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434 大崎ヶ鼻=鹿児島市吉野町(鹿児島県)弧状列島の遙か太古の記憶を探りつつ [岬めぐり]

 南洲神社と島津久光の墓がある山の手と、近頃ではもっぱら“肉ジャガの発明者”として名高いらしい、東郷平八郎の銅像がある港の間を、バスは走る。
 前回の鹿児島訪問では、野間岬と佐多岬を主な目標としていたので、佐多岬を往復するときは鴨池港から垂水間の錦江湾をフェリーで渡った。その時はお天気もよかったので、噴煙をあげる桜島を眺めながらの快適な船旅だったが、錦江湾も北側は初めてとなる今回は桜島はさっぱりである。
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 湾岸沿いに日豊本線も走っているので、電車で行ってもよかったのだが、大崎ヶ鼻の近くまでバスに乗ってやってきた。海沿いに道路が一本だけ通っているが、ところどころ険しい山が切れる緩斜面に集落がちょこちょこある以外、ほとんどは道路からすぐに急な山の斜面が立ち上がっている。
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 錦江湾自体が、巨大な噴火口であったということを、この海岸はちゃんと思い出させようとしているかのようだ。
 なかでも大崎ヶ鼻の岬は、際立っている出っ張りである。約70キロにおよぶ錦江湾西海岸で岬といえば、こことあとは南端の指宿までないので、ここらでは貴重な岬だ。地図上では、北東よりの岩場にその名が記してある。
 大崎と竜ヶ水という集落がわずかながらあり、養魚場のための船着き場などもあるが、仙巌園(磯庭園)から脇本まで12キロほど続くこの噴火湾の外輪山?の壁際は、決して人が住みやすそうな場所とはいえそうにない。
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 今からもう15年以上前のことで、ほとんどの人が忘れているが、ここ竜ヶ水は豪雨で駅や周辺の集落が流された。このときの列車の乗務員の機転と果敢な行動で、列車を楯にして土石流から乗客を守ったというエピソードがあった。線路と駅は間もなく復旧したが、集落のほうは、あれから完全には復活できていないようだ。そういえば、“竜ヶ水”の名も、鉄砲水や土石流の記憶が生んだ命名なのかもしれない。
 道路脇には、「地神」「水神」が祀られているが、ついでに「火神」も祀ったほうがよかったかも…。
 日豊線は竜ヶ水の駅を過ぎると、この岬をトンネルでくぐり抜けていく。ちょうど通りがかったのは、「カラフルなモップ」のように「カラフルな電車」だった。
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 このトンネルの上の山中には、採石場もあると、地図には記してある。この辺りの採石場は溶結凝灰岩が主だったようだが、既にその多くは閉鎖されているらしい。
 崖、土石流、採石場、そしてこの先の姶良(あいら)・加治木・霧島にかけては、これも有名なシラス台地(姶良丹沢火山灰層。降灰は遠く神奈川県の丹沢まで降った)が広がる。これが、みんな錦江湾という名前がつく遙か昔に起きた巨大な火山爆発に由来するものだ。
 その巨大爆発はおよそ2万2000年前頃、まだこの弧状列島がその姿を模索しながら、大陸と最後につながっていた回廊から離脱した頃と推定されている。
 桜島は、その爆裂火口の南外輪山に噴出したカルデラ火山で、それが噴き出すのは13,000年前頃(旧石器時代の終わり頃)である。

 「桜島噴火…噴煙2500m、噴石6合目まで」

 そして、2009/06/17の夕方に桜島で噴火があった、というニュースが読売のネット配信で流れた。
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 大崎ヶ鼻を過ぎてしばらくすると、鹿児島市から姶良郡姶良町に入る。これまたいかにも火山活動を示す、とんがり帽子のような山が見えてくると、バスの進み方がだんだんのろくなってきた。と思うと、そのうちまったく動かなくなってしまった。
 姶良の国道10号線で起こった事故のためだった。

▼国土地理院 「地理院地図」
31度39分30.39秒 130度37分8.59秒
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dendenmushi.gif九州地方(2009/03/19 訪問)

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タグ:鹿児島県
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