181 合磯岬=いわき市平豊間(福島県)なんと読むのだろう? [岬めぐり]
「境界」というものは、ふしぎなものだ。いわきのように合併でくっついた市の場合は、それだけでも妙な違和感があるものだが、もっと細かく町や字の単位でみても、境界にはおもしろいことがたくさんあるように思える。それが、あるいは人間のつくる「社会」の原単位なのか、字の境界は合併でもなんでも、あまり変わることなく、連綿と続いているのではないか。
たとえば、富神崎(180=番号入れ替えました)があるところは「平沼ノ内」という字名で、いわきからのバスを最初に降りた新しい住宅地である「平沼ノ内諏訪原」は、その中に食い込むようにして、わざわざ別の町字名を主張している。それも、まったく別の名前でなく、「平沼ノ内」をくっつけているところが、いかにもいわくありげである。なのにそこから土手を越えて海岸に出たところは、また「平沼ノ内」ということになっている。
町名字の境界は、なかなか素直でない。が、この場合に想像できるのは、諏訪原の住宅のような別荘のような新興地の場所は、もとは湿地か沼か何か、そういう地味だったのではないか、ということだ。
富神崎のあるところはまるまる「平沼ノ内」だが、「平薄磯」と「平豊間」の境にある塩屋埼も、「平豊間」と「江名」の間に位置する合磯岬も、岬が字を分ける境界になっている。個々の地形にもよるのだろうが、岬は境界をつくる要素のひとつなのだ。
そして、ここまで書いてきて気がついた。「平沼ノ内」は、「平沼」ではなくて、「平」の「沼ノ内」なのであり、「平薄磯」も「平豊間」も、旧市名の「平」のいわれを残すものだった。
合礒岬は小規模ながら、地形的には厳しく、回遊道も集落も、もちろん港も寄せ付けず、北と南をはっきりと区切って、その役目を果たしているようだ。この岬に続く北側の砂浜は、サーファーなどには知られた浜であるらしい。
ところで「合礒」。これをなんと読むのだろう。実はずっとわからなくて「あいいそ」とか、適当に読んでいたのだが、「がつつお」という。岬だけでなく、字名にもあるこの呼び名、音で聞けば「がっつお」ということになる。これだから、地名はわからないし、一筋縄ではいかない。
追記:読み方については、「かっつぉ』と読むと、地元の「ゴローの飼い主」さんから 、「159 雄美岬・猿多岬(豊後関前)」の項のコメント欄で教えてもらった。その後、地理院地図でもふりがなをつけるようになった。
▼国土地理院 「地理院地図」
36度58分24.97秒 140度58分7.89秒
東北地方(2007/10/14 訪問)
コメント 0