SSブログ

281 御番所鼻=葦北郡芦北町大字田浦町(熊本県)い〜えダブっておりませんです・本家争いか? [岬めぐり]

 本来なら、一日おきのペースでは昨日7/1の書き込みがなければならないところ、それがなかった。かと思えば、前回と同じ岬の名前をまた出してきて、どうなっちゃったのだろう…などと深読みをして心配してくれる人など、まさかどこにもいないだろう。“ひとりボケツッコミ”だが、昨日は、個人的なよんどころない事情でどうしても書き込みができなかったが、今日の同じ岬の名前が連続しているのは、ダブっているわけではないのだ。
 前回のは、「芦北町大字鶴木山の御番所の鼻」。そこ佐敷から肥薩おれんじ鉄道で海浦を過ぎ、田浦を過ぎ、「田浦御立岬公園」という駅で降りて、やってきたここは、「芦北町大字田浦町の御番所鼻」である。大字の名に「町」がついているのも変なもんだが、合併につぐ合併でこういうのもめずらしくなくなったのである。芦北町はこれまで周辺の市町村が複雑な経緯を辿ってきたが、やはり3年前に田浦町と合併して、新しい芦北町が誕生している。そのせいで、「大字田浦町」とせざるをえなくなった。
 いやいや、向こうに見えているのは入御岬という別の岬で、御番所鼻はこの石段と手摺と船着き場のような、その跡のようなものがくっついた、ここが御番所鼻。
gonabbsyohana01.gif
gonabbsyohana02.gif
 前回の御番所の鼻と同様に、こちらも道路が大きくカーブする曲がり角になっており、やはり同様に船番所がおかれたところなのであろう。田浦(たのうら)港という港を取り巻くようにして、 埋立地があり、工場ができているが、ここはそう大規模ではなく、昔の面影を残しているのかも知れない。
 でっかい石碑が立っているのだが、こういう場合の例に漏れず、さっぱり読めない。こういうとき、日本人としていささか情けないとも思ったりするのだが…。
gonabbsyohana03.gif
gonabbsyohana04.gif
gonabbsyohana05.gif
 しかたがないので、そばの読めるほうの案内板を読むと、なんと、前回の「280 御番所の鼻」で紹介した長田王の同じ歌がまた出てきたではないか。しかも、単なる拡大解釈ではなく、“こここそが真の「野坂の浦」である”と主張しているのである。
 これは芦北町教育委員会が立てたもので、前回の佐敷も同じ芦北町であるから、あれは熊本県の見解、地元の町の見解では同じ町内だがこちらのほうが真の野坂の浦だと言っているわけである。
 まあ、通りすがりの者としてはどちらかに軍配を上げるという努めもないので、“なるほど。さようか”という程度にしておかなければならない。
 あれっ? また不思議なことを発見してしまった。
 この案内板では2002(平成14)年芦北町教育委員会と書かれている。だが、直近の合併で田浦町が芦北町に加わったのは、2005(平成17)年のはずである。2002年にはまだ、田浦町だったのだが…。
 そんな?を嘲笑うかのように、次の古墳の案内板では「昭和54年」という日付でこちらは町名のところに「芦北」と貼付けた形跡がある。しかも、それ全体が元の表示の上にべったりと貼付けられたようになっていて、どうでもいい細かいことにこだわりんさんなと言われているようだった。
gonabbsyohana06.gif
 田浦港を囲んでは、松ヶ崎、黒崎、大崎と、現在は岬ではないものの、かつてはそうであったかも知れぬという名残をとどめた字名が残っている。そのひとつの大崎のあたりの海岸に大きな古木が海に枝をせりだしており、その背戸の山には古墳もあるらしい。同じく教育委員会の案内板によれば、地表から3メートルの地下に天井も壁も朱色に塗られた板石で覆われ、小石を敷き詰めた石室が発見され、頭蓋骨が二つあったが、いつ頃誰がつくり誰が被葬者なのか、石はどこから運んでいきたのか、それはすべて不明のままだと書いてある。
 世の中には不思議なことが多い。それには、ある程度わかっているけどここが不思議だね、というのと、さっぱりわからない不思議というのがある。これなどは後者で、北九州の装飾古墳のこともすぐに連想した。さりとて、それと関係があるやらないやら、それもわからずいいようもない。九州の古代史は、まさに不思議で塗り固められているが、それ以上に踏み込めないのがもどかしい。
gonabbsyohana07.gif
gonabbsyohana08.gif
 「田浦御立岬公園」という駅は、南にあった「田浦」とは別に新しくできたような雰囲気を漂わせて、畑の中にぽつんとある。周辺はのどかな景色が広がり、海沿いには計石でも見かけた、入江になった水辺に人が古くから長く密着して暮らしてきた証拠のような風景が、ここにもあった。

▼国土地理院 「地理院地図」
32度21分31.72秒 130度29分55.69秒
gobannsyoM.gif
dendenmushi.gif九州地方(2008/04/20 訪問)

にほんブログ村 その他趣味ブログ
その他珍しい趣味へ 人気ブログランキングへ
タグ:熊本県
きた!みた!印(4)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

きた!みた!印 4

コメント 2

knaito57

なるほど九州は古代史の宝庫ですねえ──地図を頼りに各地をまわっていると、町村合併や住居表示変更など「政治的影響」によりわかりづらくなっている場所が多いでしょうね。そもそも地名は歴史を知るに重要な情報ですが、字名にも軽く扱えない味わいあると思います。
久子姉御も逝き、歳月の経過を感じますなあ。もっとも熱烈カープファンは多士済々ですけれど。
by knaito57 (2008-07-03 07:15) 

dendenmushi

@先だって「地名学入門」みたいな本を読みました。なんにでも「学」があるんですね。しかし、その本では、岬についてはまったくと言っていいほど言及していなかった…。
 ただ、おっしゃるような「政治的影響」は、かなり昔からあったらしく、その本では明治の時代に「こういう地名のつけ方はよくない」とかいって嘆いている人(学者)がいたらしい…。それが今でもそうなのだから、学者というのはなんの力もなかったことになる…。
by dendenmushi (2008-07-04 09:52) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました