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116 室崎=賀茂郡松崎町道部(静岡県)車に乗るという不自由 [岬めぐり]

 堂ケ島の辺りは、バスの車窓から眺めたたけだが、小規模ながらやはり西伊豆の顔らしく「観光地」の臭いをムンムンさせている。洋ランを見にくるおばさんのグループがうろうろしているし、マイカーを転がしてやってきた観光客がそこらにごろごろしている。旅館や土産物屋が並び、遊覧船の看板が幅を利かせている。

 温泉に入りにくるという以外では、こんなところにくるのは岩場の入り組んだ海岸線の景勝を楽しむため、というのもあろうが、そうであればこの一帯の旅館やホテルなどがなにもない景色のほうがはるかによいはずである。いわゆる観光地にいて落ち着かないのは、この突きつけられ矛盾が、どこにも納まりどころなく、むき出しになっているからなのだろう。
 松崎町も、観光という点では一生懸命なようだが、ここの温泉は山の中か海沿いは岩地・石部・雲見など南のほうにはずれている。そこで、町の中心部に観光の目玉として力を入れているらしいのが長八美術館というものであるらしい。三島からの特急バスも、ここまでやってくる。
 何を隠そう、でんでんむしの祖父は左官の頭領をしていたので、左官の技術に関心や理解がないわけではないが、白亜の巨大な美術館を目の当たりにすると、「長八さんもさぞかしびっくりしているんだろうな」と思ってしまう。ぞろぞろと人の群れを吸い込んでいる美術館からは、つい逃げるようにタクシーに飛び乗って先を急いでしまう。
 西伊豆も松崎まではバスの便もそれなりにあるのだが、ここから先がいよいよ“秘境”なので、バスを待っているわけにもいかないのだ。歩くかタクシーに乗るかしかない。運転手さんに「室崎と萩谷崎でちょっと止めてください」と頼んだら、「ここが室洞です」と止めてくれた。

 ところがそれが、どうも岬らしくない。地図を見せて確認をするが、どうも要領を得ない。室崎という岬は、松崎の町から南へいくつかのでこぼこを過ぎた辺り、地図ではかなり目立っているが、さほど地元の人にも意識されている場所ではないらしい。
 車に乗って走り回るときにみる景色やポイントと、てくてく歩きながらみる景色やポイントは、同じところを通ってもまったく違うのだが、この場合もそれに該当する。車で走ってきたが、はじめて通る道ではどのくらい走ってきたのか、どこに今いるのか、うまくつかめない。
 それに、伊豆半島は全体に海岸線が切り立っており、海岸線を走る道も、海のそばなどホンのわずかしかない。ほとんどは、海から遙か上の山の中腹辺りを通っている。そこから見ると、小さな岬などはなかなかわかりづらい。

 まあ、でも運転手さんがいうにはこの下には洞窟があって、それを室洞と呼んでいるということなので、どうやら当たらずといえども遠からず、このあたりの下が室崎なのであろう。
 タクシーといえども、しょせんは人の車に乗せてもらっているわけで、なかなか自由にはならない。ちょっと引き返してみたいと思っても、簡単にUターンできる場所がない。結局、まっいいかってんで「じゃ、次はこの萩谷崎へ」と地図を見せると、運転手さんは「あ、わかりました。海水浴場のところですね」という。
 そうか。普通「岬」というものは、よほどそのあたりのスポットでない限り、それ単独で認識されていることはないのだ。萩谷崎も、海水浴場のあるところというとらえかたでしかないのだ。

▼国土地理院 「地理院地図」
34度45分5.41秒 138度45分53.17秒
116むろざき-16.jpg
dendenmushi.gif東海地方(2007/06/07 訪問)

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タグ:静岡県
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