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271 魂崎の鼻=宇城市不知火町永尾(熊本県)お金もそうだけど記録も大事だよ〜♪松橋 [岬めぐり]

 魂崎の鼻と呼ばれる岬は、黒田の鼻とほぼ同じような岬であり、正確に言うと、「もとは岬だったところが、陸地のなかに取り込まれてしまった跡」とでもいうほうが、実際の姿を表わしている。これを岬の名で呼ぶ人や必要は、もはやどこにもないのかもしれない。
 温泉センターと道の駅を挟んで対峙しているが、とくに目立つわけでも出っ張っているわけでもないので、車で通る人(歩いて通る人など誰もいそうにない)の誰一人として、これらの岬を意識することはない。写真で、ちゃんと出っ張って立派な岬のように見えているのは、名のないカーブで、その手前のこんもりと茂ったところが魂崎の鼻である。それでも、地図を見ればちゃんとその名が記してあり、それによって昔の姿を想像してみることもできるのだから、これも“記録する”ということの威力なのであろう。
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 先にも書いたが、宇城市の市域は広い。といっても八代市には負けるが、その市役所がある場所は、鹿児島本線の松橋(まつばせ)のあたりである。ここへやってくるまで、まったく知らなかったのだが、この市も3年前にできた市で、その名は一般公募したものだという。宇城(うき)というのは、よくある造語ではなく、広域の呼び名として使われていたものらしい。
 八代海が北東のどんづまりとなるところで、幾筋かの川が注ぐ湾のようになっているが、それも沖合に若洲という干拓地がせり出してきたからである。不知火が現われなくなったのも、これでは無理からぬところであろう。
 バスは熊本のバスターミナル行きだが、松橋で降りて電車に乗り換えるつもりだ。
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 だんたんと家が増え、松橋の市街地に近づいてきた。
 「駅前」というアナウンスに急いでバスを降りたのはいいが、あたりはちっとも駅前らしくない。住宅地と畑が入り交じり、細い川が一筋流れ、ゴミ出し場があるだけである。ヘンなところで降ろされたなあと思いつつ、地図を思い浮かべながら、駅を探し当て歩いて行く。駅前というバス停も、駅自体も、市街地の中心からは外れたところにある。
 いかにも鄙びた風情の駅のベンチに腰掛けて見ると、ここらでは名所らしく、ホームの端に不知火温泉の看板も目にする。その向こうの畑の間の道を、白いヘルメットをかぶって自転車に乗った中学生が、通り過ぎて行く。
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 記録が大事だということで、思い出すのは竹崎季長のことである。別に親戚でも知り合いでもないのだが、『蒙古襲来絵詞』というのは、誰しもが教科書で見て覚えているはずである。あの元寇の合戦をつぶさに記録した資料の発注者であるこの人は、実はここ松橋の人だったのだ。
 彼が、自分の戦での活躍ぶりを絵巻物にして記録しようと思ったのは、その戦後の恩賞が得られなかったことに憤慨し、自己の成果評価の低さ不十分さに大いに不満があることを隠さず、“もっと褒美をくれなきゃグレてやるぞー”と、自分の主張の正当性を鎌倉幕府に訴えるために残したものなのであった。
 動機はともかく、彼のお陰で、現代のわれわれも700年以上も前のあわやの国難となった元寇の戦いのさまを、いくらか彷彿することができるのである。
 それにしても、ここから博多湾の警備に出かけて、しかもその結果の処遇に異議を申し立てるという行動に出た竹崎さんのことを思うと、当時の「国」の制度や意思の統一、情報の伝達などにおいて、国というものの不思議さを想うのである。
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 そんなことを考えているうちに、八代行きの電車がやってきた。これも前にどこかで書いた覚えがあるが、九州のJRの電車は、なかなか多彩でそれぞれいろいろな工夫がされていて、おもしろい。この電車もそうだが、窓がワイドで一面である。どこかの線ではこの窓にフィルムで絵がかたどってあるのもあった。
 ここでは、左端のマークに注目。これは初めて見た。「座り込み禁止」のマーク。

▼国土地理院 「地理院地図」
32度38分0.22秒 130度37分48.91秒
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dendenmushi.gif九州地方(2008/04/18 訪問)

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タグ:熊本県
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