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169 弁天岬=男鹿市戸賀戸賀(秋田県)まーるいマールが二つ三つ [岬めぐり]

 弁天岬は戸賀湾の北に延び、その懐にひっそりとある戸賀の集落を抱えて守っている。ニノ目潟越しに見たこの遠望写真は、実は昨年に入道崎に来たときにバスが立寄った八望台から撮ったものである。南側のゲド鼻や宮島とともに、戸賀湾を丸く包んでいる。

 男鹿の一ノ目潟・ニノ目潟・三ノ目潟といったマールが「爆裂火口」であり、戸賀湾もそうである、といった記述をこれまでしてきたように思うが、どうやらこういう言い方はかなり大雑把に過ぎ、しかも間違いであったようだ。
 溶岩を噴き出すような火山性の爆裂火口とガスまたは水蒸気爆発だけのマールは、まったく別の形成過程を辿ってきたものであるらしい。戸賀湾は前者であり、後者である三つの目潟とは別なうえに時代区分も多少異なるというのが、最近の知見だという。なるほど、そうなのか。昔読んだ本では、戸賀湾もマールのひとつとあったのだが…。

 ここ戸賀のマールでは、マントルの一部であるかんらん岩のノジュール(本体から分離できる個体=捕獲岩)を含んでいることで、専門家の間では貴重な貴重な資料として知られているようだ。
 多少興味を持って地学の本を生かじりし始めたのは若い頃で、ちょうどその時期が、マントル対流論や海底拡大説などを統合したプレートテクトニクス理論が最新の学説として登場したときに符合していた。
 もっと古くからあったウェゲナーの大陸移動説は、世界地図を眺めていて、南アメリカ東海岸とアフリカ西海岸の線がどうしてもパズルピースの断片のようにうまく重なり、嵌まりそうに見えるのはなぜだろうという中学生の疑問には、ぴったり答えてくれたように思えたものだった。
 岬めぐりの興味を構成する要素にはいろいろあるが、地学もそのひとつで、男鹿半島が最初から半島であったとは思えなかった。地図で見ているだけでも、ある程度波想像できる。来てみてそれはもっとよく、はっきりと自分の目でも確認できる。
 6〜2万年くらい前の火山活動が、男鹿の山々をつくり、寒風山や目潟の付近ではボコボコとマグマの活動によってガスや水蒸気や火山の噴出があり、それでできた窪地にやがて水が溜まって目潟のような火口湖となったり、寒風山のようにその形だけが残ったりした。ちょうど別府の坊主地獄のように、あるいはカレー鍋やシチュー鍋が沸騰するように…というたとえも考えられるが、そんなにぐつぐつ沸騰していたわけではなく、マールができる爆発は一度だけらしいので、これはやはりいいたとえとはいえないだろう。
 そうした活動によってできた少し大きな島が今の男鹿で、それがまた長い年月の間に海流と風のたゆみない努力で砂州ができて本土とつながり、その間の海が八郎潟という汽水湖に変わり、それが今度は人為的な活動によって陸地化している、というわけだ。
 こうした想像をしてみると、まさに日本誕生序曲の幕の内側を覗いているような気分になれる。(そういえば、先日NHKが古い映画を流す時間で、『エデンの東』をやっていた。このオーバチュアには、モンテレーの岬が、ずっと映っていた。昔、超満員の映画館で立ち見で見たときには記憶に残らなかったけど…。歴史はアダムやカインとアベルに始まっているわけでもない。)

 弁天岬は、そうした火山活動によってできた外輪縁辺の一部が、絶え間ない海の浸食に耐えて残った。
 バスは、雲形定規で引いた線のような戸賀湾の汀に沿って走って行く。

 例によって “我が道を行く” buzzmapのZENRINの地図↓では、「弁天崎」という表記になっているが、やはり国土地理院の地図でも「弁天岬」なので、あしからず。

▼国土地理院 「地理院地図」
39度57分24.99秒 139度42分29.90秒
169べんてんみさき-69.jpg
dendenmushi.gif東北地方(2007/09/06 訪問)

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タグ:秋田県
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コメント 2

knaito57

あれ、見たことあるぞ、この景色──このところ何度もそう感じたのも道理、私も去年この辺を周遊したのでした。 けさの朝日新聞に「秋田人変身プロジェクト」の記事がありました。県民性を変えて秋田の沈滞を突き破ろうというのですが、なんとなくアホらしくまた不快に思いました。秋田には秋田のよさがあることはいうまでもなく、人を十把一からげに見る発想が嫌いで、ましてそれを役人が言い出すとなるとカチンと来るんです。 「エデンの東」は名作の部類に入ると思います。ディーンは好きでないですが、高校生のころはそれなりに思い入れをもって見ていたんだなあと思い出しました。
by knaito57 (2007-10-12 07:19) 

dendenmushi

@knaito57さん、いつもコメントありがとうです。今回は、ちょっと岬めぐり茨城・福島方面に行っておりまして、遅くなりました。まだ、今回も積み残したところができてしまいましたので、茨城・福島にはもう一度行かないといけません。
 この頃はネットもできるホテルもあるし、パソコンも貸してくれるというところもあるので、その気があれば、旅先で書き込みをすることも、むずかしくはないのですが、ひきこもりブログのくせしてそこまですることなどなかろうと、割り切っております。
 そんな記事が合ったのですか。秋田がたとえ「沈滞」しているとしても、それは県民性などではないでしょうしね。
by dendenmushi (2007-10-16 07:45) 

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