124 鷲ヶ岬=賀茂郡南伊豆町石廊崎(静岡県)Mapionに苦言 [岬めぐり]
石廊崎のあたりも、高い崖が切り立って、ぎざぎざごつごつした岩の大きな塊が海に向かって張り出している。それが何本もあって、かろうじて残った陸地と攻めきれなかった海の接線が、幾重にも入り組んだひだをつくり、その間には細長い入江ができている。これもまた、いかにも岬らしい風景なのだが、石廊崎港はそうした岬に挟まれた細長い入江のひとつである。
その長さも、およそ1キロにも達しようかという入江は、そのまま港として使えるが、船が着けられるのは入江の最深部の人家がある奥まった一角だけだ。しかし、前に見たときより対岸の道沿いに船着き場が延びているように見える。いずれにしても、水域の幅も狭いので大きな船は出入りできない。なので、ここは小さな漁船や遊漁船、遊覧船の出入りする港で地図にもその名が記されてはいない。
この深くて長い入江をつくっているのも石廊崎なのだが、そもそも入江はふたつの岬なり陸地の出っ張りが必要で、漫才のように相方があるはずなのだ。石廊崎だけでは入江はできない。
というわけで、この港から海に向かって左手の峰が、海に落ち込んでいるその先端が鷲ヶ岬という。
だが、その岬の名を知る人はほとんどなく、気にする人もいない。ちょうど、漫才コンビの片方だけがスター・タレントになって、そうでない地味なほうの片割れが忘れ去られていくのと同じである。
港のそばには広い駐車場があって、石廊崎へ向かう細い道に沿って、土産物屋兼食堂のようなものが軒を連ねている。気の弱いでんでんむしは、こういうところを通るのが、実に苦手である。とくに、おばあさんやおばさんやおねえちゃんが声を掛けて客引きをしているような場合には、なおいっそうだめなのだ。
知らん顔をしてさっさと通り過ぎればいいようなもんだが、そうすることがなにやら申し訳ないような、気の毒なような、やましいような気になってしまう。それなら、なにか買ってあげればいいようなもんだが、あいにくとこういうところで売っているもので、ほしいものも買いたいものも必要なものも、いっさいないときている。たとえあったとしても、一軒の店だけで買うのは、ほかの店にも済まぬような気がするのだ。
だから、でんでんむしは観光地がきらいなのだ。
ところで、Mapionの地図。毎度お世話になっていますが、今日は苦言。
Mapionの8000分の1の地図でここをみると、バス路線の表示が136号線のところから入江に沿って灯台へ向かう道の中ほどまで延びている。そしてその先に「石廊崎港」というバス停の終点があるように表示されている。だが、これは大嘘である。地図にこのような表示があることは、大いに問題だ。
この道は細い遊歩道で、バスが入るような道ではない。「石廊崎港」のバス停は、港の側の広い駐車場にも入れてもらえないらしく、そこから少し歩いた先の集落の中にある。
しかも、ここへバスが来るのは日にほんの数回で、つまりバスもこの集落にとって必要度はたいして高くないのだろう。むしろ、狭い道に入ってこられては迷惑だとでもいうことなのか、だからいつもがら空きの広い駐車場にも入れてもらえず、ほとんどのバスは136号線のトンネルの側の信号前にある建物の下で発着している。
このバス停の建物にも土産物兼食堂のようなものがあって、さっそく腰の曲がったおばあさんが「いろいろおいしいものができますよ、どうぞ」と声をかけてくる。この店の直前がバス停なので、避けようもない。しかたがないので、たいして必要もない飲み物を買ってしまった。
34度36分20.33秒 138度50分49.01秒


ここには行ったことがあります。この港の近くの民家に大きなアロエがあって、たくさん花をつけていました。強風の日で、波しぶきが石廊崎の突端まで上がってきました。一帯にはトベラが繁っていました。岩場や潮風に耐えられる樹木なのでしょう。小さな船に乗って石廊崎を海側からも見上げました──私の岬体験は伊良子、竜飛とここだけなので、ちょっと自慢したくなりまして。
by knaito57 (2007-07-03 12:45)
@そうそう、knaito57さん、書いていなかったけれど、南伊豆はアロエの栽培をしているですよ。海のそばに段々畑をつくって、そこで栽培しています。
家の庭先などにも多いですね、確かに。
昨日は、スーパーで「アロエヨーグルト」を買ってきた。ヨーグルトはあまり好きじゃないのに、これはねえ、わりと好きなのです。
「いかにも岬」には笑っちゃいますけど。
by dendenmushi (2007-07-05 08:03)