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350 平崎=宮城郡七ヶ浜町代ヶ崎浜(宮城県)松島湾と塩釜湾の岬めぐりはこれにておしまい [岬めぐり]

 馬放島は、七ヶ浜町に属しており、その名から馬の放牧場だったとも推測されるが、実際のところはどうだったのだろう。この島の北西寄りの平崎が、七ヶ浜町では北側にある唯一の岬になる。
 ところが、前項で述べたようなわけで、松島展望地のひとつともされている多聞山には登れなかったので、そこから馬放島の平崎を眺めようかという当初プランも流れてしまった。
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 しかたがないので、塩釜港の船着き場からの遠望で、ここは間に合わせるしかない。右に張り出しているのが多聞山で、そこからいくつかの小島をはさんで馬放島がある。平崎は、岩壁が白っぽく見えているところだろが、その背景には、もっと向うの塩竈市の浦戸の島々が重なってしまうので、判然とし難い。
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 塩竃市には、浦戸諸島を除けば、湾岸には岬はない。塩釜の港は、細長い四角になっており、南側が連絡船や観光船の発着場になっている。北側は、造船所や魚市場などが並んでいるが、その市場と造船所の間に堤防で囲まれた離島(まがきじま)という丸い小さな島があると、地図では明記されている。ところが、これも船着き場付近からだとよく見えない。
 実は、ここへやってくるまでは、「塩釜」の由来はそこにあるのではないかと、勝手に想像していた。その形は、塩に包んで焼く、塩釜焼のイメージを堤防に包まれた離島が連想させたからである。だが、どうやらそれは外れたらしい。
 塩釜焼はもっぱら、瀬戸内海や九州の名産品として鯛のそれがあり、近頃では鮭や牛豚など肉の特殊な調理法としてもある。塩釜では、その塩釜焼のかけらもない。
 けれども、それが製塩に由来する地名であることは確かである。海水を海藻にかけて焼くという、“もしおやく”が、昔の一般的な製塩法であり、離島はその海水を採取して御釜神社の神事に使う神聖な場所だったらしい。そして、その塩を焼く竃(かまど)から塩竃が地名となった。
 現在では、塩竃市は「竃」の字を使っているが、その他ほとんどは駅も消防署も警察署も、「釜」で間に合わせている。もともと、竃とそのうえにかける釜とは、別のものだが、これはどちらでもいいということになっているらしい。「竃」なども、“読めても書けない漢字”のひとつだからだろうが、その辺の事情は、塩竃市のホームページに詳しい。書けるという人でも、この字の書き順まで正確に知っている人は少ないはずだろう。この「竃」の字の書き順なんか、なかなかおもしろい。でんでんむしも「竃」の書き順、初めて知りました。
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 だが、やはり神社のほうはたとえ書けないとしても「鹽竃」でなければならないのだろう。鹽竈神社は、有名な神社である。来たのはこれが初めてだが、その名前だけはなぜかずっと馴染んでいた。平安時代から歌枕の地としてここがある種の「観光地」的な特別な場所であった。芭蕉もこのあたりで一泊したという裏坂から長いだらだらした石段を登るが、この石が黒い。あの手樽の人工海岸にあった石と同じ石に違いない。
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 その石とはちょっと違うのが、表参道の急な石段で、神社の門のところから見ると、遙か下のほうに道路と町が見える。昔は、今の塩釜港の入江がこの辺りまで延びていて、おそらくは船でこの石段の下まで来たものだろう。それを想像してみると、これはちょっとすごい景色になろう。
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 昔の入江は、今では町の大通りになっていて、工事が現在進行形で続いているが、塩竃にかかわる歌の碑などを、歩道に明りとともに並べ、電柱を埋設して、町づくりが行なわれている。
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 町の古さと歴史を感じさせる店や建物なども多いが、古い町に共通なのは、道路が妙に不規則に入り組んでいることである。
 聞けば、まぐろの水揚げの多い塩釜漁港のある塩竃市は、人口当たりだか、面積当たりだか、日本一お寿司屋さんが多いのだという。せっかくだから、その一軒にはいちおう入ってきた。
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 結局、今回の松島湾岸の岬めぐりは、塩釜の駅近くのホテルに2泊して、仙石線で移動しながらあちこちに出かけた。常連コメンテーターのknaito57さんが言うように、松島シリーズでは、立入禁止や行き止まりが確かに多かったが、それは松島湾岸が、人里を離れた場所ではなく、至るところ人々の生活の場に接していたからだろうと思われる。

▼国土地理院 「地理院地図」
38度19分34.35秒 141度4分2.75秒
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dendenmushi.gif東北地方(2008/10/13〜14 訪問)

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タグ:宮城県
きた!みた!印(7)  コメント(6)  トラックバック(1) 
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コメント 6

mon

初めまして^^
素敵な景色ですね!
居ながらにして、知らない場所を知ることができるって感動です。
by mon (2008-12-09 08:46) 

飛騨の忍者 ぼぼ影

古い佇まいのレンガ倉庫。
ノスタルジックな雰囲気ですね。

by 飛騨の忍者 ぼぼ影 (2008-12-09 15:33) 

knaito57

拙者、小学校で覚えた“塩釜”のみ信奉していましたが“塩竃”なんですか。竃はいい文字ですね。それと「黒い石」に目をつけるあたり炯眼ですな。植生はもちろん土や石には地域固有の特徴があるから歴史と文化を知る鍵になる。それはまた探偵・推理のヒントにもなるわけで……勉強になりました。
「寿司屋の数日本一」の根拠はちと?ですが、でも、うまかったでせうなあ。松の絶景よりもこっちのほうがいい──と思われる宮城県シリーズでした。
by knaito57 (2008-12-10 10:07) 

dendenmushi

@monさん、よくおいでくださいました。でんでんむしのは写真は、単なるメモ代わりと割り切っているので、まったくこだわりがないのですが、それでもだいたいの様子は、受け止めていただいているようですね。
 居ながらにして…と言うのは、確かに。
 みなさんのは、なかなか写真に凝っておられるのが多いようで。
 で、でんでんむしもビックカメラのポイントがたまったので、一眼レフのデジカメを、初めて買いました。
by dendenmushi (2008-12-11 07:24) 

dendenmushi

@飛騨の忍者 ほぼ影さん。でんでんむしの場合は、あくまでも岬めぐりのほうがメインで、そのついでにこうしたその周辺の町を歩いているだけなのですが、いろいろな町のいろいろな顔が見られるのは、なかなかおもしろいですよ。
 ここなどは、こうした古い建物が、まだいくつも残っていました。が、そのそばではどんどん工事も進んでいて…。
 また変わっていくのでしょうね。
by dendenmushi (2008-12-11 07:30) 

dendenmushi

@岩や地質などにも興味はあるので、ここらの黒い石には、すぐ気がついたのですが、なかなかどこにも説明がないので、ほんとうはどういう名前の石なのかわからない。
 どこかで書いているように「松島石」と呼ばれるものがあるらしいので、どうやらそれではないかとも推測してはいるのですが…。
by dendenmushi (2008-12-11 07:34) 

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