422 焼崎鼻=阿久根市脇本(鹿児島県)閉鎖性水域の南端はここ黒之瀬戸が漏斗の先のように [岬めぐり]
ここは、414の立石鼻の3キロほど西に続く岬のはずであった。だから、本来なら出水市の田辺からどんどん西へ歩いて、そのまま阿久根市に入ってもよかったのだが、このときには出水駅で借りた自転車に乗っていたので、乗り捨てができない以上、返しに戻らなくてはならなかった。田辺までは市のコミュニティーバスというのもあったのだが、なにしろ本数が少なく、時間の折り合いがつかないので、レンタサイクルになった。
ねっ。こういうところが、なかなかコース取りで、いろいろ苦労なところなのです。
そこで、焼崎鼻は、こうして西に回り込んだ黒之瀬戸から、遠望することになった。瀬戸を橋で渡り、北東側が見渡せる高台を選んでやってきた。
対岸に延びていく道は、山の中の道で、海岸から30〜50メートルも離れた高いところを巻いている。焼崎鼻の前後には、八郷と小漉という二つの集落もあるが、あとは山ばかり。
焼崎鼻の向うに、蜃気楼のように浮かび上がって見えるのは、出水市の前島と桂島であろう。梶折鼻と同じような潮の流れもある。
北は宇土半島、南はこの長島・阿久根、西は天草の島々で、しっかり囲まれている八代海(不知火海)は、南北に少し斜めになっておよそ73キロ、いちばん距離のある天草下島と水俣の間は20キロほど。
面積は結構広いけれど、外海とは五つの水道・海峡でつながっているだけなのだ。なかでも、いちばん広く開いているのが、宇土半島先端につながっている大矢野島と天草上島の間で2.5キロ程度、それに次ぐのが天草下島と長島の間の2キロくらい。狭いほうは、天草神島と下島の間の本渡瀬戸がいちばん狭いところでは60メートルで、南の端のこの黒之瀬戸は二番目に狭い水道になっている。
そこには球磨川をはじめ何本もの川が注いではいるが、つまりこの海は、「相当な閉鎖性水域」であるということだ。
その南のはじっこで、ちょうど漏斗(じょうご)のように口をすぼめて東シナ海につながっているのが、ここ黒之瀬戸なのだ。潮の流れが速いというのも、理にかなったことなのだ。
本土側の海岸は、2008年の初めての熊本シリーズ(262〜283)で岬めぐりをしたが、あのときも海の青さにしびれるような感覚があったなあと、焼崎鼻を遠く望みながら思い返していた。
32度7分27.90秒 130度12分39.72秒
九州地方(2009/03/17 訪問)
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