340 萱野崎＝東松島市宮戸（宮城県）宮戸島の東南端嵯峨渓では失敗シッパイの岬

　萱野崎を見るには、遊覧船に乗るのがいちばんだが、その船には乗ることができなかった。遠望の写真も、西の稲ヶ崎から撮るしかないのだが、実はここからの角度では、岬が大きく分かれているため、手前の萱野崎のほうないし岬のほうを眺めることはできても、向こう側の岬の先端は蔭になってしまうのだ。

　でも、まあそれで我慢するよりしかたがない。

　月浜から周回道路に戻って、大浜を突き当たったところに、自然歩道の案内板があり、そこから登りの道が山中へ入っていく。同じ道を引き返すのもおもしろくないので、帰りは案内板にあるしっかりした道を室浜へ行くのが、嵯峨渓も見えていいかも知れない。そんな考えが頭をよぎったので、幸いコンクリートで舗装してある坂道を、自転車を押してえんやこらと登る。
　…ところが、その道を上りきった先は、丸木での土止めをした急な階段がほとんど垂直に近く続いているではないか。先は森に包まれていて、どこまで階段があるのかわからない。これではとても自転車をかついで登るのは無理だ。

　そこには、石標があって、天然記念物のむろの木があるが、雷にうたれたらしくこれでは復活するのは大変そうだ。
　大変そうなのはこちらもそうで、天然記念物の心配どころではない。さてどうするか。とりあえず自転車はそこに置き、嵯峨渓らしいところが見えるところがないか、先へ進んで探してみることにした。

　歩きやすいいい山道が続いている。自然歩道を歩く会にしては、ずいぶん年配者が多い大勢のグループが、名札を胸に杖を引きながら歩いてくる。後で帰りに見たら、大浜の海岸に貸切りバスが待っていて、みんなはそれに乗るところだった。でんでんむしの自転車が一足先に大高森まで帰ってくる頃、そのバスがやってきて昼食でも取るためか駐車場へ入って行ったのだが…。
　ともかく、道がこのままなら萱野崎の上に行くこともできそうだが、崖の岬は極端に細くなっていて人が入れるような道がなく、途中で道は消えてしまう。後から考えれば、浜のほうに降りてみればそのほうがよかったのかもしれないのだが、そのときは嵯峨渓とやらいうものをなんとか…とばかり考えていたので、薮の中のわずかな踏み跡を探して山に入って行ったのだ。


　やがて、崖の上に出て、足元に海が見えた。ハマギクをたくさん載せた小島もあり、自然の波がつくった海侵ドームがある島の間を、遊覧船がターンしているところだった。確かにここから見える景色は嵯峨渓の一部であり、ここは萱野崎の細長くて凸凹の岬の途中であることは間違いない。


　しかしなあ、こっちは岬めぐりなのだから、それだけでは失敗だったことになるかなあ。

　ホテルに帰って、一日の反省をし翌日の計画をチェックしながら考えているうちに、あの年寄りのグループは、あの山道をどこへ行ってきたのだろうという疑問が、黒雲のように湧き上がってきた。それは、でんでんむしの失敗をどうやら確定的にしてくれたようだった。

▼国土地理院　「地理院地図」
38度19分18.76秒 141度10分56.35秒

東北地方（2008/10/14　訪問）

タグ：宮城県

コメント 2

な〜に、人間は失敗を重ねて成長していくんです（とは拙者の経験則）。
さすが変化に富んだ眺望ですねえ。起伏の多いこの景色の中、自転車をかついで難行苦行の図は想像つきます。でも、だからこそ岬のdetailsを知り、その印象がつよく残るのでは（これまた経験則）。バスツアーではこうはいきませんや。
by knaito57 (2008-11-17 07:58) 

＠明日から土曜日までお休みします。またかい？　またですよ。
　小さいコンピュータを持ち歩いて、現場からも書き込みなどができないわけではないのですが、どうも、そういう気にはなれない…。
　ホント、実際に歩いてみないとやはり印象に残らないですね。
by dendenmushi (2008-11-18 05:16)