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099 八幡岬=いすみ市大原(千葉県)なんで夷隅(えびす)なの? [岬めぐり]

 御宿は岬がないのでパスして、大原で降りる。ここは、「なんでココだけ鉄道が…?」のようないすみ鉄道が分岐している。地方のローカル線が次々と廃線に追い込まれるなかで、しぶとく残ってほしいと、エールを送りたくなる。
 でも、今回は乗らないので、スイマセン。

 大原駅から、まっすぐ東へ海に出たところが八幡岬で、いつもなら歩いていける距離なのだが、陽も傾いてきているのでタクシーに乗る。車は港のそばの古い町並みの細い道をぎりぎりに走って、道が消えるところで止まった。降りたところの目の前に石段があり、鳥居がある。ここが“はだか祭り”が伝わる八幡神社なのだ。

 社殿の前に置いてある、人の背丈を優に越える錆びた碇は、漁師町の神社という主張をしているようだ。地図を見ると、この神社はそう大きくもない岬の真ん中にあって、ぐるりを周回できるはずだと歩き始めるが、すぐに通せんぼのロープに遮られてしまった。
 がけ崩れかなにかがあったのだろうか。予算が取れないで修復が遅れているのだろうか。いつからこの状態なのだろうか。すくなくとも、合併で大原町がいすみ市になる以前から、このままであるらしい。

 神社からは、北側の港のほうはわずかに展望できる。このずーっと向こうにみえるのが、太東崎なのだ。南側の景色は回れないのでまったく見えない。しかたがないので、神社の境内を降りて、若山牧水や誰やかやの碑などがあるところを抜けて岬の南側に回り込むと、そこには、小さいがきれいな形をした入り江があった。海岸は階段状のコンクリートで、なんとかあたりの景観を保っている。ここは、かつては文人墨客の周遊する場所でもあった。

 住宅地の下の広い空き地には歓声があって、中学生くらいのグループが、草野球をしている。これも、懐かしい景色だと思って見ていると、一人の子が打った打球がぐんぐん延びて、崖の薮の中に吸い込まれてしまった。見事なホームラン! だが、こういうときは決して喜べないし誇れない。ぎゃーぎゃーいいながら、みんなでボールを探しに薮をかき分けて行くと、人影が急に少なくなった広場には、夕日が長い影を落とし始めていた。
 これも、懐かしい景色である。

 駅に向かって歩き始めると、由緒あり気なお寺が見える。こんなところに浄土真宗のお寺があるとは…。それもめずらしい。そう思って、お参りすると寺伝や寺宝には親鸞上人に直接まつわるものまであるお寺だった。
 この大原を中心とする町は、「いすみ市」となった。「いすみ」はもともと「夷隅」であったはずだ。いまでも合併しなかった大多喜町や御宿町は「夷隅郡」というし、「夷隅川」もあるが、だんだんとそういう名前表示は減っているようだ。「夷隅」とは本来は“えびす”を表す文字であり、そういう名前が房総にも残っていたことも興味深い。
 もともと近畿の大和朝廷から見ると、東日本は全部えびすの国で、その範囲はいまのわれわれが思うよりずっと広範囲に及び、だからこそ朝廷は“東夷”の脅威から逃れられなかったのだろう。
 駅で千葉行きの電車を待っていると、ゴトゴトブワンブワンと音がして、菜の花色のいすみ鉄道の電車が隣の線路に入ってきた。

 もはや、“昔懐かしい横須賀線の色”といってもいい、外房線に乗って帰ってきたが、これをもって房総、いや千葉県の岬は全部終了。神奈川県も終わっているので、全岬踏破は二県になる。
 東京都は湾岸には岬はないけれど、伊豆諸島や小笠原まであるので、全踏破はとてもムリ。ほかの府県も遠くてムリなので、全岬踏破は目標ではありません。でも、東海と北関東は、できるかな?
 ちょうど、これで「099」。いや、99は「ちょうど」ではないのか。あと一岬で100岬。弁慶の心境ですじゃ。
 これからあとは、ぶらり気まぐれピンポイントつまみ食いに戻って、またぼつぼつばらばらいきますよぉ〜。

▼国土地理院 「地理院地図」
35度15分1.92秒 140度24分22.04秒
99はちまんみさきおおはら-99.jpg
dendenmushi.gif関東地方(2007/03/13 訪問)

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タグ:千葉県
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