451 黒崎=下閉伊郡普代村第2地割字下村(岩手県)北緯40度の岬も霧の中に沈んで… [岬めぐり]
矢越岬から、次に向かったのは、陸中でいちばんの有名観光地「北山崎」であるが、駐車場まではやってきたもののなんとここが「やませ」の真っ只中で、数メートル先も見えない。観光バスが停まっていたが、ツアーでこんな日にあたってしまった人は、気の毒だ。これではどうしょうもあるまい。また、明日の帰路に寄ることにして、引き返して北上を続け、黒崎をめざした。
“この頃ではどんな田舎へ行っても「市」といわれるので、たまに「村」があるとほっとする”と書いていたが、田野畑村から北へ、普代村、野田村と「村」が続く“ほっとライン”である。ざっとみたところ、田野畑村の半分くらいしかなさそうな普代村は、明治の町村制の施行以来、ずーっと「村」のままである。
ここで不思議なのが、地名・住居表示で、村内が「第1地割」から「第31地割」までに分割表示されていることだろう。「地割」の表示は、ここだけでなく、岩手県北端の洋野町種市あたりでも同じことがあるので、この地方に独特の謂れがあるものと思われる。
ところが、いろいろ調べてみても、これについては言及したものどこにもなにもない。村のホームページでも、まったくふれていない。しかも、国土地理院の電子国土では、これを完全に無視していて、普通の字名で表示している。これはいったい、どういうことだろう。
郵便番号では、ちゃんと「地割」で示してあるので、今度は国土地理院が“わが道”を行っているのだろう。
今回は、突っ込んで調べることができなかったので、知っている人があったら、ぜひ教えていただきたい。
「やませ」は、黒崎も包み込んでいた。
灯台もなにもかも、あたり一面白い霧の中で、雨も落ちてきた。これでは、180メートルの断崖の上から見下ろす景色は、さっぱり見えない。
かろうじて、灯台があり、北緯40度線のモニュメントや鐘などがあるので、ここが間違いなく黒崎だとわかる。
ということは、この灯台は北緯40度線を真っすぐ西へ引いた秋田県男鹿半島は入道埼灯台と並んでいるわけだ。ここの灯台は正式名称を「陸中黒埼灯台」という。
地名は「黒崎」で、灯台は「黒埼」なのだ。これは、全国的に共通することも多いようだが、地図で「埼」ではなく「崎」のついた灯台もよくある。入道崎でもほとんどの地図が「入道崎灯台」と記しているので、必ずしも完全に統一されているわけでもないように思える。それは地図作成者の間違いといってしまえばそれまでだが、「○○崎灯台」が間違いと断定する根拠が、国民的合意を得ていない証拠でもあるし…。
『Wikipedia』によれば、「一般に岬に建つ灯台には岬の名前として埼を使用する。崎は地形を表し、埼は地点を表す。灯台は地点を船舶などに周知するための存在であるので、埼を使用する。」とある。
しかしながら、この説明にもにわかに合点し難い。たとえば、『犬吠崎』では灯台も地名も「埼」を使っている。出雲の『日御碕』は、地名も灯台も「碕」である。「崎は地形・埼は地点」というのは、決してあまねく不動の原則ということでもなさそうだ。
前にもちらりと書いたが、「灯台」か「燈台」かというのもある。これも同様で、なにしろお役所仕事がからむので、一筋縄ではいかず、先方が決めた一方的なルールで試合をするのもシャクなので、これまで深入りしないで流してきたのだが、これらについては、またいずれかの機会の課題とする。
ついでに、文化庁が決めた“農林水産業に関連する文化的景観”というのがあるのだそうだが、「黒崎のヤマセ」は、その“独特の気象によって現れる景観として重要地域”とされているのだそうだ。
そういわれてみれば、この霧の中の景色も、なにやらありがたく思えるではないか…? (思えない…って? そんなへそまがりなことでどーします。ここはスナオに、ありがたく思ったほうが身のタメデスゾ。)
40度0分35.22秒 141度55分56.00秒
東北地方(2009/06/30 訪問)
コメント 0