479 廻り崎=下北郡東通村大字尻屋(青森県)これも立派なコンブ漁なんですよ [岬めぐり]
廻り崎は、藤石崎よりもさらに一周り小さな出っ張りに過ぎない。ここも、岩島がなんとなく陸地と離れ難く、ムリヤリにでもくっついていくわょ…とでも言っているようだ。
太平洋の波が、絶えず押し寄せてはまた返す、こうしたちょっとの出っ張りも、流れてくるコンブを集め、岸に寄せて留め置くのに、多少は役に立っている。
廻り崎がつくる南側の湾曲部に、軽トラが2台停まっていて、数人の人が立ち働いている。男の人は波が打ち付ける波打ち際に浸かって、波に乗って寄せてくるコンブをとっていて、女の人は岸に打ち上げられたのを探したり集めたコンブを仕分けている。
コンブ漁は、船から竿で引き上げる本格的なものばかりでなく、こういう漁もあるのだ。昨日の泊漁港でもそうだったが、岬めぐりで北へ来ると、たとえわずかなコンブであっても、ていねいに並べて干している光景を、よく見かける。これには、解禁日とかも関係ないのだろうか。
ただし、シロウトがこれをマネしてコンブを拾い集めることは、禁じられているはずだ。日本中どこの海岸の岩場でも、コンブに限らずそういう漁協の注意書きの看板が立っている。
そこへ、上の道路から数人の観光客がどやどやとやってきた。通りがかりのマイクロバスか何かで観光中、ガイドか誰かに教えられて降りてきたものとみえる。
そのなかのひとりのおばさんが、こんなつまらんもん見てもしょうがないのに…というような意味のことを大きな声でブツブツ言っている。なんとか波の音がそれをかき消して、働いている人たちに届かないように、と願った。
一団はあっというまに引き上げていったが、物見遊山の観光気分は、えてして無責任で、ともすると地元で暮す人へのおもんばかりさえも忘れてしまいがちになる。
藤石崎と廻り崎の中間にあるトシトリ島のところでも、二人の老人がコンブを拾って集めていた。島の名前は歳をとっているが、島の形はまだ風浪にさらされながらも、若い頃のように鋭く尖っている。
少し高いところをめぐっている道路の内側付近一帯は、もう緑の下草だけが生えたでこぼこの連続で、寒立馬(かんだちめ)の領分なのだろう。その草原から出て、なにもないし危ない道路にわざに出てくるのは、馬もいくらか人恋しいのだろうか。
風が強いため、いずれも小さく丈も低くなって環境に順応しつつ、アザミ、ナデシコ、白い十字花のセンニンソウなどの花が咲いている。
花の名前も、一時期はしきりに気にしては、『牧野植物図鑑』など引っ張り出しては調べたりしていたのだが、近頃はそれもめんどくさいし、これもきりがない。そのうえ、シロウトなのでどこまでやっても判明しないことも多く、充足感もないので、自然にやめてしまった。
センニンソウは、北日本では、よく道端などに盛り上がるようにして咲いている花なのだが、その名前を知ったのは、最近nice!をつけてくださるようになった、“ほりけん”さんのページで、偶然にその写真を見て、あれがそうだったのかとわかったものである。
その草地のなかに、突然キノコが生えたりしているが、それは例外なく寒立馬の糞に生えたものだ。
ここから、先端の尻屋崎までは、指呼の間である。
41度25分32.25秒 141度27分51.70秒
東北地方(2009/09/09 再訪)
う、、馬がぁ。。。びっくりします。
自然な感じが素敵です。
by まるまる (2009-10-05 17:15)
半島尖端部の地図を見るだけで想像・妄想がふくらみますなあ。ただしこの青い空と海は
このところ雨つづきの江戸もんには違和感がござる。やはり、にぶ色にたれこめた雲と逆巻く波濤でなくてはのう。
昆布もいろいろだが、海の草・浜辺のゴミのやうなものが暮らしの糧となり“こぶ文化”をさえ形成した事実にまた、都会もんは畏敬の念すら覚えるのでござる。
つねづね拙者、観光客・旅行者の不遜と無神経が耐えがたく江戸もんたることを恥じる気持があるゆえ、この「おばあさんのブツブツ」には冷や汗が出る思いでな。貴でんでんむしうじの気づかいがよくわかるのでござる。
これはまた逞しくもどてっとした馬ですな。週末毎に見るサラブレッドとは大違い。しかしながら、これはこれで暮らしに益すると思えば美形に見えるから不思議。動物の糞が媒介となってじつにさまざまな植物が伝播していくと知って驚き、考えをあらためたのは恥ずかしながら50歳を過ぎてから……げに、都会もんてのはしやうがない。
by dotenoueno-okura (2009-10-06 08:03)
@まるまるさん、馬、ここでは顔中心に半分だけでしたが、今日の分にはまるまる全部、しかもたくさんいますよ。
ほんとに、自然にそこにいるという感じがいいです。
by dendenmushi (2009-10-07 05:15)
@いやあー、このい天気だからよかったのですよ。前の時には大変だったから…。
ほんとにね、コンブ文化というのはおもしろいものです。
こうしてみると、確かにサラブレッドは、全然違う生き物のように思えます。
by dendenmushi (2009-10-07 05:19)