454 北山崎＝下閉伊郡田野畑村北山（岩手県）日本の「Red Cliff」はここじゃぁ〜

　人名の姓では「山崎」は多いが、岬の名前ではあまりない。ここも、「北」の「山崎」ではなくて、「北山」の「崎」であって、このほうが正統的な岬の命名法だろう。おみおしトンネルを抜けた北側の谷から、普代村との境まで、かなり広い一帯が田野畑村の北山地区である。
　北山のでこぼこ断崖の海岸線は、南北3キロ弱も続いている。その中央に、有名な北山崎がある。

　前日の「やませ」がどうにか晴れていることを祈りつつ、小袖海岸から南下する途中、普代村役場の手前のところで、左折しそこなってしまった。標識がせめて2か所でもあればよかったのだけれど、あっ！と思ったときは、もう交差点を走り抜けていた。
　こういうとき、やはり人が運転する車に乗っかっているだけというのは、制約がある。引き返せばよかったし、そうすべきだったのだが、狭い道ではそれも…。このまま45号線を行って、途中から左折して真っすぐ行けばいいや、と考えてしまったのが間違いのもと。
　普代川に沿って山の中を走る45号線は、北リアス線よりもさらに山奥にはいって大迂回しているので、結局途中で行止りの道に入り込んだりしながら、田野畑を経由する大回りルートをとることになってしまった。
　引き返す勇気は、中高年登山だけではなく、どんなときでも重要である。それがなかったために、霧がない黒崎の風景も見損ねた。まあ、そんなことを言ってみても、キリがない。あるがまま、それを楽しむのがでんでんむし流なのだから。
　へそまがりといえども、世間の一般情報にどっぷりと浸かって生きている。「北山崎」…それは長い間、情報としては幾度となく眼にし耳にしてきた名前であった。そこへやっと初めて行くことになる。



　広い駐車場には、観光バスが停まっていて、団体客がちょうど引き揚げてくるところだった。数軒の土産物屋兼食堂の前を通って、展望台に向かう。
　最も一般的な観光客が行くのはいちばん手前の展望台で、ここから南に延びる150メートルを越える断崖絶壁の海岸の景色が、ここの売り物である。
　幾重にも重なり合った岬が、つぎつぎに連続して、そのでこぼこと、岩の壁と、渚に押し寄せ砕ける白浪、その上に茂る松の緑…。この景色は、日本中の海岸線のどこにでもありそうな部品から成り立っていながら、日本中のほかのどこの海岸線にもない特徴をかもしだしているようだ。
　しばし、見とれていると、次のバスが着いたらしく、旗をもったおねえさんに連れられた一団がやってくる。すぐさま退散して、下の展望台へ移動する。



　もう少し階段を下りると、さらに展望台があるのだ。一段高度を下げたところからの視点で見ると、また違った趣がある。ここまでは団体客でやってくるのはごく一部で、静かな展望台だ。展望台といえば、もうひとつ北側の高いところにもあるが、そこまでは行かない。

　その下には、大きな崩落を思わせるような、赤い崖が切り立っているが、北側の眺めは限定されているので、北山崎といえばよく観光写真にあるのと変わった写真は、崖の上の自然歩道でも歩かない限り撮れない。
　ま、こっちはさほど写真に命懸けているわけでもないので、適当にかちゃかちゃしておいて、景色を楽しむ。

　しかし、少しずつだが、また霧がかかりはじめたようだ。

▼国土地理院　「地理院地図」
39度58分45.51秒 141度57分20.67秒

東北地方（2009/07/01　訪問）

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コメント 2

海の激しさが、作り出した風景なんですね。
激し自然の中でもまれてきたのですね。
by とらさん (2009-08-04 14:53) 

＠とらさんのコメントのとおり、自然が削り出すような景色というのがあるんですね。ここなどは、それを強く実感させてくれる場所のひとつでしょうね。
　そして、それは絶え間なく続いてきて、現在もまた続いている、というのを、ともすると忘れがちですが…。
by dendenmushi (2009-08-06 06:32)