453 弁天鼻=久慈市侍浜町(岩手県)弁天の小袖を濡らす久慈の霧(あまちゃん以前) [岬めぐり]
久慈には、かなり昔に一度来たことがある。そのときは、八戸から当時はまだ国鉄の八戸線で種市海岸を経由してきた。
ここで、琥珀を買おうとして、結局買えなかった思い出がある。いくら久慈で琥珀が採れるといっても、欲しかった虫が閉じ込められたようなのは、売ってはいないのだ。
でんでんむしが化石好きなのは、それが自分が悠久の時の流れというものを、観念でなく肌で感じられる唯一のものだという気がするからである。
今でこそ、たまに雑誌のヒマネタになることもあるけれど、昔にはほとんど知られていなかった、日本橋のデパートの壁に使われている石のなかにある、貝の化石を探しに行ったものだった。昔と変わらぬ久慈駅(あれ、このときもここから南は三陸鉄道になっていたのか? 記憶が定かでないが、どうもそうらしい)を見ていて、そんなことを思い出した。
四本の川が最後はひとつの久慈川になって、久慈湾に注ぐ。市街地はその三角州の奥にできているようだが、とりあえずは川を渡り、湾の北部へ向かった。しかし、あいかわらずの「やませ」はひどくなり、雨も降ってきた。地下石油備蓄基地があり、それをPRする施設“もぐらんぴあ”というものができているというが、まったくなにも見えないので、明日もう一度来ることにして、早々にホテルに引き揚げた。今夜の泊まりは、久慈グランドホテル。
冒頭の写真は、翌日に備蓄基地の奥の道が行止りになるところまで行って撮ったもので、これが弁天鼻へ最も接近したところになる。ただ、接近し過ぎて肝心の弁天鼻の先が、微妙に隠れてしまった。
少し南の港湾施設のほうから眺めると、弁天鼻と牛島というふたつの山のように見える。
堤防がじゃまになって、裾が隠れるが、人が入れるのはここまで。
弁天鼻から南に5キロほど、久慈湾を横断したところが、小袖海岸という景勝地である。
ここも前日は、霧雨の中を走ったので、ただ赤茶けた岩がごろごろした海岸だなという印象だったので、なんとか霧も少しおさまった翌日に改めて通ることにした。
霧がおさまれば位置関係からは当然ながら、ここからはるかに弁天鼻を望むこともできた。ただ、やはりかなりの朦朧体である。
まてよ? 弁天に小袖? 知らざぁ言って聞かせやしょう…。
まさかね。そこまではないでしょう…。
40度13分14.10秒 141度49分55.26秒




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