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260 知念岬=南城市知念字久手堅(沖縄県)旧知念村知念の無念 [岬めぐり]

 乗ってきたのは志喜屋(与那原廻り)線の東陽バスという会社のバスで、路線図には「知念体育館前」というバス停になっているのに、アナウンスは別の名で告げている。だが、知念岬へ行くには、ここで降りたほうがよさそうだ。こういうときに、独特のカンが働くのだが、たまにこれがはずれることもある。ピンポンと降車ボタンを押すと、今回はみごとピンポン! やはり、ここがそうだった。海へ向かって歩くと体育館の大きな屋根が見えてきた。知念岬はその先にあった。
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 かなり広い、丸く突き出た岬の全体が、公園として整備されていて、丸ごと岬という感じは、なかなか気持ちが良い。
 お昼時だが飲食店などはまったくないので、バス停のそばのコンビニでおにぎりとお茶を買ってきたのを、芝草の上に横たわってぱくついていると、一羽の鳥がすいーっとやってきて、そばに降り立った。野鳥のくせに、ずいぶん人なつっこいヤツだ。おにぎりのかけらを、指ではじいてやると、ちょんちょんとやってきてつついている。なんどかそれを繰り返すと、また来た時と同じように唐突に飛び去っていった。
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 平たい園地にはなにやらオブジェも目立っているが、対照的に目立たぬように控えめに知念村の記念碑というものがある。
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 “これは「開村記念」だろうが、その実は「閉村記念」なのであろう”…と思ってよく見ると、まさしく「開」ではなく「閉」であった。100年前に開村した知念村は、つい2年前に広域合併により消滅したはずだからだ。この碑を見ていると、“あと2年待てば開村100年を祝えたのに…”という知念の無念の声が聞こえてきそうだ。
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 「知念」の名は沖縄出身のタレントの名でおなじみだが、おなじくおなじみの「具志堅」の名も、この村の字のひとつだった。今の南城市の中心はバスの終点の志喜屋で、そこへ行くまでには知念城というお城もあったらしい。この知念の半島も、この地形から見ると出城か何かそんなものがあったのかも知れない。
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 北側には海洋レジャーセンターとかいうものがあるらしい。そこから飛び立ったものか、白いパラグライダーのセールが、青い海に浮かんで流れている。
 前回の259で、「琉球石灰岩の小島の裾が海岸近くで内側まで削れるのは?」という疑問を呈していたが、この海岸の遠浅の岩の連なりのなかにそば徳利を逆さに立てたような岩を見たとき、その疑問は自分自身で訂正しなければならない、と思った。つまり、岩の海面近くが均等にえぐられるのは、外海からの大きな波浪によるのではなく、その周辺で絶えずうねりただよっている小さな波の動きによるものなのだ。
 展望台の東屋で、カップルが交代で写真を撮っていたので、おせっかいおじさんは声を掛けてシャッターを押してあげた。この若い二人は、この先どんな人生行路をゆくのだろうかと、ふと妙に気になったのだ。
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▼国土地理院 「地理院地図」
26度9分59.58秒 127度49分47.94秒
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dendenmushi.gif沖縄地方(2008/03/07 訪問)

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タグ:沖縄県
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