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309 魚見崎=熱海市熱海(静岡県)一時期は自殺の名所とも言われた錦ケ浦は“名門熱海”の象徴だった [岬めぐり]

 熱海といえば、行ったことのある人は多かろう。行ったことはないけど、新幹線の窓からなら見た、という人はもっと多い。行ったことも見たこともないけど、名前だけは知っているという人はさらに多かろう。魚見崎は、新幹線の窓から見える岬である。
 いやー、岬らしきものは見えなかったけどなあという人でも、湾の南に白い大きなホテルの建物が、折り重なるように立っているのは見えたはずで、そこが魚見崎だった。
 鏡ヶ浦という、かつては自殺の名所とも言われていた断崖の海岸が続く、北寄りの突端は、ほぼ垂直の崖が凸凹に入りくんでいて、今ではそのすべてをホテルや観光施設が埋めつくしている。その上の山には、観光城の第一号かも知れないコンクリートの城のようなものがある。
 週末の渋滞道路である伊豆方面につながる135号線は、その内側をトンネルで抜けるが、そのトンネルの熱海側付近には、魚見崎というバス停がある。けれども、ここで降りても、簡単に魚見崎に行ける訳ではない。
 魚見崎の名は、昔々この岬に上って魚群の影を追い求めた、静かな漁村だった頃の熱海を彷彿とさせる数少ない名残であろう。なんとしても、魚見崎の魚見崎らしいところを、ちょっとでも見たいものだと、ロープウエイで登ってみたが、狭い展望台からは、足下の岬は見えない。それでも、岬の上に立っていることだけは、我とわが身に言い聞かせなければならない。
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 秘宝館だのなんだのが取り巻いていて、辺りを自由に歩き回ることもできないので、早々に折り返す下りのロープウエイに乗って、退散する。
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 でかいホテルの向こう側に回るために、ぐるっと迂回してみると、工事中で通せんぼがしてあるが、道は崖と海で行き止まり、トンネルもあるが私有地として囲い込むつもりで、扉がついているため、どっちにしろここから先へは行けないらしい。
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 要するに、ここが魚見崎。
 日本中どこへ行っても、“開発と保存”の対立する二つの命題のもとで、揺れ動き、悩みのたうつ姿がある。熱海も、あまたの間貫一や富山の後継達がこの町を食い物にして暗躍し、すべてが金色の夜叉となって蠢いた、悪夢の跡であるともいえる。その盛衰の歴史を刻み、辿ってきた歴史の中に教訓を得られれば、そのうちモデルケースとして注目されることになるのではないか。
 かつては、日本一の観光地として勇名を馳せた町も、バブル崩壊とともに、巨大なホテル旅館がつぎつぎに廃墟と化し、町にはシャッターが降りたままの店が増えた時期もあった。
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 廃業ホテルのいくつかは、マンションになったりして、さすがに廃墟はなくなっているが、過去の栄光を取り戻すことができない(必要でもない)としても、新しい温泉地として生まれ変わろうとする努力を、放棄した訳ではないらしい。
 モデルケースとなれるのは、その努力がなんとか実ってきてからのことになるのだろう。
 それでも、観光地熱海の古傷が、完全に整形されることはないのだろう。

▼国土地理院 「地理院地図」
35度5分11.44秒 139度4分52.61秒
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dendenmushi.gif東海地方(2008/07/22 再訪)

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 国土地理院の電子国土の地図(ウォッちず)は、この春(2008)から改良されて非常によくなったのだが、どうも作業を急いだと見えて、文字表示が粗雑である。前回の竹ヶ端に続いて、今度は魚見崎の文字が途中で切れている。上の浄水管理センターの文字も同じように切れている。ミスとしてまた教えてあげれば、「蜻画(呉港)」の時のように訂正されるのだろうが、なんだかそれもめんどくさい。
 呉港の時は、ほんとにどういう意味があるのかわからなかったので、問い合わせたが、単純なミスとわかっているものをいちいち指摘するのも、傍目にはあまり上等の趣味とも思えないのだが…。


タグ:静岡県
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コメント 2

knaito57

東京人が、知っているつもりでも全然知らないのが熱海。たしかに鏡ヶ浦は自殺事件や小説で名前くらい知っていますが、魚見崎とは、とんと。でも、ホテルが岬にまるごと覆いかぶさってるなんざ、さすが熱海ですな。江戸川ではアレチウリが、ヤマナラシの高木を丸呑みするごとくはい上がっています。
暑さにめげず『カナリヤ殺人事件』『オランダ靴の謎』など、図書館から借りた古い創元推理文庫を片っ端から読んでいます。ところが誤植がめだってしやうがない。ともに初版は59年で前者は79年印刷の50版、後者は85年の63版──これら名作がいかに多くの人に読みつがれてきたか。またいかに多くの人が校正ミスを見過ごしてきたか。気まぐれな拙者が出版社にこの“誤植メモ”を送付したら、どんな対応をするでせうね。
by knaito57 (2008-09-08 10:35) 

dendenmushi

@そうですか。お金になるなら、一生懸命校正するでしょうけどね。創元推理文庫はねえー。まあ、多くの場合、気がついても、「ああ、やっとるやっとる」ということで、済んでしまいますからね。
 だから、50、60と版を重ねても、そのままになってしまう…。
by dendenmushi (2008-09-10 08:12) 

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