022 阿伏兎=福山市沼隈町大字能登原(広島県)鞆の浦周辺を回ったついでに準岬の形状をもつここも… [岬めぐり]
岬とはなんぞや、という見方や説明のしかたにもいろいろあるが、基本は「海に突き出した出っ張り」という地形的な特徴をいう。そのなかには、「岬」とも「崎」とも名前の付いていないものもたくさんある。これを含めるとさらに範囲が広くなって収拾がつかなくなってしまうので、これは岬めぐりの対象には原則としてしない。だが、これにも例外がある。いささか思い入れがあるところで目立つ場所は、岬という名前がなくてもコレクションに入れている。
たとえば、日本最南端の波照間もそうだし、この阿伏兎観音と鞆の浦もそうである。
昔、切手を集めていたこどもの頃、単色の国立公園切手のシリーズがあって、そのなかの瀬戸内海国立公園の一枚が、阿伏兎観音だった。鞆の浦の鯛の浜焼きは有名だったので、こんな鯛がとれるところとか、仙酔島という名前にもなんとなく仙人が酔っぱらっているのどかな情景を重ね合わせて、イメージを膨らませていた。
同じ広島県にいた時期があったのに、福山には降りたことがなかった。小学校の記念同窓会で50年ぶりに再会した人が、福山に住んでいることがわかって、やっと福山に降りる口実と機会を得た。
駅前のホテルに泊まると、窓の下に新幹線があり、その向こうに福山城が秀麗な姿を見せる。ここの藩主は阿部家で、幕末の難しい時期に老中の大役に巡り合うことになった阿部正弘のことが思い浮かぶ。「げに国家百年の大計は教育にあり」と藩邸を提供して日本で最初の小学校?として開校するが、その福山藩の藩校の名をとった誠之小学校を、散歩の途中で本郷の東大農学部の前の住宅街のなかに発見したときも、歴史の不思議を思ったものだった。
これまでは新幹線の窓から、通りすがりに見るだけだったお城にも行ったし、前から是非見たいと思っていた草戸千軒遺跡の展示をしている博物館にも行くことができた。
翌日は、小学校の同級生がそのご主人の運転する車で迎えに来てくれて、阿伏兎観音から鞆の浦、芦田川の辺りをぐるっと、効率良く案内してもらい、帰りも駅まで送ってもらった。ご親切には感謝しつつ甘えてしまった。
阿伏兎観音は立派な岬といってよい。断崖の上に立つ小さなお堂には、おっぱいがいっぱい!
朝鮮通信使の立ち寄り接待場所だった鞆の小さな町並みは古風で、ちょうど家々が伝来のひな人形を飾って、往来を行く人に見せるというまことに雅なうちにも鄙びた行事の最中だった。
34度21分57.74秒 133度20分47.53秒
中国地方(2003/03/12 訪問)
県人ならつとに承知のことでしょうが、新橋に「仙酔」という粋な店があり、売りはもちろんその名の酒と鮮魚でした。で思うのは、岬めぐりの先々で地酒を楽しむ──なんていう地酒めぐりも格好のテーマですね。内田百間の「阿呆列車」を連想しました。
by knaito57 (2006-11-06 10:14)
@kenta-okさん、knaito57さん。コメントありがとうございます。これまで、コメントの応接は本文でやるようにしていたのですが、それだけでもすまないので…。
世界を旅行しておられるkenta-okさん。おおわらいじゃなかった大洗は、駅で自転車を借りて回ったのですが、プールはどうでしたかね。北のほうにマリンパークとかいう施設があったので、あるいはそこかもしれませんね。
いつもコメントいただくknaito57さん。新橋にある仙酔?
それはもしかして「酔心」のことではないでしょうか。
「酔心」は備後の銘酒で、去年だったかそこでハモ料理をいただきました。
by dendenmushi (2006-11-06 11:04)