SSブログ

175 古房地鼻=日立市大みか町四丁目(茨城県)何事も思ふことなくいそがしく… [岬めぐり]

 日本の原子炉第一号の地・東海村(村とはいっても常磐線の東海駅は、そこいらの市の駅よりも、う〜んと立派である)を過ぎ、久慈川の鉄橋を渡ると、3年前まではそうではなかったが、次の駅があるそこは日立市大みか町になっている。「大みか」と書き慣わすことになっているようだが、もともとここの正式な地名は「大甕」である。これじゃ誰も読めんし書けんじゃろうと、どこぞの小役人あたりが気をきかせたつもりでそうすることにしたのだろう。
 こういうことは、ごろごろある。気象予報から「宵のうち」というのがなくなったのも、これと同じ発想なのだ。でんでんむしは、こういうことは行き過ぎであると思う。“日本語や文化の後退・破壊である”などとは、とても言う立場にもないが…。
 民主主義というのは、低いレベル(そういって語弊があれば「一番下のライン」で。どう言い換えてみても同じことか)で足並みを揃えることになると、誰かが言ったとか言わないとか…。どうやら、それは真実であるらしい。でんでんむし的には(おっと、これも日本語の破壊か?)、「宵のうち」を知らない人が多いというなら、気象予報だけでもそれを使い続け、その言葉を知らしめ残すべきだと思う。
 「甕」とは、筒型の主に酒や水を入れる瓶(かめ)のことである。「大甕」というからには、それにかかわるれっきとした謂れでもあるのかと思うだろう。そう思ってちょっと調べてみたが、これがほとんどはっきりしていないらしい。古墳には筒型の埴輪を並べたりするものがあるので、そういう古墳でもあるのかと思っていたのだが、それもない。
 どうやら、神と人との領域境界を示すために大きな瓶を並べたか置いたかしたのでその名残ではないか、という相当あやふやな結論しかないようだ。
 おやおや。大甕駅もなんとなくおしゃれなつくりで、なんだかあかぬけした若いおしゃれ女性が多い。こういう場合、“鄙には稀な”という常套句もあるのだが、なんでだろう。地図を見たら、この駅の西側には、茨城キリスト教学園・大学という中高大一貫教育の私学があるのだ(これは後日平日に茨城再訪時の駅での所見)。
 駅前には黒塗りのタクシーがたくさん溜まって客待ちをしている。黒塗りのタクシーというのは、そう多くはない。御用邸にひかえた逗子葉山もそうだったが、規制緩和で参入が増えてから白いタクシーも混じるようになった。が、それはまあ本題と関係がない。

 ここにも、日立電鉄という私鉄の駅もありローカル線が走っていたが、数年前それもなくなっている。駅からほぼまっすぐ東へ行けば海岸に出る。古房地鼻まではじゅうぶん歩いていけるが、後の予定を考えると、できるだけ先へ行っておきたい。日立の工場などがあるが、この日は土曜日だったので、ヒマにしているタクシーの一台に乗って「日立灯台まで」というと、ドライバーは「こふちのことかな」と半分独り言にして車を走らせた。意外にも日立灯台という呼名は、さほど浸透しているわけではないらしい。
 岬の灯台の沖には、大きな船が近づいてくる。この南には日立港があり、灯台もそのためにできたのだ。

 古房地鼻は、岬の全体が芝生の公園になっていて、そのすぐそばまで新しいおしゃれな住宅街が迫っている。昭和42年にできた日立灯台は、和ろうそくをモチーフにしたような、新しいおしゃれデザインである。その裾には螺旋の傾斜路がついているが、そこがなんとごみだらけ。それも、かなり前からここに散らかっているようで、おしゃれ灯台やおしゃれ住宅街とは、まことにアンバランス。

 灯台の先に、すごく立派な銅像がある。昭和11年というから、あるいはここの日立の工場ができるより古いものだろうか。なるほど。当時は、ここらは鰯漁の町だったのだ。
 その脇には、なぜか啄木の歌碑がある。
    何事も思うことなくいそがしく暮らせし一日を忘れじと思う
  啄木の歌は、実は嫌いではない。あの、なんともいえない負け犬的なところがいかにも愛おしく、尊いもののように思えるのだ。

 歌碑に並んでいるトベラの木には、たくさんの実がついていた。

▼国土地理院 「地理院地図」
36度30分33.14秒 140度37分56.96秒
175こぶちはな-75.jpg
dendenmushi.gif関東地方(2007/10/13 訪問)

@このブログは、ヘッダー、サイドバーをも含めた、全画面表示でみることを大前提としています。

にほんブログ村 その他趣味ブログ
その他珍しい趣味へ 人気ブログランキングへ

タグ:茨城県 灯台
きた!みた!印(4)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

きた!みた!印 4

コメント 3

knaito57

なぜ啄木? わかりませんねえ。まあ記念碑というのは牽強付会、我田引水のこじつけが多いのでしょうなあ。
前回の椿並木もみごとでしたが、トベラの実に注目するとはさすがあ。私は「一を聞いて十を知る」手の賢者なので、石廊崎を思い出しました。きっと潮風に強く、岬にはどこでもトベラが繁茂しているように思っているんです。
by knaito57 (2007-10-31 13:58) 

dendenmushi

@とくに歌碑や句碑には、「牽強付会・我田引水」とはいえないまでも、ちょっとムリヤリ系、というようなのが多いことは事実ですね。
 177も記念碑です。
by dendenmushi (2007-11-01 07:41) 

とも〜る

日立灯台、こういうアングルで撮れるんですね〜?!
灯台好きな方のサイトを見ると、みなさん灯台そのものを撮られているので、至近距離からの写真しかなくて・・・^^
私の場合は、まず岬好きで、灯台好きというのは、後付けみたいなもので、
厳密に言うなら「灯台のある岬好き」ですかね。
なので、こういう遠景で灯台が撮れるアングルが好きなんですよ〜。
いや〜、とても参考になります!!
ありがとうございます★
ここも絶対訪れます!
by とも〜る (2009-08-26 22:52) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました