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325 新崎=七尾市三室町(石川県)家からすぐに小口瀬戸の海へこぎ出せるようになっていて… [岬めぐり]

 新崎は、小口瀬戸にあって、対岸の能登島の小泉崎とちょっと斜めに向かいあっている。この二つの岬の間が、小口瀬戸の最も狭まっているところで、800メートルほどしか離れていない。
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 観音島から見ると、まさしく指呼の間にあるという様子がよくわかる。新崎の手前には鹿渡島の西隣の中田浦の名もない出っ張りも見えているが、この海岸沿いにはこれより西には行くことができない。
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 新崎には、「七尾国家石油ガス備蓄基地」といういかめしい名の施設ができていて、その周辺はぐるりと立入禁止になっている。そのため、七尾と鹿渡島を結んで走るバスも、新崎を避けて大きく山の中を迂回している。福浦の集落がいちばん基地に近いところで、そこをバスが通るときに見ると、緑色に塗られた丸いタンクが2基あり、その奥にはさらに5基のタンクがある。海岸には船着き場の突堤もあって、移送手段はもっぱら船によっているらしい。
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 鹿渡島のバス停は、港のそばの空地の真ん中にぽつんとあって、ここから先、湯川という山の中の集落まで行く便もあって、なかなか複雑な路線になっているが、夕方になってやっとやってきたバスは、ここでそのまま折り返して七尾駅へ向かう。
 「レクサスなんかに乗ってこんなところへ来るのはどーいうんだろうね」
 発車を待つ間、ちょうどやってきた車をみて、気さくな運転手さんは、半ば独り言のように言う。確かに、ここいらにレクサスは似合わない。「さっき金沢へ行ってきたんだけど、ザンザン降りだったですよ」と、今度はまたたった一人しかいない乗客であるでんでんむしに話しかけてくる。やはり、さっきの雷雲は、金沢から富山へ抜けていったらしい。
 このバスは、七尾南湾に沿っていくつもの集落を結んでいる。小口瀬戸の穏やかな景色を見ながら走る車窓はきれいだが、道がかなり狭いところも多く、バスも若干小振りのようである。
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 来るときに乗った七尾駅前からのバス停は、ちょうど今夜泊るホテルの真ん前にあり、発車前から車内には数人の乗客があった。原油高の影響か、暑いのに停車中は冷房を切っているので、とても車内で待ってはいられないと、数人がまた降りてくる。発車の間際になって運転手さんがやってきた。
 そんなバスの乗客は、年寄と高校生ばかりだった。本数は少なくても、これでも生活と通学に欠かせない路線なのだ。女子高校生の一人は、なんと鹿渡島まで乗っていたから、これで七尾の高校まで通っているのだ。
 といっても、時間的にはバスに乗っている間は40分足らずといったところなので、そう遠くはない。遠くなくても不便なところは、いっぱいあるということだ。
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 帰りのバスが三室の付近を通るところでは、昔ながらの稲木を組んで、刈り取った稲穂を干す作業をしているところに遭遇した。これも近頃ではコンバインが入ってあまり見なくなっていた光景である。
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 この辺りには、田圃があるとは言うものの、山と海に挟まれた狭いところが多いので、機械化の効率も良くないのだろう。
 その田圃と海の間に、興味深いものがある。バスがそのぎりぎりを走るため、写真を撮るのには失敗してしまったのだが、家の前の田圃の間に、海に出る狭い水路が設けられていて、そこに小さな船が引き込まれているのだ。まるで家庭用のガレージよろしく、その船の上には屋根がつけられている。そういう水路が家ごとに引かれ、家からすぐに船で小口瀬戸に漕ぎ出していけるようになっているのだ。その屋根や石組みなどの造りも、いかにも自作のような趣がある。“家からすぐ海”では、丹後に伊根の舟屋という有名なのがあるが、あれとはまた違うなんともいえない風情がある。(上のLPGタンクの小さな写真にも写っているが、これは比較的新しくて大きなもので、これとも若干異なる。)
 まさしく、半農半漁の暮らしが、この路線の沿線には息づいているようだった。

▼国土地理院 「地理院地図」
37度6分23.46秒 137度1分49.40秒
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dendenmushi.gif北越地方(2008/09/06 訪問)

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タグ:石川県
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コメント 2

knaito57

観音崎も新崎もいい風情ですねえ。人影皆無というのでなく、ぽつぽつと存在するテイドがまたいい。記事を読んでいると、なんだか懐かしい気分になる土地柄。自家用舟と専用ハーバーというのも楽しく、イメージがふくらみます。ほんに、どこにでも生活があるんですなあ。
拙者、稲架のある光景が好きなんですが、これに刈り取った稲をかけてあるようすを見なくなりました。コンバイン導入のせいばかりでなく、数年前に頻発した農作物盗難の影響かと思っています。ここは、そんな嘆かわしい事件が起こりそうもない土地柄ですね。
by knaito57 (2008-10-13 09:39) 

dendenmushi

@ハーバーというようなものでなく、まったくの溝ですね。小舟がやっと入るくらいの幅しかないのです。
 ほんとこれは写真に撮れなくて、残念でした。
 でもね、これももう相当傷んでいて、修理するでもなく、打ち捨てられているという風情でしたね。
by dendenmushi (2008-10-16 08:20) 

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