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146 恵山岬=函館市恵山岬町(北海道)トドもホッケも関係なくて椴法華 [岬めぐり]

 日本一長い無料送迎バス(と勝手に決め込んでいる)の終点は、亀田半島と函館市の最東端に位置する恵山岬であった。ここから真東にまっすぐ線を引くと、襟裳岬の数キロ沖をかすめて、北太平洋へ乗り出すことになる。高田屋嘉兵衛のような人々も、ここらを往来したのだ。
 恵山岬は、恵山(えさん)という600メートルほどの独立峰の端にあって、温泉が湧き出している。バスが岬に近づくと硫黄のにおいがもうあたりに立ちこめてくる。今夜の宿「ホテル恵風」(これは、“cape”の音のもじりも秘めているのだな、と想像する)は公共の温泉施設を併設していて、車でやってきたたくさんの客で賑わっている。近頃流行りの立寄り湯というやつである。

 最初、この岬めぐりを計画したときには、「椴法華」という字がすんなりと読めなかった。むずかしいことを想像していたのだが、インターネットで調べると「椴法華村のホームページ」があって、「とどほっけ」と読むこと、「村営の宿泊施設」もある、ということがわかった。それで予約したのがこのホテルで、つまりは公営の宿だったのだ。しかも「村営」というのはいいねえ。
 だが、椴法華村は3年前に函館市に併合合併されていた。村はもうなくなっていたのだが、この宿も別に函館市営になったわけでもなさそうで、第三セクター方式か何か、そのような方法で運営は続けられているらしい。
 「とどほっけ」これがまたおもしろい名なので、勝手に海獣のトドと魚のホッケがわんさかいるところなのかと想像していたのだが、もちろんそんなことはなく、どちらもまったく関係がない。「椴」はトドマツのトドだからだがそれも当て字に過ぎず、ここで獲れる魚はホッケではなくてタラ(鱈)だからである。当然アイヌ語からきている名で、意味はこれがなんと、「岬の端っこ」「岬の下」とかそういう意味らしい。でき過ぎた話である。

 岬の周辺はきれいに整備されていて、遊歩道や資料館や遊園地まである。白い灯台はそう背が高くはなく、そう大きくもない灯台には、ちょっとアンバランスな感じさえするものすごく力の入った岬の標識石が置かれている。ここが道立の自然公園になっているからなのだろう。
 周囲には松林もあり、斜面の草っぱらには、黄色い小さめの花をつけた細長い茎が無数に風に揺れなびいている。これは、立待岬にもたくさんあったし、このあたりには多いようだが、その名前を聞くのを忘れてきた。

 宿には立寄り湯とは別に、宿泊客専用に設けられた温泉もあって、これが桧風呂でなかなか気持ちの良い湯である。

 ここには海岸に降りたところにも温泉が湧いていてその名を「水無海浜温泉」という。何も設備がない代わりに無料で、誰がいつきても自由に入れる。人がいないであろう早朝を狙って行くが、やはり先客はいた。
 水無というのは、川がないということなのだろうか。海岸の二か所から温泉が湧いていて、潮が流れ込まないように岩でいちおうの仕切りはしてあるが、大潮や嵐のときなどは完全に呑み込まれていそうである。
 こういう野趣あふれる温泉に入るのは初めてだが、なかなか気持ちいい。しかし、こういうのもあくまでほかに人がいないか、いても少ないことが大前提だな。
 この温泉でいっしょになった人のなかに、夕食のときに見かけた気さくな団塊おじさんがいて、帰りは車に乗せてくれたので、坂道を登って汗をかかずにすんだ。この人は4WDを運転して、一人であちこち回っているらしい。ここもリピーターで、今日は五厘沢温泉まで行くという。わたしは、その手前の江差までは行くのです、やっぱり旅は一人気ままに限りますよ、じゃ白神岬辺りでまたお会いするかも知れませんね、などと可能性はゼロに近いお愛想を言いあいながら別れたが、この人の場合もどういう事情を抱えて、ひとり車を走らせているのだろう。

▼国土地理院 「地理院地図」
41度48分54.81秒 141度11分1.30秒
146けいざんみさき-46.jpg
dendenmushi.gif北海道地方(2007/06/24 訪問)

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タグ:北海道 灯台
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