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341 二本松鼻=東松島市宮戸(宮城県)宮戸・野蒜海岸・奥松島の北端にて [岬めぐり]

 自転車をこいで、ひたすら宮戸島を縦断し、島と本土をつなぐ一本だけの橋まで戻ってきた。この東側にも凸凹の島と出っ張りが幾重にも重なっている。地図でみると、中小の島を周辺にばらまいて、畳石浦とか鮫ヶ浦とかいう名前もついているが、ここも遊覧船が乗場を出てすぐに回る、嵯峨渓の見せ場にもなっているようだ。
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 二本松鼻は、この畳石浦の北端にあたる。
 野蒜海岸がここから鳴瀬川の河口まで、北に3キロほどゆるい弧を描いているので、海岸を歩きながらどこからでも、この二本松鼻は眺められる。が、別に二本の松が目立っているという風でもない。これだから名前はわからない。
 この浜が鳴瀬川の堆積とおし寄せる海の波の造形作品であることは、前にもふれたが、その砂洲の伸びてきた先端付近では、海岸に葦原をつくっていて、それが岬の景色に風情を添える。
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 塩竈の島々から続いてきた奥松島の風景も、この岬を最後としてぷっつりと終わってしまう。ここから東は石巻湾がすぐに名前を変えた仙台湾を経て太平洋に続き、30キロ向こうには牡鹿半島があるはずなのだ。
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 野蒜の海岸は、石を敷いた小高い堤防に守られていて、その内側を自動車道路が走っているが、車はたまにしか通らない。その歩道では、今朝から何度も目にしてきた網干しをしている。やはり、軽トラックで運んできた網を、広げているところだった。作業をしているおばさんがいたので、やっとここで聞いてみることができた。なんと、これはワカメの網だという。これにタネをつけて、海に沈めるらしい。
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 そうか、ワカメも栽培されているのだ。どこかの水産研究所のページで見ると、なんでもワカメには南方系と北方系の二種類しかないらしいが、三陸の南方系ワカメのタネはいいが、ここで長くおくとあまりよくならないので、鳴門などに運んで育てる…みたいなことが書いてあった。
 ブランド牛と似たようなものか。近頃はなんでもそうだが、世の中なかなかシンプルではない。そういうのが、偽装などというケッタイな事態を生むのだろう。
 この日、宮戸島を歩いているときは、小雨もぱらつきそうな空模様だったが、実は野蒜に着いて、ニックキ・ユースホステルへ行く前に、海岸へ出てみたのだ。そのときはまだ東の海には陽の照り映えがあり、轟音がしたかと思うと青空でジェット戦闘機が飛行機雲で落書きをしているところだった。(丸山崎のコスモスの上で飛んでいたのも、トリではなく戦闘機だったのデス。)
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 この海岸の北側、東松島市の矢本には、航空自衛隊の松島基地が、北上運河に並んであるのだ。
 ここの航空自衛官達のなかにも、「論文」とやらを書いた連中がいたのだろうか。それが発覚したのはこの後だから、このときはまだそんなことは考えもせず、アクロバットや編隊飛行の描く飛行機雲を見上げていた。
 「近現代史観」を研究することは必要で、昭和の軍閥がいかなる考えをもつに至っていて、それがどのような苦難を国民に招来したかを、自衛隊も考えるべきだ。戦史研究なども行なわれてはいるのだろうが、そこから学ぶべきことをどう活かしているのか。それらをもっと開かれたものにするべきだろう。それが、こうした姑息な懸賞論文ではない、まっとうな論議を育てることにもなる。
 ただ、史観にも「真の」わざわざつけることで、耐震偽装のときには頭を下げた女ホテル社長の帽子と同じくらい、とたんにいかがわしくなることくらい、普通の常識を備えた人間なら誰もが承知のはずだろう。
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 野蒜の駅に向かう途中、松林の中にユースホステルと隣接して、かんぽの宿がある。立ち寄り湯の看板が目に入ったので、さっそく立ち寄ることに…。レストランで食事をして、温泉に浸かって、のんびりできた。温泉から出ると、コーヒー牛乳の販売機があった。ガラス瓶入りのコーヒー牛乳に、なにがしかの感慨をもつのは、限られた世代だろう。たくさんの空き瓶がケースに戻してあるのをみて、こちらも呑みたくなったので、湯上がりの一本。
 やっぱり、おじさんにはユースホステルよりかんぽの宿のほうが、お似合いなのか。
 野蒜の駅で自転車を返して、塩釜に戻る電車を待っているホームからみると、申し訳のように「奥松島」の看板をつけた駅舎の前に、青いアサガオが今を盛りに咲いている。アサガオ? いいや、今頃咲くのはアサガオなわけがない。これはなんとかいう外来種だろう。いち早くグローバリゼーションが進んだ花の世界では、舌を噛みそうなカタカナの花ばかりになっている。
 ホームで学校帰りらしいランドセルを背負った小学生のこどもが数人ふざけている…と思ったのだが、そうではないらしい。二人の男の子が一人の女の子を追い回している。女の子は本気で嫌がっているのに、男の子の悪ふざけはエスカレートし、耐えかねた女の子が持っていた手提げ袋を振り回し、それに対して男の子が蹴飛ばしている。女の子が逃げるようにでんでんむしが座っていたベンチに寄ってきたので、追ってきた男の子につい「やめろ!」と言ってしまった。思わず、「女の子は大事にしなけりゃダメだろう」と、ブラッドベリの『火星年代記』のラストのような台詞が飛び出してしまった。
 少しは効き目があったのだろうかか、やってきた同じ電車でこどもたちは二つか三つ先の駅で降りていった。ええっ? 小学生の通学区間としては、これはかなり長いぞ。学校の統廃合というのは、当然ながらこういう例がめずらしくなくなる。そういうささいなことに、先生や地域の目は行き届いているのだろうか。学校は、こどもたちに大切なことを教えているのだろうか。それにしても、毎日そうして通学しなければならないその女の子に同情し、その子がなんとか強くたくましく学校へ通ってほしいものだと願った。

▼国土地理院 「地理院地図」
38度21分18.82秒 141度9分49.80秒
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dendenmushi.gif東北地方(2008/10/14 訪問)

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タグ:宮城県
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