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458 青佐鼻=浅口市寄島町(岡山県)海の見えない山陽本線駅の名前さえもが昔懐かし [岬めぐり]

 青佐鼻は、笠岡市と淺口市の境界をつくる標高250メートルの青佐山の南端にポコンと飛び出した岬である。岬を形成している丸い低い山は、77メートルの高さで、道路がその裾を巻いている。
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 手前の小さな漁港に接する浜辺では、海水浴客がちらほら。沖合にうっすらと見える島影は、笠岡市の北木島などの諸島であろう。一般に、岡山県の海岸では、すぐ目の前の島が香川県だったりするのだが、ここだけはかなり沖の島まで岡山県である。
 そこから、真っすぐに東へ延びるコンクリート護岸は、埋立てで、沖合の寄島(三郎島)とをつなげてしまった。これで、寄島新開という台形の広い埋立地ができている。
 「当時は、たいして考えもしなかったんでしょうね。なんでもかんでも持ってきて埋立ててしまったけど、今頃になって、有害物質が検出されたと、騒ぎになっていますよ」
 そういって、教えてくれたのは、タクシーの運転手さん。そのためかどうか、干拓地はほとんどが未利用の荒地になったままだ。と思ったら、畑や田んぼはないが、スポーツ施設やなにやかやができている。どうやら、当初の農地確保の干拓目的は、途中から変更されたらしい。そのおかげかどうかは知らないが、ここはいまでは絶滅危惧種のアツケシソウの自生地になっているようだから、人間のやることは時として皮肉な結果を招くものだ。aosahana05.gif
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 干拓でつながった島がもともとの寄島なのだが、最近ではその沖にお行儀よく3つ並んでいる三郎島の名が、この大きな全体の呼名になっているという。そもそも「寄島」の名は、神功皇后の三韓征伐の途中立寄ったというところからついた名だという伝説がある。こういうところは、熊本は芦北町の283 御立岬 と似ているのが、おもしろい。干満の差が大きい瀬戸内海ならではだが、この三つの岩島まで、干潮時には砂浜が出現し、歩いて行けるのだ。
 それで、思い出した。
 脱線ついでに書いておくと、先だってなんとなくつけていたテレビで川の岩の上から飛び込むこどもたちを映していた。それはいいのだが、ナレーションだかなんだかで「海ではこういうことができませんからね」という言葉が耳に障った。冗談じゃないですよ。海でも至るところ飛び込みはできますよ。海水浴場には、内海ではよく木のやぐらを組んで飛び込み台までつくられていた。これも、干潮時には用をなさないが、いったん満ち潮になると、泳ぎに自信のあるカッパで溢れたものだ。
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 話は少し戻って…。神島の排水機場で教えてもらったバス停で15分くらいも待つうちに、笠岡行きのバスがやってきた。その前のバスは何時間か前に通っていたので、排水機場前の廃止されたバス停標識の前で、なにも知らずにバカみたいに待っていた時間は、結局どこで待っても同じことだった、ということになる。
 バスは、再び来た道を戻って笠岡駅まで。
 ここから、山陽本線で二駅先の鴨方(かもがた)駅まで行く。さすがに山陽本線は、長い間待たされることもなく、上りの岡山行きがやってきた。
 大門、笠岡、里庄、鴨方、金光、倉敷、中庄、庭瀬、北長瀬、岡山と、駅は続く。さらに東へは瀬戸、万富、熊山、和気、吉永、三石までが岡山県だ。この付近は、すべて山の中を走る山陽本線からは、海は見えない。
 そんなことを考えていると、昔ラジオでよく聴いた新作落語を思い出す。確か題は「出札口」というのだったと思うが、落語家の名前は忘れてしまった。あれは下りだったが、行き先を忘れた客が、順番に東海道本線と山陽本線の駅名を駅員に言わせる、という話である。
 自分たちがいつもその付近をうろうろしていた、「…海田市、向洋、広島!。広島じゃないんですかぁ?…」というところにくると、妙にうれしくなる、不思議な落語であった。
 そんな落語も、今では聞くこともないのは、聞き手のイメージに頼るおもしろさでテレビには向かないのと、新幹線時代になったのと、両方であろう。
 里庄、鴨方、金光のどこで降りてもよかったのだが、真ん中の鴨方で降り、バスの便を確かめるが、40分も待たなくてはならない。駅前に客待ちをしている黄色いタクシーに乗り、寄島まで行ってもらう。
 ここがまた、平成の大合併の産物で、3年前に鴨方町、寄島町、金光町の三町が合併してできた淺口市である。市の名は、郡の名前をとった。西隣の里庄町だけがこの合併に加わらず、淺口郡ただひとつの町になって残った。
 この間、倉敷市や笠岡市との間で、綱引きもあり、かなりの曲折があったようだ。
 運転手さんに言わせると、「里庄町はね、工場なんかも多くて財政が豊なんで、税金も安いらしいですよ」という。
 でんでんむしが少年時代を過ごした、広島県安芸郡府中町がまさしくそうで、その頃からそんな話も聞いてはいたが、周囲をすっぽり広島市に囲まれたいまでも、安芸郡府中町のままである。
 府中町の場合は、東洋工業(現:マツダ)やキリンビールの広島工場などが大所であるが、里庄町にはどんな会社があるのか、運転手さんも具体名はあげなかった。気になったので帰って調べてみると、薬品会社やシャープの関連工場などがある。
 それよりも、意外だったのが、淺口市や里庄町では、昔からそうめんの産地だったというので、これは知らなかった。
 そうめんといえば揖保というイメージが強いが、宣伝費のかけ方で差が出たものか。
 そういえば、この付近には溜池が多い。四国の讃岐に負けないくらいである。川というものがほとんどないうえに、瀬戸内海気候というヤツで、雨が少ないのだ。
 したがって、そうめんにも向いているわけで…。

▼国土地理院 「地理院地図」
34度27分58.11秒 133度34分33.93秒
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dendenmushi.gif中国地方(2009/08/12 訪問)

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