402 切目崎=日高郡印南町大字島田(和歌山県)実はかえる橋には秘めた5つの”かえる”が… [岬めぐり]
人口1万人に満たない印南町では、かえる橋だってヤジウマの他所者がくればおもしろがって喜ぶ観光資源のひとつくらいにはなるのでは…? あるいは逆手にとって洒落のめすことができればそんなことも…と、町役場のホームページを見てみた。
トップページの写真に町の中心部の写真があり、その左端にかえるも町の風景の一部として写ってはいるが、観光ページではどこにもなく、なぜか「事業者向け」のなかに1ページだけ説明があった。
これを読むと、「橋が1億円の使い途」という前項の記述は不正確というより誤りで、訂正しつつ補足しておかなければならない。
1億円でつくったのは、人材育成のための「かえる基金」であった。そして、“平成7年度「地域づくり推進事業」を財源に、全国に類を見ない「かえる」をテーマとしたユニークな橋(かえる橋)を建設しました。多くの人々を招き入れ、町発展への願いを込めたものです。”ということである。
なぜ「かえる」なのかといえば、“『努力、忍耐、飛躍』を象徴する ”柳に跳びつくかえる”(小野道風)をイメージし、「考える」「人をかえる」「町をかえる」「古里へかえる」「栄える」という5つの”かえる”にひっかけ”たものであるという。(町のホームページ「かえる橋」より)
この町は、印南川と畑野崎のほかにもうひとつ、川と岬のワンセットを、その南部にもっている。切目川と切目崎で、これは南に5.5キロほど離れた隣町から、切目崎を見たところである。
実を言えば、切目崎は印南港からも少しだけ見えていた…と思っていたが、冷静に考えてみると、どうやらそれは違っていた。港から見えていたそこは、丸山という港の南に飛び出した島だったようだ。
切目崎のある出っ張りは、畑野崎よりもはるかに大きく、標高157メートルの狼烟山の山塊をもっている。その裾をぐるりと丸く紀勢本線と42号線が巻いている。
山の高いところまで、白い家がぱらぱらとばらまいたように散っているのは、別荘地だろう。それにしても、ここに別荘をもったりしているのは、どういう人たちなのだろう。ただ、羨望というのではない。日本全国どこへ行っても、どんな端っこに行ってもちゃんと人が住んで暮らしている、ということの不思議さをいつも実感し、反芻しているので、その延長線上にだが、ときどきそんな思いにかられることがある。
かえる橋の印南駅から、1時間に1本のみなべ町へ向かう電車に乗って、しばらくすると切目川を渡る。
この川は、比較的短い印南川と違って、まるで印南町の中心動脈のように流れ、その谷筋は骨格のようにいくつもの集落を束ねて町の形をつくっている。そこから北東に18キロも425号線と抜きつ抜かれつするごとくに山の中に延びていき、峠に行き当たっている。その峠を越えて下ると、そこには日高川(400項参照)が蛇行しつつ、もっと上流を目指していた、というわけなのだ。
でんでんむしは、地図を眺めながらそんなことを考え、景色を想像して膨らませるのが好きで楽しい。そういう想像の範疇にあるいくつか幾分かは、こうして岬めぐりにかこつけて、実際に訪ね歩くことができる。それもまた、楽しい。これぞ、dotenoueno-okuraさんのいう「でんでんむしのたのしみ」である。
切目の駅を出ると、切目川のつくる砂州の向こうに日の御崎や畑野崎が見える海岸に出るが、ここから先で切目崎が電車の車窓から見えるかという期待は、みごとに裏切られてしまった。
こういうロケーションについては、なかなか地図だけでは見通すことができないことも少なくない。そこで、この岬に関しては、結局、まともな写真は南側の離れたところからのものしかなかった。
33度47分5.41秒 135度14分0.38秒
近畿地方(2009/01/24 訪問)
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