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459 傍示ノ鼻=倉敷市玉島黒崎(岡山県)ワタリガニもシャコも境界にはこだわらない [岬めぐり]

 淺口市寄島町の中心は、空地も多い干拓地の端から北にかけての海岸に漁港を前にして固まっている。その干拓地との接点に、「早崎」という字地名がある。そこは50メートルほどの小山で端には神社がふたつも並んでいる。
 埋立て前、というより、ここはそのもっと前から海岸に市街地が延びていったようだが、昔にはここが立派な岬であった時代があり、その名残りが地名にだけ残ったということだろう。
 こういう名前の例は、日本全国にたくさんある。実は、この傍示ノ鼻のあるところも、「黒崎」という名をもち、この玉島地区のさらに先には「赤崎」や「勇崎」「阿賀崎」「小山崎」「高崎」もあるのだ。
 この付近は、かなり昔から、自然に海岸にできた入江や浅瀬など土地に手を加え、そこを陸地として使うという伝統があったのではないだろうか。
 そう思えば、笠岡の鋼管町、倉敷の玉島・水島、岡山や玉野の児島湾など、ここいらで他にも類例をみないほどの大規模に展開されてきた干拓事業さえもが、ある種の“先祖からうけついできた伝統のなせるワザ”なのかと思えてくる…。
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 寄島漁港のある辺りは、安倉というところで、そこを抜けて道が切れるところを、なおもフェンスに沿った狭い草の中の踏み跡を辿って、行止りまで行くと、寄島側からは、傍示ノ鼻にいちばん近づいたことになる。
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 そもそも「傍示」(ぼうじ)という名前からして想像がつく通り、ここが、淺口市と倉敷市の市境になっているのだ。それは、古くから“境界を示す立て札”ということを意味しているのだが、この言葉はあまり一般的に使われているわけではない。
 現在まで、何らかの形で「傍示」が残っているところは、河内国と大和国の境であった交野市が有名なくらいで、あとは山口県と島根県の境、京都府、千葉県、徳島県、島根県、愛知県、岡山県などに、山や峠や小さな集落の名として残っているに過ぎない。
 もちろん、岬の名でもここが唯一(のはず)である。
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 この写真を撮った場所はフェンスに囲まれ、例によって“関係者以外立入禁止”にもめげずに、その脇を突き進んできた淺口市の東端である。そのすぐ先の岩が海におちるところが境界で、傍示ノ鼻がる場所は、もう倉敷市になる。実のところ、現在の市境と傍示ノ鼻は、200メートルほど離れている。
 ほんとうは、この上の峠道を越え、南浦(なんぽ)の海岸に降りれば、この岬とその東の帆崎の両方が眺められたのだが、安倉のバス停で、新倉敷駅行きの時刻を見ると、そんなわけにもいかなかったのだ。
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 そこで、再び安倉の港に戻ってバスを待つが、この港に停泊している漁船に特徴があって、みんな、船尾に大きな網を立てている。
 どうやら、これは小型のトロール漁船のようだ。淺口市のホームページによると、カキやシャコやガザミが特産ということなので、カキは別にして底引きでシャコやガザミを獲っているのだろう。
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 あ、「ガザミ」ね。これはカニの種類ですよ。でんでんむしなど、広島では「ワタリガニ」といっておりました。ごちそうなので、年に何回も食べられなかったが…。それにしても、「もののなまえ」も不思議だ。沖縄の八重山で「ガザミ」といえば、「ヤシガニ」のことだ。

▼国土地理院 「地理院地図」
34度29分42.16秒 133度36分22.07秒
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dendenmushi.gif中国地方(2009/08/12 訪問)

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タグ:岡山県
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