143 汐首岬=函館市瀬田来町(北海道)本州に一番近い北海道 [岬めぐり]
そのほとんどが函館市となる亀田半島の、最南端にあたるのが、汐首岬である。
岬といっても、山が海のすぐそばまでせり出し、海岸に沿ったわずかな隙間を、恵山街道が大きくゆっくりとカーブするところである。ここが岬だあ、というような出ッパリポイントがないので、Mapionの地図などは、「汐首岬」という表記が縮尺によって別な場所二か所に分かれているほどである。
このバス停の名前は標識が斜め過ぎてよく読めないかも知れないが、「汐首灯台」と表示してある。そう、灯台があるのだ。灯台マニアではないので、また岬めぐり標準マップに指定しているMapionの地図も、なぜか灯台は表示していないので、つい忘れがちになる。汐首岬に近づくバスの中で気がついて、あわててシャッターを切ったが、間に合わんかった。
灯台下暗しで、バスからだと近づくともう見えない。
もうひとつ、ここには「本州へ最短距離の場所」というウリもあるにはあるのだが、看板と標識が狭い道路際に立っているだけで、バスではあっという間に通過してしまう。黒岩と同じくここも帰りの函館バスから狙ってみたが、風除けの壁が切れるところに立つ看板の文字が読めるようにはとても撮れなかった。でも、道がカーブしていて、ここが南端。雰囲気ありますね。
看板はともかく、ここから南に19キロのところに、確かに下北半島の大間崎がある。だが、それがいつも見えているわけでもない。沖に白い大きな船体が浮かんでいるのが見えるが、これは苫小牧辺りから出たフェリーだろう。海峡の西の、青函トンネルが通っているところは、白神岬と竜飛崎の間は21キロくらいはあるので、ここが明らかに本州にいちばん近いところなのだ。
一時期は、戸井と大間を結ぶ連絡船もあったということを、何かで読んだような気もするが、これは不確か。確かなのは、例によってここにもまた連絡橋を架けようという、不確かなプランを推進しようとする動きがあったことくらいだ。
しかしまた、考えてみればどんな大プロジェクトも、その初めは不確かなものである。
道路からすぐ屹立する崖の上に、まるでローマの水道橋のような、不思議な構造物がちらりと見える。
これがなんと、昭和11年に着工された「戸井線」という鉄道の遺構なのだ。この鉄道自体が戦争でそれどころでなくなり、途中で放棄された。しかも、戦後になってもこのプランを完成させようということにはならなかったので、「戸井線」計画全体が不確かな遺構になってしまった。
こんなものが、日本のこんなところに残っているなんて、想像もしなかった。
道路と海の間に少し隙間ができる場所では、いたるところでこんな光景が見られた。
さすが北海道。昆布を干しているのである。下が土では汚れるから、石ころを一面に敷き詰めてある。そして、風で飛んだり盗られたりしないようにであろう、上から鉄の枠や網がかぶせてある。昆布は貴重品なのだ。
▼国土地理院 「地理院地図」
41度42分41.04秒 140度57分56.54秒
北海道地方(2007/06/24 訪問)
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