378 長崎=泉南郡岬町(大阪府)大阪府の岬は岬町にしかないし数も4つしかないうえに… [岬めぐり]
大阪府は、面積はそう広くはないものの、これでなかなか変化に富んでいる。西の端は淀川河口で、北の山は能勢から箕面・天王山とつながるが、いったんは京都との境の淀川で切れ、再び岩清水八幡からはじまる東の山波は、生駒・信貴へと流れる。それが、再び大和川で切れると、葛城・金剛で頂点に達し、そこで南西に向きを変えてゆっくりと和歌山県との県境をつなぎながら大阪湾の南端に落ち込んでいく。それは、長い屏風のようで、それらにゆるく囲まれた摂津や河内、南河内、泉北・泉南の平野のどこからでも、屏風の一部は望むことができる。
平野は、どこも概して自然の池や溜池も多く、大昔はおそらく淀川から南は一部の台地と、山裾のところをのぞけば、ほとんどが低湿地帯であったろう。初めて大阪にやってきて、最初に住んだところがまだ市になる前の北河内の門真で、辺りは一面のレンコン畑と水田であった。
現在の大阪府の海岸は「ノ」の字のように伸びていて、大阪湾口の埋立てや、関西国際空港の人工島などで、できるだけ海に向かっていこうとしている。が、昔の海岸線は今よりずっと内陸寄りにあった。古代の難波の宮があったところは、今の上町台地で、そこから西がもう海で、その難波の津が大陸や半島との窓口だった。
山際から泉北にかけては、古代からの人の営みが政治的集団をつくって行なわれていたことを告げる大中小の古墳が、数多く点在する。
前項番外の河内長野の観心寺の地図にも象徴的なように、大都市大阪のベッドタウンとして、住宅団地の進出拡大は、泉北・泉南ともにめざましい。古墳はなんとか残ったが、泉州平野のタマネギ畑は、かなり減っていることだろう。
そんな大阪の岬めぐりは、南のはじっこ、その名も泉南郡の「岬町」に4つほどが連続してあるだけで、それがすべてである。ここらの海岸線は、昔とそう大きくは変わってはいないようだ。
南海電車「みさき公園駅」で降りて改札を出ると、右手には遊園地が、左手にはゴルフ場の丘陵が広がる。その間の舗装もされていないため、昨日の雨の名残をとどめた淋しい道を、ゆっくり下って行くと海岸に出る。北東の方向に淡輪の町と港がある。
関西国際空港も見えるはずだが、陸地とかぶってしまっているので、さだかでない。白い横長の建物がターミナルビルなのだろう。
岬町のこどもたちが描いた壁画の壁も低く、高い防波堤もテトラや波消しブロックといった、昨今の海岸にはつきものの、構築物がほとんどない。基本的にクルマは通さないらしく道はあるがガードレールもない、極めて自然のままの海岸が続く。それもこれも、小さな友ヶ島と大きな淡路島が、紀伊水道からの波浪の影響を抑え、波静かな大阪湾をつくっているからだ。
長崎は、ゴルフ場の下あたりで、ゆるい丸いカーブをつくっている。海岸に砂浜はなく、護岸に沿って細い周遊道路が巡っているので、ここをコースにしてジョギングや散歩の人影も、ちらほらとある。
大阪湾もこのあたりで終わる海は、これでも自然の海辺をそのまま残しているところで、大阪府では確かにほかのどこにもこのような海辺はなく、ここだけなので貴重なのだ。それで、一帯のうちみさき公園の水族館からこの長崎までは「長松自然海浜保全地区」として、保護されている。
内陸部を含めて、岬・崎・鼻のまったくない県は、群馬・埼玉・岐阜・奈良の4県で、これを除くといちばん岬の少ない都道府県は富山県が2件、大阪府の4件は少ないほうではこれに次ぐ堂々の第2位である。
長崎を回り込むと、もう4件のうち次の2番目の岬が顔を出してきた。
34度19分52.26秒 135度9分13.05秒
近畿地方(2009/01/23 訪問)
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