379 観音崎=泉南郡岬町多奈川谷川(大阪府)多奈川第二火力発電所の中にある岬 [岬めぐり]
深日(ふけ)という港は、工場と関西電力の火力発電所のそばにあり、それらは南海電車の多奈川線という引込線のような路線に沿ってある。和歌山へ行く線路とみさき公園から別れて、盲腸のようにちょこっとだけ線路があり、港があるというところから想像されるのは、戦時中の軍事的な要請によるものだろう、と思った。およそ経済的な利点は、どうにも想像できないからである。
昨今、経済的な利潤追求で急速に膨らんできたものが、どんどん破綻し、消滅していっている。してみると、経済原理よりももっと強力ななにかがないと、世の中は永遠に安定しない…などとまた脇道に考えがそれてしまう。
だが、その予想はやはり当たっていたようで、戦前はここに軍需工場があって、そのために引かれた線路らしい。戦後の一時期は、深日港から淡路島航路の船が往来していたともいうが、もうとうにそれもなくなっている。一時期は、泉佐野からの航路もあったが、それもなくなっている。経済原理だけでできた、世の中のシステムは、もろいものだ。
そういえば、以前大阪から船で淡路島へキャンプに行ったことがあるが、そのときの港がどこで航路がどうだったのか、さっぱり記憶がない。
橋ができたいまでは、もう大阪湾を走る淡路島航路はないのだろう。
観音崎は、火力発電所の北端なので、中に入っていくわけに行かないらしい。そこで、とりあえず港の湾越しに見ておくことに…。
近頃の火力発電所で燃やすものは、当然石油なので、その貯蔵タンクが並んでいる。そのタンクがある埋立地の先に、平べったく見えるのが観音崎である。それより高くこんもりとしているのは、もうひとつ別の3件目の豊国崎である。これは深日港の東側から見ているわけだが、ここから見ると、二つの岬が重なりあっている。
大阪府内ではここだけという貴重な岩肌の自然の海岸を守ろうと、注意を呼びかける看板が、誰がつけたのか擬木コンクリートの柵にくっつけてある。一見したところ、ここはどうということもない、ただの岩石だらけの海岸だが、こうしたものさえもが、すでに多くは消えてしまい、残ったものが貴重になってしまう。
港が近くなった海岸には、こんな立札も。昔は、ここも風光明媚な場所であり、人々が遠くからもやってきて集うような場所だったということを知らせているようだが、なんとなく取り返しのつかないことをして、悔やんでいるかのような立札だ。
後で知ったことだが、発電所は構内緑化を進めており、緑地の一部を見学者に開放しているという。もっとも、それも事前に申し込むなど、一定の手続きも必要らしい。念のため、いちおう門の近くまでは行ってみたのだが、とくにどんどん入って行けそうなところはなかった。だが、もう少しムリをしてみれば、あるいは行けたのかも知れない。後で地図をよく見ていると、そんな気もする。
ここは多奈川第二発電所というのだが、第一発電所はどこにあるのだろう…というわけではなく、再生リニューアルしたという意味なのだろう。港を過ぎ、多奈川の町並みを抜け、工場を過ぎると、脇道に入り発電所に近づいてその脇を登って行く。すると、そこには新興の団地が…と思ったら、これは関西電力の社宅だった。この頃の社宅は、なかなかおしゃれである。
34度19分29.71秒 135度7分28.73秒
近畿地方(2009/01/23 訪問)
多奈川第二発電所は、多奈川発電所があったため、第二という名が付けられたので、リニューアルしたわけではありません。多奈川発電所は石炭を主体とした発電所だったので、時代にあわなくなり廃止になり、第二発電所だけが残りました。(これも休止中ですが、原発の代替として稼動する準備をしているそうです。)
by 元住民 (2012-01-23 15:49)
@元住民さん、コメントありがとうございます。なるほど、そういうわけですか。ところで、多奈川発電所というのは、わたしも大阪に住んでいた頃、なじみがあったのですが、その場所(廃止になった第一の)はどこだったのでしょうね。
今度は、それが気になります。
by dendenmushi (2012-01-26 06:47)
第一発電所の場所は、多奈川第二発電所と新日本工機の間にありました。
上の写真だと間に道路が見えますが、それの左側です。
別の元住人より
by 岬太郎 (2013-05-06 20:41)
@岬太郎 さん。お名前がいいですね! ありがとうございました。そうですか、第一発電所は、第二発電所と新日本工機の間にあったのですか。なるほど、地図で見ると広い空地になったままのようですね。
やっぱり元住民の岬太郎さん名のリンクも辿れませんでした。
by dendenmushi (2013-05-07 18:12)