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332 銭神崎=宮城郡松島町手樽(宮城県)宿泊客以外は立入禁止と占拠されていた松のきれいな岬 [岬めぐり]

 この仮称“手樽半島”の西海岸は、複雑な凸凹が続いていて、その海と陸の境は、岩に取り巻かれていて、道がない。松島湾の凸凹は、総じてそんな共通点があるらしい。ということは、岬があっても、その周りをめぐるということは、船でも仕立てないとできない。
 それならば、せめて岬の上まで行ってみたいというわけで、銭神崎もちょっとムリをしてみたが、やはり岬の先までは行けなかった。
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 結局ここも、ちょっと離れた手樽の海浜公園の海岸から見るしかなかったが、とくに松の枝ぶりが美しいここは、少し離れてみるほうがそれらしい。
 南に向かってカメラを向けることになるので逆光になり、その岬全体も松の姿も黒々としたシルエットになっている。
 岬に向かって途中まで大きなきれいな道路があったが、その道は仙台でも有名な旅館とそこが経営するレストランで行き止まりとなってしまう。迂回して奥に進もうとするとまた立札。宿泊客以外は立入禁止だと、ごていねいにも英文までつけていう。
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 むりやり雑木をわけ蜘蛛の巣を払いながら、右に降りてみても左に降りてみても、行き止まりで、どうにもならない。
 どうやら、この岬全体をこの旅館が占拠しているらしい。それは、昔からここに住んでいたというのではない。
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 土地がその私有を認められている制度のなかに暮している以上、どんな土地にも地主・所有者がいるということにも、いい加減慣れなければならないが、どうも岬めぐりをしていると、こんなところまで?となにやら納得できない気分になることがある。
 そもそも、こんな人も立ち入ることさえ困難な、崖に囲まれた生活の場でもなかった岬に、どういう経緯で私有権が発生したのだろうとか、考えてもしょうがないことまで考えてしまうのだ。そんなとき、司馬遼太郎がもっと長生きしていて、彼が次に挑むつもりだったという土地問題について、どんなことを書いただろうかと思う。
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 銭神というのは、四つの出っ張りをもつ岬の北側にある、小さな集落の名前で、船着き場というほうがふさわしい港もあるが、かつてはここも入江だったのではないかと思わせる田圃も細長く伸びている。
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 その田圃の道のそばに、こんな立札とかきがらの山があった。
 白いかきがらは、おそらく田圃の肥料になるのだろう。昔、祖父がつくっていた田圃で、こんなもん入れたら足に刺さって痛いのに…と思ったような、かすかな記憶がつとよみがえる。
 “およそ立札というものはこうあるべき”とでもいうような、古式にのっとった姿の立札のほうには、立派な筆文字でこう書いてある。
『 お願ひ
 たんぼに、空カン
 空ボール、ゴミ類
 などすてないで
 下さい。
 お願ひします
       主 』
 こんなところを歩いて通るのは、でんでんむしのような物好きだけで、滅多にあるわけはないから、やたら車で走っている連中や高級レストランに行く人間が、通りがかりに車内で出たごみを、投げ捨てて行くのだろうか。
 田圃の「あるじ」の困惑と怒りにまさる悲しみが、こちらにも伝わってきて胸をうつ。

▼国土地理院 「地理院地図」
38度22分33.08秒 141度5分47.09秒
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dendenmushi.gif東北地方(2008/10/13 訪問)

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タグ:宮城県
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コメント 2

knaito57

凸凹に富み複雑微妙な景観変化を持つ松島湾の特徴は、ここ一連の記事と画像からよくわかります。それらが永年にわたる地殻の変動・沈下に由来することも、社会科の学習効果で理解できます。行ったことも見たこともないのに“リアス式”とか“アブト式”を覚えているんだから我ながらえらいと思うけれど、岬の突端に至る道がないことまでは知らなかった。学習・教育の限界ですね。
モンダイは「やたら島が多く、ビューポイントが多すぎる」ことと愚考します。芭蕉爺を感嘆させた絶景景勝のオンパレードが「絵はがき集みたいで、へそを持たぬ観光地」という弱みになっていないか。岬にしても室戸・竜飛・伊良子のような全国区不在といううらみがあるのではと──。
by knaito57 (2008-10-31 08:36) 

dendenmushi

@岬への道は、さまざまです。ないのではなくて、あることもないこともある。
 松島湾の凸凹は、きめ細かな凸凹が多いですね。そして、どちらかというと名前のついていない岬のほうが多い。つまり、松島はあくまでも多島海の風景で売り出しているのですが、確かにここに大きな岬がド〜ンとあれば、また違った魅力がプラスされたかも…。
 げに教育は国の柱ですな。リアス式を学校で覚えて、それでとくにどうなるというものでもないが、歳とってやっと旅行に行く暇ができて、夫婦でうろうろしている中高年は、ここへきてそれを思い出すわけだ。

by dendenmushi (2008-11-01 08:24) 

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