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363 弁天崎=志摩市阿児町安乗(三重県)安乗のふぐは下関にも出荷されている…!? [岬めぐり]

 いきなりのわたくしごとながら、でんでんむしの直系尊属は一人もいないが、傍系尊属も山口県にただ一人の叔母があるだけである。その叔母から暮に“ふく”を送ってもらった。下関が本場といわれてきたふぐは、西日本では濁らず“ふく”というとされてきたが、現在では“ふく”も“ふぐ”もかなり入り乱れている。
 名物や俗に言うグルメうまいもんには、まったく執着はないが、大阪ではよく北新地あたりで“てっちり”をいただいていたので、ふぐにはある種の懐かしさがあり、たまにはまた食べたいなという気分になる。
 去年、そう思って調べてみると、意外なことに渥美半島に天然とらふぐを売り物にした旅館などがあることがわかった。それまでの常識では、渥美半島ととらふぐが、まったく結びつかなかったので、それが意外だったわけである。
 安乗崎へは、なかなか複雑な経路でやってきたので、いちいち説明するのが面倒なのだが、タクシーで港まで運んでもらうときに、その運転手さんが「お客さん、“安乗のふぐ”を知ってましたか?」というのである。知らないと答えると、ここ安乗港は天然のふぐが水揚げされる港で、それを食べさせる料理旅館などもたくさんあると言う。「今夜の泊まりは決まっているんですか?」と聞くので、決まっていると言うと、残念そうだった。もし、決まっていないと言えば、きっとこの近辺にあるどこかへ連れていかれるところだった。そうなればそれでもよかったが、このときはご縁がなかった。
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 弁天崎は、安乗港の東そばに、堤防を兼ねたようにして出っ張っている岬である。この港を構成しているパーツのひとつといってもよい。
 港には、たくさんの漁船が連なっているが、このときはもう入札も済んだところだったのだろう。
 後で調べてみてわかったことだが、ここのふぐの入札は、帰港した漁船に仲買人達が乗り込んで、生け簀のふぐを見ながら船の上で行なわれるのだそうだ。船から漁港の市場に運んで降ろしてといった手間を省くのは、横着なのではなくて、できるだけふぐにさわることなく、傷つけたり弱らせたりしないためらしい。
 あの入札というやつ、黒い袋のような筒っぽのなかに手を入れてやるのもあるが、あれでどうやって値段が決まり落札されるのか、なかなかこれも不思議なものではある。
 伊勢湾と遠州灘から熊野灘にかけての海域で漁獲される、天然のとらふぐは、安乗漁港を中心に水揚げされるので、「あのりふぐ」は、もうブランドとして売り出し中らしい。
 なるほど、それで渥美半島にもふぐがあることが、不思議ではなくなった。
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 タクシーの運転手さんは、「ちょうどよかったですね。ほらそこでバスが待っていますよ」というその前に、ちょっと気になることも言った。
 「安乗のふぐはね、下関へも運ばれて売られているんですよ。」
 ええっ!? ほんまかいな。それって、今流行りの産地偽装ではないのか。
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 帰りのバスから見ると、ブランドを主張する青い幟が、道路脇にはためいていた。
 だが、運転手さんの一言は帰ってきてからも尾を引いていて、するとあの山口からきたふくも、ここで上がったのが下関へ行って、それからまた…?

▼国土地理院 「地理院地図」
34度21分48.24秒 136度53分53.87秒
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dendenmushi.gif東海地方(2008/11/20 訪問)

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タグ:三重県
きた!みた!印(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
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コメント 2

knaito57

フグも大変ですねえ。このケースでは先行する歴史的伝統があるから問題ないが、当節の定義ではやはり“産地偽装”でせう。
下戸のうえグルメでもない拙者はフグには縁遠く、これまで(生涯)に3度くらいしか食べたことがないから、あちらから見れば不倶戴天の味方てなもんです。だから思い出すのは上野駅前丸井の横を入った「さんとも」くらい。場所柄、リーズナブル料金の店でした。むしろ連想するのは、30年くらい前にフグで亡くなった阪東三津五郎のこと。トップクラスの役者ながら「シラノ」に敵役で出るなど愛すべきところがあった。それと、漫画の『フクちゃん』。あの顔は今でも覚えているけれど、面白くはなかったなあ。
by knaito57 (2009-01-06 10:31) 

dendenmushi

@「ふぐはくいたしいのちはおしし」というくらいですから、やっぱりなんかの魅力があるんでしょうね。
 「下戸のうえグルメでもない拙者」という点では、でんでんむしも同じなんですがね。
 しかし、流通経済というのはおかしなことがあるものです。
by dendenmushi (2009-01-08 09:00) 

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