403 小目津崎=日高郡みなべ町山内(和歌山県)みなべのホテルの部屋の窓下にある岬 [岬めぐり]
印南の南隣は南部である。この二つの町が、なんとなく似ているように感じるのは「南」がつくからだけでなく、海岸から深い山まで川が流れて、その流域が町域になっている形が同じだからだろう。
違うのは、大きな川が印南の2本に対し南部のほうは南部川1本で、なおかつその下流域は広く開けていることと、かつお節を最初に考案したのはこの町出身の人だったというだけあって印南のほうが漁港も大きいが、南部のほうはさほどではないことだろうか。それと、印南が野菜や花卉などを特産としているのに対し、南部はなんといっても“梅干し”であろう。
「たかがうめぼし」と言うなかれ。これをあなどると、ああ梅干しはすっぱいの元…ということになりかねない。近頃では、通販でも売っているが、これが結構な高額・高級品なのだ。“南高梅”というのがブランド名になっていたようだが、この南部高校も駅近くにある。
南部は、現在では町の名は「みなべ町」となっている。これには、誰がどうみても「なんぶ」と読むほうが自然なので、混乱を避けるという配慮もあるのだろう。
ホテルの部屋の窓からすぐ下に、先端にちょこんと小島を伴った小目津崎がある。夕暮れにそのシルエットが浮かぶとき、朝日の南部湾の景色とともに、この岬は部屋から常に眺めることができる。
白字で“紀州南部梅林”と抜いた赤い幟がはためく南部の駅前からここまでは、ホテルから迎えにきているマイクロバスでやってきた。
この日の宿である紀州南部ロイヤルホテルは、小目津崎と目津崎という二つの岬の上近くにあるのだ。こりゃなんとも好都合…。
マイクロバスは、駅前からまっすぐ海岸へ出ると、そこから西へ向きを変え、南部川に架かる南部大橋を渡る。河口の洲には葦が一面に生えている。近頃では、どこへ行ってもコンクリート護岸でていねいに覆われているので、たまにこういう海岸をみると、なにかうれしくなる。ちょうどそこから、小目津崎がきれいに見える。
“紀州梅干館”という大きな立て看板を通り過ぎ、42号線から離れてでこぼこの丘陵地を上ったり降りたりしながら行く。結局、車が通れる道は、さっきの葦原の入江のある岸を大きく迂回するしかないようだ。道の両脇には、まだ花が咲きはじめの梅林やなにやら縦に高く延びる野菜畑…ああ、これはさやえんどう畑だ。
そのあいだをしばらく走ると、大きなホテルに着く。このホテルグループのホテルは、どこもみな大きい。これだけ大きいと、当然に常時団体客をあてにしなければ、経営は成り立つまい。
ここの会員になっていたがそれはやめるつもりなので、もうこれが最後になるかも知れない。今回もまた、中国人観光客を乗せたバスが何台もやってきていて、夕食は別だが館内あちこちお風呂や朝のバイキングではいっしょになるので、にぎやかなことこのうえない。
小目津崎は、このホテルからちょっと下ったところにあり、その手前には公園が整備されている。これも、こんなところにあるということは、いわゆる開発者に義務づけられた提供公園なのだろうか。
この公園の海岸よりには、防波堤のようなものが設けられている。しかし、それが波打ち際ではなく、かなり内陸側に引いてつくられているのは、それなりに景観に配慮したものだろう。
33度46分1.84秒 135度18分17.77秒
近畿地方(2009/01/24 訪問)
ホテルの部屋から岬チェック(ゲット?)とは……いつもの難行苦行がウソみたいでんな。地図では出っぱりというよりも膨らみに見える岬がこれほど凹凸に富んでいるという事実はやはり現地に立たねばわからないんですね。
“なんこうばい”という名称は知っていても、当地の名産でこういう字を書くとは知らなんだ。勉強になりました。
by dotenoueno-okura (2009-04-15 07:55)
@“南高梅”の「南高」というのはね。ここの南部高校のことらしいですよ。なんでも、この高校の実験農場で品種改良か何か、そういうことがあったようです。あ、これもテレビ情報だなあ。だいじょうぶかな。
そう。「部屋から岬」。たまにはこういうラッキーなこともないとね。
by dendenmushi (2009-04-15 08:13)