軒もなかったことになる。
少し待って、また歩き出すが、時間も時間だし、雨の中をこれ以上びしょぬれになって歩くのもどうかと思うので、予定を変更してバスで大間へ向かうほうがいいだろう。
279号線の道路沿いに、ひと流れだけの甲という集落があり、ここでバス停を探すがどこにも見当たらない。
例によって人など歩いていないので、たまたま工場の中で作業をしている人影をみつけ、近寄って聞いてみた。まだ若い主人のような人が出てきて、バス停はもっと先、あの辺りだと指さして教えてくれた。
この工場、なにやら木の切れ端のようなものが、たくさん積んである。こんなところで、何をつくる工場なのだろう。ついでに、それも聞いてみると、ウニの箱を作っているのだという。
なるほど。
なにがなるほどかわからないけど、そのときは「なるほど」と納得した。
礼を言って、まずは次のバスを確認するため、バス停へ。
しかし、これはもう一歩詰めが甘かった。最近、こういうことが多い。反省。
なぜ、ウニは木箱に入っているのか、それを尋ねてみるべきだった。
バス停は教えてもらった目印よりもさらに遠く、集落のはずれにあった。普通、バス停というものは、集落の中心にありそうなものだが…。
何度も言うようだが、でんでんむしは決して食通などではないので、こだわってはいないのだが、どうもウニもいまいちおいしいというものにあたらない。保存料にミョウバンを使っていて、その味がもろにでてしまうようなのを、平気で出すすし屋が多いのは、はなはだ気に入らない。
だから、だからね、高級なところで高価なものを食べているわけではないので、しかたがないといえばそれまでなのよ。
木箱も、保存と関係がありそうだが、木の匂いがウニに移るのでよくないという説も、一部にあるらしい。でも、そうなら、他の魚介類の運搬には、発泡スチロールやプラスチック類も多く使われているのに、なぜウニだけこんなに広く一般的に木箱が使われているのだろう。ま、形くずれしやすいウニだから、という想像はできるが…。
いずれにしても、当然のことながら、あのウニの箱をつくっている工場も、どこかになければならない。“駕篭に乗る人担ぐ人、そのまたわらじをつくる人”というわけである。
ウニは、コンブを食べて大きくなる。下北ではコンブもウニも減少しているようだが、ここでつくられた木箱には、来年の春、まだ冷たい北の海で獲れたウニが並べられる。
41度27分17.99秒 141度7分9.71秒
東北地方(2009/09/09 訪問)
大崎といふとすぐに連想するのは品川の手前、ほれソニーがある……いや、これは岬の話でござったか。
だが待てよ、大崎は既出。すでに何度か登場しておるではないか……と「データベース=その1」を見直すと、それも道理。全国に同名の岬が39もある。観音崎が35、黒崎にいたっては50! これでは紛らはしい。青森県で他との区別はつくとはいへ、県内に複数あるやもしれぬ。そもそも土地の人々が勝手に呼び慣はして自然発生的についた名であれば、さういふ事例があってもおかしくはない。
──だが市民に判りにくい上、当局としても整理がつかぬ。民主党としては岬の名称はもっと合理的・科学的にせねばならぬ。まず北海道を1として、以下各都道府県にそれぞれ番号を与え、時計回りの順に1-2、1-3とつける方式。または青森県1号岬、2号岬とするも一法。より徹底をはかるなら全国の岬に郵便番号システムを適用する。これなれば郵便配達にも旅人にも一目瞭然──といふやうな、小役人的考え方には拙者は断じて与する者ではござらん。
してまたウニでござるが、拙者は中村屋のウニせんべいが好物でござる。では御免。
by dotenoueno-okura (2009-10-14 07:13)
@山手線の大崎も、地図をよく見れば、案外その昔には大きな目立つ岬のような地形があったのかも知れませんね。
大崎は多いです。ただし、岬の名前としては、かなり工夫はない、手抜きですが、そういう名前をつけるにふさわしいほどには、周囲で目立つ岬であった、ということでしょう。
数字で番号を付けるというのは、整理には役立つけれども、決してそれが本質的なものではないですからね。
by dendenmushi (2009-10-15 05:00)