062 長者ヶ崎=三浦郡葉山町下山口・横須賀市秋谷(神奈川県)その名の由来ももう忘れたが [岬めぐり]
昔、まだ大阪にいた頃、仕事の関係があった著者が葉山に住んでいると聞いた。“ええっ、御用邸のあるところじゃないか。東京の人間は随分遠くに住んでいるんだなあ”と思うとともに、その位置関係が初めてインプットされた、という記憶がある。その三浦半島の付け根に住むようになって、思いがけず葉山も近い存在となった。
逗子駅前からバスに乗って、長者ヶ崎に向かうと、なんか暮れも押し詰まっているのに、片側通行止めにして道路工事をやっている。岬の北側には小さな砂浜があって、夏は海水浴場になるが、その脇のかなり広い空き地にはマンションギャラリーの建物ができていて、工事の開始を待っているらしい。南の横須賀側の浜は、岩礁が隠れていて、遊泳禁止になっている。この浜も、昔と比べるとそうとうやせ細って、ほとんど砂浜がなくなっている。
富士山が西側の正面に見える海も、割となじみ深い。久留和から森戸の海岸にヨット(ボート)を置くようになってから、たまに帆走したり雑魚釣りにせいを出したりしていた菜島(名島)の周辺も懐かしいが、ここには“裕次郎灯台”なるものができているという。が、幸いそれができてからは行ったことがない。
岬は変わらぬように見えるが、周りも少しずつ変わっている。逗葉の道も何度となく往復していたが、この長者ヶ崎は葉山町と横須賀市の境にあたる。娘夫婦に招待されて、これも久しぶりにこの岬を見下ろすホテルでランチタイムを過ごした。
大きなガラス張りの、日差しがいっぱいに差し込むレストランの、久留和の海を望む窓際には、なにやらサインらしきものが彫り込まれた真鍮のパネルが背に取り付けられた椅子がある。これが20数年前のマイケル・ジャクソンが座ったという由緒ある椅子なのだ。
彼もまた、20数年も前の彼と現在の彼は、まったくの別人のように思える。
▼国土地理院 「地理院地図」
35度15分14.82秒 139度34分49.20秒関東地方(2006/12/29 再訪)
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