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番外DB:「Mapion」がZENRINになってしまうなんて大ガッカリだよ!!(「岬めぐり」のためのネット地図比較検討考) [番外DB]

●「岬めぐり」の標準地図は「Mapion」にしてきた
 インターネット情報で、でんでんむしがいちばんよく使い、頼りにしているのは、地図情報である。もちろん、地図帳も何種類も買ってもってはいるが、岬めぐりの計画を立てたりするにも、ネット地図がいちばん便利なのである。
 この「でんでんむしの岬めぐり」は、その名の通り日本中の岬を訪ねてそれを記録しようとするものだが、勝手に“ひきこもりブログ”というスタイルとポジション(その意味は2009年最初のご挨拶のなかでもふれている)を決め込んでいる。
 So-netの大雑把な“お仕着せブログテーマ”では、全国あちこちの海岸線をなぞることになるので「地域」を選んでいる。始めた当初は「旅行」かな?と思っていたが、やはりそうではないのだ。そのほかにも、自分ではいくつかの隠し味を意識していて、そのひとつとして「地図」もテーマなのである。そこで、これをまとめるにあたっては、まず標準として準拠する地図を決めたい、と考えた。
 ネットに載せるのだから、ネットで見る人が簡単に参照できるものが望ましい。何種類かのネット地図を調べた結果、その地図情報と、縮小・拡大(縮尺)の自由性、クリック、ドラッグ移動などの操作性を、まずいちばんに重要視した。
 その結果、ネット上の地図で最も内容がしっかりしていて、操作性がよく、標準地図にふさわしいとして選んだのが、「Mapion」という地図サイトの地図であった。
 わが国ではナショナルアトラスとして、国土地理院が基本地図をつくっている。もちろん、民間の地図出版も、これにのっとって行なわれているはずである。そこで、できればそれを使いたいところだったが、当時の国土地理院の地図閲覧サービスは、とても使えたものではなかった。(現在の「ウオッちず」(試験公開中)は、操作性は改良されてよくなったので、各岬のマップ情報として引用させてもらっているが、この地図は縮尺があまり自由にならないので、参照に制約がある。)
 「Mapion」は、調べてみたところ、ほぼ完全に国土地理院の地図に準拠しており、正確だということも確認した。そこで、“岬・崎・鼻データベース”をつくるにあたっても、「Mapion」によって全国を調べてまとめている。
 毎回の岬めぐりデータの記録にあたっても、この地図が表面に出てくることはないが、必ず参照して確認している。表面に出ているのは、改良後の国土地理院の地図閲覧サービス「ウオッちず」と、So-netがブログと連動させ併設している「buzzmap」である。

●現在のネットで見ることができる地図には
 いうまでもないことながら、地図をつくるというのは大変な作業である。
 なにもないところから、新しくネット地図データをデジタル化して起こすことは、とんでもない苦労であるから、自然、地図出版をやっていたところとか、カーナビ用の地図をつくっているところとか、GPSがらみでそういうデータをもっているところなどが有利ということも、当初はあったのかも知れない。そこで、たいていはそういうところから元データを借りて使うことになるので、だいたいはソースは数種類に限られてくる。
 あくまでも、でんでんむしが気がついた範囲内であるが、ポータルサイトやプロバイダサイト、地図サイトでどんなところがあり、どこのデータを使っているかを各画面表示から調べてみたところ、以下のようになった。(2009/03現在です いちいちリンクはつけませんので、必要があれば検索して見てくだされ。)
「Mapion」 CyberMap Japan Corp  Yahoo Japan
「Yahoo! 地図」 Yahoo Japan 
「ODN 路線・地図」 Yahoo Japan
「excite地図」 MapDATA AlpsMAP  CyberMap Japan Corp
「YOMIURI ONELINE」 MapDATA AlpsMAP  CyberMap Japan Corp
「NIKKEI NET」 MapDATA AlpsMAP  CyberMap Japan Corp
「OCN 地図」 2008 INCREMENT P CORP
「MapFan」  INCREMENT P CORP
「livedoor地図情報」 INCREMENT P CORP
「MAPPLE  ちず丸」 Shobunsha
「NAVITIME」 NAVITIME JAPAN 昭文社/ゼンリン/国土地理院
「Googleマップ」 ZENRIN
「So-net buzzmap」 ZENRIN
「goo 地図」 ZENRIN DataCom CO.,LTD. ZENRIN CO.,LTD
「msn」 Microsoft Virtual Earth 2007 Zenrin
「地図ログ」 ZENRIN DataCom CO
「PetaMap」  ZENRIN
「@nifty 地図」 2009 ZENRIN
「BIGLOBE 地図」 POWERED BY Google  2009 ZENRIN

●ネット地図の使い勝手もいろいろで
 Web上にある地図が、どれもこれも同じになってしまうのは困る。使う側の好みによって、いくつか選べる余地があるほうが望ましいので、INCREMENT P CORPにもがんばってもらいたいところだが、個人的にはどうも地図情報の表示などにいまひとつしっくりこないところがあるような気もする。
 「OCN」の地図は、INCREMENT P CORPを採用しながら、いろいろ表示に工夫をしているようで、それにもいいところもよくないところもあるが、いかんせん地図としてはNETBOOKで見るだけならともかく、地図画面が小さ過ぎる。
 「NAVITIME」は、実際にどうやったのかはわからないが、ソースとして昭文社/ゼンリン/国土地理院の三つをあげている。これは、それぞれのいいところを取り入れて、独自のものにしようという努力が払われた結果としてみれば、評価に値する。
 「Mapion」はYahoo Japanとも関係があるらしい。そのYahoo Japanの 「Yahoo! 地図」は、いちおう旧アルプス社のデータを元にしたオリジナルデータであるらしい。そして、どうやら旧アルプス社とCyberMapは、同一か、あるいは関連があるようにも見える。
 これらと、ほぼ同じデータを使っているところは、「YOMIURI ONELINE」「NIKKEI NET」といった新聞社のサイトもあるが、これも地図画面が小さいコンピュータ画面用にしてあるらしいので、でんでんむしは使うことがない。ただし、他の新聞社サイトが、地図情報の提供をあきらめたりやめたりしているなかで、これを続けているのは立派、といっておこう。
 これらの地図もそうなのだが、「この地図を見る人は、住所や何丁目何番地何号までわかっている、あるいはなにかの目標物などがわかっていてその場所の地図を探す」という前提で設計されているものが、少なからずある。こういう変な固定観念でつくられた地図は、大変困る。
 これでは、肝心の地図に辿り着くまでがめんどくさい。「NAVITIME」の欠点としても、この方式であることがあげられる。「Yahoo! 地図」も、うっかり入ると、この方式に嵌まってしまってイライラさせられるが、ここでは全図からクリックでブラウズできるという道も別にある。
 CyberMap系以外にもいくつかあるが、でんでんむしの目には、そして実際に使って見た感じでは、今のところこれに勝るものはないように思う。
 このほかにも、以前に住友電工がつくっていたりしたのもあって、これはCDデータを買ったりしていたのだが、もはや消えてしまっている。
 ついでにいうと、ここでは区別していないが、いわゆる「口コミサイト」的な地図もある。buzzmapもその一種なのだが、ユーザー情報が書き込めるというタイプのものだ。ラーメン屋とかなんとか、広告とかそんなものがやたら地図上に載せてあって、地図としてみるには邪魔になってしかたがない。消そうとしても消えないし、うるさくくっついてくるので、地図を見るつもりではまったく使えない。これらは、いわゆる普通の地図とは、別のものと考えるべきであろう。(一般のネット地図も、基本的には広告で成り立っているのではあろうが…。地図上で広告がうるさいのは、使う側の勝手な言い分としては困る。)
 念のために断っておくが、ここでの各地図の評価はあくまでもでんでんむしの意見であり、つまり、素人が出てくる健康食品のCMが、「これは使用者個人の感想であって、効能を保証するものではない」というのと逆の意味で似たようなことである。そのうえで、言うのだが…。

●ZENRINのデータが多く使われているが…
 「Googleマップ」をはじめ、実際に多くのサイトで使われているのはZENRINの地図データである。これは、元が住宅地図からきているので、ときどきでんでんむしもブログ内で指摘しているように、地図としてはかなり恣意的なところもあるもので、どういうわけかなんとか商店とかが、突出して記載してあったりなかったり、基本的に普通一般の地図として評価するにはいろいろ欠陥があると思っている。
 陸地の輪郭や高低差にもほとんど注意が払われておらず、のっぺりした地図で、バス路線表示もなく、道路が異様に太いのは、カーナビ用にしてあるのだろうか。(車をもたないでんでんむしが、カーナビのことを知ったようにいうのは、いささか具合が悪い。この頃のカーナビは3次元データになっているので、もはやそれとは関係ないのかも知れない。)
 なんでも、ものごとは好き好きであるから、これがいいという人もあるだろうから、それまで否定するつもりはない。が、でんでんむしは、これを「国土地理院などとは関係なく“わが道をいく”地図だ」と評しているのだが、こういうのは“いわゆるまともな地図”として見ると問題がある。
 第一、困るのは岬の名前などは、入れたり入れなかったりしているので、まったく話にならない。
 それなのに、ZENRINの寡占化は着々と進行中で、この地図を使っているところが、こんなにも多い。(後世、“Googleがこれを採用したのが致命的だった”ということになるのかも…。)
 シェアの高いものがよくて、みんなが多く使っているものが優秀なもの、必ずしもそうとは限らない。むしろ、えてして逆のことが多いことを、これまでもいくつか体験してきているはずだ。
 グローバル・スタンダードだなどと威張っているのが、ロクなもんじゃないこともわかったはずだ。経済原理は、品質を保証してはいないのだ。ここでもまた、『結果的グレシャムの法則』が生きているのか。
 そう言いつつ、自分の「岬めぐりブログ」の地図に貼り付けているのは、先に述べたように「So-net buzzmap」が、これを使っていて、ブログ貼り付けがシステムとして用意されているから、しかたがないのである。気に入らなければ、貼り付けなければいいのだが、今のところまだ様子見で、そのしくみに乗っかっている。

●「Mapion」よ! おまえもか!
 そんなわけで、これまでは「Mapion」を標準地図にして、「でんでんむしの岬めぐり」を続けてきた…。
 ところが、である。青天のヘキレキとは、こんなことであろうか。
 その「Mapion」では、数日前から、『お知らせ』として“地図を新しくする”という告知が表示されはじめた。なんか、最近「現在サーバーが込みあっております。」という表示がやたら出るようになっていたので、おかしいなあとは思っていた。
 先行公開されているその新地図というのを見ると、2009年4月1日から刷新されるという地図は、そのデータをZENRINに変えたものになっているのである。
 おいおい! そりゃないでしょうが! いったい何を考えてんだか…。
 ソースをZENRINに切り替えると、サイト側によほどのメリットでもあるのだろうか。自分ところの優れた地図サイトとしての立場を、自らひっくり返して水に流してしまうつもりらしい。
 あえて、伊能忠敬(伊能図『大日本沿海輿地全図』中図(現在の縮尺でいうと216,000分の1)でも、雑賀崎浦のところには「二子シマ」として四つくらいの島がちゃんと明記してある。)より前の地図(ZENRINでは、島はひとつだけで、しかもその島の上に“雑賀崎”と表記してある。)に戻ろうという意図は、なんなのだろう。
 得意の勘ぐりを働かせれば、Mapionの経営が、ZENRINの強い影響力の及ぶ事態に陥った、という想像もできる。
 こうなると、残念ながら必然的に「Mapion」ともおさらばしなければならず、ちょっとだけ敬遠してきた「Yahoo! 地図」をいよいよ使うしかないか。ただ、よくわからないのは、ZENRINデータの新地図でもCyberMap Japan Corpのクレジットは入れてある。そのうえで、これまであったYahoo Japanのクレジットが消えている。これが何を意味するのか、よくわからない。
 それに、「excite地図」と「YOMIURI ONELINE」には、それぞれ(Powered by Mapion)という表記がしてあるが、ではこれらの地図はどうなるのか、それもまだわからない。
 実際に地図を比較して見てもらえばいいのだが、ピンポイントへのリンクがうまくできない地図も多いので、この和歌山市の雑賀崎の番所ノ鼻から牛ノ鼻にかけて、加えて毛見崎の地図で、現「Mapion」と、4月から変わるという新「Mapion」、それに「Yahoo! 地図」から、それぞれ同じ場所の部分の画面を引用して並べてみると以下のようになる。
■番所ノ鼻から牛ノ鼻付近
 現「Mapion」

GOM.gif
 新「Mapion」
GNM.gif
 「Yahoo! 地図」
GYm.gif
■毛見崎付近
 現「Mapion」

KOM.gif
 新「Mapion」
KNM.gif
 「Yahoo! 地図」
KYm.gif
 「Mapion」の画面では、新地図への「お気づきの点、ご要望など」をアンケートで募るといっているが、「変えないでくれ」という“ご要望”は、聞いてもらえる余地があるのだろうか。(あるわけないよね。)
 もっとも、ネットの地図はただで使わせてもらっているわけで、なんら費用負担をしているわけではない。だから、無料のものにいちいち文句を言うな、と開き直られれば困ってしまうのだが、タダだからどうでもいいのだということにもならないと愚考いたしまする。どんなもんでござりましょうや。
(2009/03/13記)

 「でんでんむしの岬めぐり」は、3/21(土)まで、一週間ほど新規投稿はお休みです。ええ、なにがあろうとマイペースのでんでんむしなので、またお休みをいただきますですよ。だけど、まだまだ。和歌山県の岬めぐりは、後半へ続く…。

 その後も、この項目をご覧になる人が多いらしいので、後日談を手っ取り早くフォローするボタンをつけておきます。
   405 ←いきさつと経過を整理しています。
 408 ←結論はこうなってしまった。
(2009/05/01 補記)


タグ:全国 地図
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コメント 4

knaito57

うむ。“地図道”も奥が深いですなあ。それにしても、貴殿でんでんむしうじの目配りの広さには脱髷でござる。
拙者もMapionを愛用していたけれど、そうなんですか。ますますブラウザーの制約ができて取り残されそう。「変わる」と「進歩」は同じでないですね。先日、紀伊国屋で新しい日本地図帳を物色した結果、平凡社の1600円のが手ごろに思いました。「行ってみたくなる」地図帳はごたごた情報が多くて案外でした。
ゼンリンといえば、もとはといえば看板の町内案内図。でもそれが集積された大判手書きの住宅地図帳は実用性が高く、図書館必備の地域資料だった。あの泥臭さは捨てがたいですなあ。
by knaito57 (2009-03-13 10:17) 

dendenmushi

@そう、なんかねこの頃は「変わる」のがみんな悪いほうへ「変わる」というような感じさえしますね。もちろん、はっきりとした根拠はないですが…。
 ゼンリンという言葉も、昔は「善隣友好」とかね、よく使われていたものですが、この頃ではとんと耳にしませんな。
 その「行ってみたくなる」地図帳というのは、あれでしょう? 某有名出版社のやつでしょう。
 あれはだめだね。でも、初めて地図を見るという人にはいいかも。(…と、むりやりフォロー)

by dendenmushi (2009-03-21 07:41) 

desidesi

面白い。なるほど、地図もいろいろありますからね。
無料で見れるっていうのは、昔から考えるとありがたいことだけど。
統一すればよいというものではないですね。
各社の「特長」をのばしていってほしいですね。
地図に限ったことではないのかもしれませんが…。
by desidesi (2014-11-12 10:18) 

dendenmushi

@地図の基本は地理院のデータを下敷きにはしているはずなのでしょうが、ZENRINのソースは、それも守っていないように見受けられます。
そのため、あまりにも実際とも地理院の表記とも、まったく違う地図をつくってしまっている。住宅地図であれば、家もほとんどないようなところはアバウトに線引きすればいい、という考え方もあり得たでしょうね。
だけど、住宅地図ではなくて、いちおう地図とかマップを名乗るならば、国土の輪郭くらいはしっかり押さえて欲しいが、それすらできていない…。
それを問題視しているのですけれどもね。
by dendenmushi (2014-11-14 06:37) 

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