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398 産湯崎=日高郡日高町大字産湯(和歌山県)遠き島より流れ寄るのはヤシの実のみにあらず [岬めぐり]

 いま通り過ぎてきた阿尾の港が大きいのは、クエの水揚げで実績のあるところだかららしい。日高町では、この巨大魚クエを町おこしのシンボルとしているようだ。町のホームページには、こう書いてあった。
 「かつては地元以外の人には、知る人ぞ知るまぼろしの魚だったのですが、昭和40年代に町内の旅館や民宿で冬場の郷土料理として提供するうちに、町の名物として有名になり、今やクエ・フェアを開催するなど、まちおこしの主役となっています。」
 最近あちこちでよく聞く魚の名だが、ここでは「昔から地元の漁師たちの間では「クエ食ったら、ほかの魚はクエん」といわれてきた。」といい、町をあげてかなりこれに入れ込んでいる。
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 海岸に沿って進むバスの前方に見えてきたのが、産湯崎である。産湯の海岸近くにも、クエ料理を食べさせてくれる数軒の店や民宿があるようだ。残念ながら、食通でもグルメでもないでんでんむしは、「クエ!」と言われてもその気は起こらず、バスで通り過ぎるのみ。
 「産湯(うぶゆ)」という字地名は、いかにも何か曰くありげで気になる。けれども、毎度のことながら、ここもまたその名の由来は定かではない。
 また、何かの情報をみていたら、産湯崎がアコウの北限だともいう。
 南方性のアコウの木は、四国の佐田岬へ行ったとき、三崎のはずれで見たが、それがここにもあるらしい。確かに、佐田岬半島の三崎より、若干だがここのほうが緯度は高い。この岬の海岸に、それがあるはずだが、さすがにそこまでは走るバスの窓から確認するのはムリである。でも、写真のひとつもないのでは、話にならんじゃないか…。確か、アコウについての写真と文章を前に書いたはずだと、佐田岬の項を見たら、ここでは岬のことしか書いていない。
 別サイトの「個人史ブログ」(このブログは、記事が中途半端で中断したままになっているが、「岬めぐり」の項目一覧表としてLink Listを置いて活用している。)の記事のなかに、「佐田岬イクナといわれてもー国道197号線」(足跡の記録)というのがあったが、ここでもアコウのことは書いていない。
 とすると、この当時は、もうひとつ別のブログも並行していて、どうやら岬以外のことはそちらで書いていたらしい。そのブログは、事情があってもう削除閉鎖してしまった。(これについては、また問題がいくつかあるのだが、それを書くとますます脇道にそれてしまう。)
 もうひとつおまけに、でんでんむしには管理人としての義務を果たしていない、かといって削除もできないホームページまであり、個人でブログやホームページを続けていくのは、それはそれなりに大変で、いろいろなことがあるのだ。だが、とにかく、今はこの「岬めぐり」に集中するしかない、と割り切ることに…。
 遠き島より流れ寄るのは、なにもヤシの実に限ったことではない。
 このアコウの実か種かが、黒潮に乗って日本列島に近づき、そのひとつが豊後水道に入って佐田岬半島の中間にある三崎に流れ着いて根を下ろし、もうひとつが紀伊水道に入ってここ紀伊半島のある岬の端に辿り着いた。そう想像してみるのは、とても楽しいことだ。
 しかし…。まてよ。
 三崎のは天然記念物になるくらい、樹齢を重ねた大木だった。ほかにもいくつかあるだろうことは、想像できても、ここ数十年の間に流れ着いて成長を続けているアコウの木が、ほかにもあってもよさそうなものだが、そういうことは聞いたことがないのは、なぜだろう。
 この産湯のバスが通る海岸側にも、もうひとつ別のアコウの木があったらしいが、海にばかり気をとられていたせいか、バスのスピードが速過ぎたせいか、それはわからなかった。
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 わかったのは、産湯の広い砂浜の海岸は、サーファーの集るところだった、ということである。
 この日は土曜日だったためか、たくさんの黒い点が、波間に浮かんでいる。真冬というのに、ご苦労さんなことだ。
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 ま、それはお互いさまか。
 産湯崎の先端には、国土地理院の地図で見ると、灯台の記号がはっきりと記してある。ところが、それらしいものがどこにも見当たらない。
 そう思っていると、バスは海岸を離れてしまい、サーファーの海は見えなくなってしまった。
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▼国土地理院 「地理院地図」
33度54分48.74秒 135度4分44.19秒
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dendenmushi.gif近畿地方(2009/01/24 訪問)

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タグ:和歌山県
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コメント 2

U3

こうして文章をいつも拝見いたしますと立派な紀行文となっておりますね。
岬めぐりと云うと「ヤマモトコウタロウ」を思い浮かべてしまうわたしです。
by U3 (2009-04-05 07:14) 

dendenmushi

@「U3」の呼び方は「ゆーさん」なのだ。「U2のいっこ上」ではなく…。でも、So-netも自動的に「さんづけ」していますから、「ゆーさんさん」になってしまう…。
 その歌についても、何度かあちこちの項目で書いた憶えはあるのですが、『岬めぐり』といえば山本コータロー(正確には「…とウイークエンド」ですが)という人は、すごく多い。やっぱり、歌の力は偉大なものだと思います。
 文章についての感想をいただき、ありがとうございます。
 まあ、それを考えているようないないような“紀行文”ですが…。
by dendenmushi (2009-04-06 08:04) 

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