391 諏訪崎=海南市冷水(和歌山県)これもやはり“年寄りの冷水”だというのかねえ [岬めぐり]
一週間ぶりの新規記事アップ再開です。留守中は鹿児島に行ってたんですが、ヤマザクラはきれいに咲いていて、ソメイヨシノはちらほらでした。
和歌山県海南市は、これまで電車で通過することはあっても、降りたことがなかった。和歌山市の南部に隣接し、昨今の合併ばやりからみれば、とっくの昔に和歌山市の一部になっていてもおかしくないのだが、どっこいそうはいかないらしい。
思うに、火力発電所や住金の製鉄所、それにいくつもの石油精製基地や貯蔵施設を海岸線にもっている海南市は、財政的には和歌山市といっしょになるメリットがないのだろう。
毛見崎の海南市寄りは、埋立て前には琴の浦という名もある、風光明媚な地であったらしい。温山荘園という回遊式庭園を備えた歴史のありそうな施設や県立自然博物館の看板などが残るが、それも製鉄所と発電所に囲まれてしまっている。海南市は、景色よりも埋立ての利益を選んだわけだが、それが悪いとばかりはいえないことはもちろんである。
そこから、車の通行量の多い42号線をレンタサイクルで飛ばして、その埋立地を迂回し、紀勢本線が海に出るところまでやってきた。そこはもう市街地のはずれで、南に山が迫り、北に埋立てで細長くなった海南港がのびて外洋に向かう。その間の狭いところを、紀勢本線と42号線がトンネルを断続的にはさみながら東西へ走っている。
そんな地形のなかにある諏訪崎は、海南港に突き出た小さな岬というか、こぶで、ここから西へはいくつかそういうこぶが連続している。そんなこぶは、西の下津までの間に10か所は数えられる。だが、名前がついているのは、ここと山ひとつ隔てた西にあるコーゾウノ鼻だけなのだ。
その名も、ZENRINのデータを使う地図では、存在しないも同然とばかり無視されている、という岬である。この付近の地名は「冷水」というのだが、これは「しみず」と読むことも、現(2009/03/31までの)Mapionでは、JRの駅名が「しみずうら」と表示されているのでそれとわかるが、ZENRINの(2009/04/01からの)新Mapionでは、それもなくなる。
考えてみれば、これまでのMapionも守ってきた、「駅名はかな書きにする」というルールは、国土地理院の地図表記の基本でもあって、これがあるとないとではエライ違いなのだ。そのおかげで、ここは「ひやみず」でも「れいすい」でもなく、ここは「しみず」なんだとわかるようなことが、ほかの場所でもたくさんある。そういうことも想像することができない人間が、地図をあれこれいじりつくるというのも、困ったもんだと思う。
さてさて、これからはどうしたもんだろうね、困ったね、ホントに。
諏訪崎の付け根のところに、古そうな浄土真宗のお寺がある。飯盛山了賢寺というその寺の門には、蓮如ゆかりの「旧冷水御坊」という文字が読める。和歌山には、福井の吉崎御坊と並ぶ信仰の拠点、そのものずばりの御坊市もあるのだ。
小さな船溜まりというほうがふさわしいような港があって、その西に諏訪崎と並びあう飯盛山には、山の名はあっても岬の名はない。
34度8分38.04秒 135度11分28.97秒
近畿地方(2009/01/24 訪問)
そうして地名が歴史の闇に消えてしまうのは悲しい事ですね。
by U3 (2009-03-21 18:28)
@U3さん(「U2」よりもいっこ上ってことかな?)、コメントありがとうございました。
地名が変わるのはいたしかたない点も多々あるのですが、近年ではあの「新住居表示」ってやつが、古い由緒ある地名を消してしまいましたからね。
それでまた、「旧地名はこうこうでした」と立て看板を立てている自治体も少なくないようです。
by dendenmushi (2009-03-23 07:04)