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153 洲根子岬=檜山郡上ノ国町字大崎(北海道)白黒六角灯台の立つところ [岬めぐり]

 松前から走ってきたバスを降りたのは、大崎という集落の停留所である。「大崎」というのは、岬の名前としても多いが、ここでは大きな地図で見てもはっきりとわかる北の海に飛び出したこぶがあり、これ全体を大崎と称してきたようだ。ここは檜山支庁の上ノ国町である。
 この檜山支庁というのが、三方を渡島支庁という区画にぐるりと囲まれながら独立性を主張できているのは、もっぱら自然の地形による。600〜1000メートルの山々が、屏風のようにここ上ノ国や江差や乙部などを包み込んでいる。ややこしいのは、檜山支庁は飛び地になっていることで、北側にもうひとつのブロックがあるが、それはともかく…。

 バスを降りて、集落の間を抜け岬に向かう。別に名所旧跡でもなんでもない洲根子岬には、神社の祠と何かのアンテナ塔と白黒灯台が立っている。
 この灯台は、六角形というのがめずらしい。

 岬の先端は、切り立った崖になっており、まさしく海が波と風で絶え間なく陸地を削り取り、大地がそれにひたすら耐えてきたという、これぞ岬のひとつの典型が、わかりやすく示された場所であるといえる。
 大崎地区は、上ノ国町の西のはずれとはいえ、台地から海岸にかなりの戸数があるが、ここを岬まで行って、また戻って、大瀾の集落まで歩いて行く4キロ近くの間、走っている車はあるものの、人には誰一人として出合うことがなかった。時間も日暮れに近い。
 西に傾いてきた日差しのなかに、あらゆる気配をおしころしたような時が流れていく。

 この町の人口はここ5年くらい7000人を割り込んでいて、これは大正年間の水準と同じだ。その3分の1強は50〜60歳代である。もちろんこれは、帰ってきてから町のホームページで見たことであって、あらかじめ調べて行ったわけではない。
 ただ、大正といえば、まだ鰊で栄えた頃なので、その頃と同じといえば、変わっていないとも言えるが、昭和35年には14,600人を超えていたのだから、それから見れば半減しているわけで、やはりご多分に漏れず若者は町に残らないで、人口は減少し、年寄ばかりが残されるという、全国どこでもみられる同じ構図なのだ。
 町のホームページからあちこち見ていると、宅地分譲のページに行き当たった。これも、町の定住者を増やしたいということなのだろう。なんと、130坪弱で300万円を切っている。これならでんでんむしでも買えるのかなあ? でも、土地は安くても、家を建てるとなると東京と比べてそれほど安くなるわけではあるまい。
 う〜む。
 初めての土地を旅するとき、いろんな情報を調べまくったり、ガイドブックを丹念にめくったりして行く人が多いだろう。でんでんむしも、どちらかというと、かつてはそういうタイプだった。
 しかし、岬めぐりに少し集中するようになってからは、ほとんどなんの予備知識も持たず、ぶらりと出かけて、行き当たりばったり方式に切り替えている。帰ってきて、記録を整理するときに、情報を確認し補足する程度なのだ。
 とはいうものの、「電車とバスときどきタクシー」のでんでんむしの岬めぐりでは、電車やバスの時刻表だけはちゃんと調べておかなければ、困ったことになる。だから、それと地図であらかじめのコースと計画は綿密に計画し、宿もいちおうは予約しておかなければならない。
 それ以外は、ほぼ行き当たりばったりなので、帰ってきてから、「そうだったのか!」ということも多い。肝心のことを見逃してくることもまれにある。でも、岬さえめぐることができれば、それもまたそれでいいじゃないか、といういたってお気楽なスタイルに徹しようとしている。
 そんなわけで、このプランを立てるまで上ノ国という町があることさえ知らずにいて、ここへやってきてそれが「かみのくに」と読むことも初めて知った。
 洲根子岬を回って、228号線に戻り、さっきバスで通ってきた道を振り返ると、長い浜が続いていて、その向こうに松前との境をつくる山並みがそびえる。この淋しい岬で、なぜかここにだけこんな花壇が…。

▼国土地理院 「地理院地図」
41度48分9.21秒 140度4分15.70秒
153すねこみさき-53.jpg
dendenmushi.gif北海道地方(2007/06/25 訪問)

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タグ:北海道 灯台
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コメント 4

乗り鉄ついでの岬めぐり人

洲根子岬、行って来ました。
灯台・・・取り壊されてなくなってました。orz

by 乗り鉄ついでの岬めぐり人 (2010-05-06 09:57) 

dendenmushi

@乗り鉄さんですか。ええっ、灯台なくなってましたか。それはそれは。なんでだろう。灯台の必要がなくなったというのも、なんかよくわかんないですね。別に新しいのがほかにできたとか…?
 乗り鉄さんだと、連休を利用して、江差線に乗ってきたわけですね。でも、洲根子岬へは上ノ国からでも、かなり距離ありますよ。
 ご苦労さんでしたね。
 情報、ありがとうございました。
 
by dendenmushi (2010-05-06 10:14) 

乗り鉄ついでの岬めぐり人

函館に行ったついでに汐首岬へ、木古内に行ったついでに白神岬へ、江差に行ったついでに洲根子岬へ行って来た次第です。
乗り鉄のついでなので、公共交通機関を使ってというのが絶対条件です。それ故、こちらのブログは大変参考になっています。ありがとうございます。

さて、公共交通機関利用という同好の士がたくさん見ていることを期待しつつ、今回の旅行のスケージューリングで得た情報を。
dendenmushiさんがこの記事の際に利用されたバスですが、現在は江差方面からは小砂子まで、松前方面からは原口漁港前までとなっていて、両バス停間約4kmはバスがありません。


by 乗り鉄ついでの岬めぐり人 (2010-05-06 16:05) 

dendenmushi

@あ、なるほどね。乗り鉄ついで…なんで、そういうルートですか。そうですね、公共交通機関というのがおもしろいんですよね。同好の士がどのくらいいるんだろ。
 松前=江差のバスも、ついにちょんぎられてしまいましたか。いま、全国でバス路線がどんどんなくなっています。岬めぐりで歩いていると、いつも実感します。
 そうですか。でも、このブログは旅行のスケジューリングには、あまり参考にならないかも知れないですね。よくある旅行記にはしないつもりなので、時間や日程行程を細かくつけていません。
 それを、おまけで末尾にいれることも考えたのですが、これがすぐ変わってしまうので、かえって数字は入れないほうがいいという方針にしているのです。
 それでも参考にしていただいているとは、うれしいことです。
by dendenmushi (2010-05-06 16:31) 

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