150 白神岬=松前郡松前町字白神(北海道)ここが北海道最南端だよ〜 [岬めぐり]
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前に、九州は“人がか“ゆるやかな衣をまとって踊っているような形に見える”と書いたが、同じように四国は“ムササビが羽?を広げて飛んでいるようにも見える”わけで、ではこの理屈でいうと北海道はどうだろう。でんでんむしにはこどもの頃から、“ガンが大きく翼を広げながら首をかしげ、くちばしをいっぱいに開けて一声鳴いた姿”のように見えていた。
そのガンのくちばしの先っちょが白神岬で、ここがデッカイドー北海道の最南端の地である。
カモメだかウミネコだかよくわからないが、たくさんの鳥が飛び交う先の海峡は、青かった。天気はよく、青空が広がっているので期待したのだが、本州側はうす黒く雲がおおっていて、竜飛岬は見えなかった。ここから南東に19キロのところにあるはずなのに、やはりそういつも簡単におあつらえむきには見えないものらしい。
岬めぐり道南編の始まりの「141 立待岬」のところで、“津軽の山が見える”と書いていたのだが、あれは間違いだったらしい。ここへ来てみて、やっとその間違いに気がついたのだが、立待岬から見えていたのは、知内町と福島町の間の山だったようだ。
この岬では、海のそばぎりぎりを走る松前街道(国道228号線)が鋭角に向きを変えており、海岸にはごつごつした岩場が続く。道路の上はコンクリートの屋根がついていて、少し上ったところには、今一部で問題の“まことちゃん屋敷”のように、赤と白のだんだらシマシマ灯台が立っている。
突端の海沿いには駐車スペースが設けられていて、その一角には白い石造りの標識を兼ねた歌碑があり、白神出身の歌人の歌が刻まれている。それも海底トンネルがどうしたという歌だから、新しいものだ。地元の人で新しいトンネルを織り込んだ歌だから採用になったのか、それともさすがの与謝野晶子も野口雨情も大町桂月も、ここまではこなかったということなのだろうか。
ここから海底トンネルまでは海面の距離で6キロ以上は離れており、実際のトンネルは海底なのだから、それよりもっと離れているはずだ。はたして、歌にあるように「海底下の列車のひびき聞こえ来て白神岬にさざなみの列」というようなことがあるのかないのか、それを詮索しあげつらうのは野暮というものだろう。
海底トンネルは、北海道側は吉岡海底駅が実質的に入口になるが、ここでは一般には乗降できない。ここと木古内の間はほとんどトンネルで、車窓も見えないし、海岸を回る道路も途中で切れている。そして、この間に八つもの岬があるのだ。
最後まで足が届かず、見ることもできない岬は、このように数多くある。あれっ! こういう場合、伊能忠敬は船の上から測量したのだろうか。なんか読んだはずなのに忘れてしまった。
木古内からは、函館バスで山の中を走ってここまで来たのだが、途中には横綱の里とかいう施設もあった。北海道からはお相撲さんもたくさん出ている。モンゴルにも、こういうのができるのかな。このバスの中に、おもしろいものがあったので、写真に撮っておいた。なんと、非常食の缶詰を販売している。古くなりそうな備蓄品を入れ替えたいということなのか。
小一時間もこの岬で過ごして次のバスを待つあいだ、海岸を歩いていて、こんなものを見つけてしまった。ただビールの空き缶を投げ捨てたというのでもなく、数本の空き缶をまとめておいてある。
ちゃんと持って帰れよ! 周囲には集落も店も自動販売機もない。わざわざ車に積み込んで持ってきて、ここで酒盛りをして、空き缶を置いて帰ったのだとしか思えない。車でコロコロやってくるヤツにはロクなのがいないと、思わず八つ当たりしてしまうが、まったくひどいものだ。
免許を持たないでんでんむしは、かねてから免許の試験や授与基準が甘過ぎると思っている。ハンドルを握り車を運転できる人は、“ほぼ人格識見高潔と認められる人”か、“悪いことをしてはいけないという判断ができる常識人”に限るべきである。またしても極論を言うようだが、極論の中にこそ一面の真実と真理がある。
総理大臣が「美しい国」というと、反射的に「神州清潔の民」という戦前の標語が思い浮かんでしまうでんでんむしはもはや古い人間なのだろうが、こういうことは古いも新しいもない。
一時間に一本であれば、もうバスの便はいいほうだ。だが、この木古内と松前を結ぶ線も、いつも客はそう多くはないらしい。やっときたバスは、岬のカーブでもスピードを落とさず、あわや停留所で待っているのに置いて行かれるのかと思った。運転手も、まさかこんなところで乗ろうとする客などいるわけはない、と決めてかかっていて、降りる客がなければスイスイ通過するつもりだったのだろうか。
こんなところに置いて行かれては一大事だ。あわてて手を上げると、どうにか停留所を数メートル超えて停めてくれたが、やっぱり客はひとりだけなのだった。
北海道地方(2007/06/25訪問)
▼国土地理院 「地理院地図」
41度23分53.77秒 140度11分50.07秒
北海道地方(2007/06/25 訪問)
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