021 御座岬=志摩市志摩町御座(三重県)英虞湾の南湾口に大きく突出している岬は志摩半島の西端 [岬めぐり]
「岬めぐり」が趣味ですというと、よく聞かれるのが岬の定義であり、これまで行った岬の数である。数のほうは現在進行形で、その実績も数えたことがない。数えきれないほど多い、という意味ではなく、そもそも数えたり達成度を目標にするようなものとは考えていない。ただ、これまで行ったところも記録に残しておかないと、なにがなんだかわからなくなるので、これを始めている。
そういう意味では、近年多発する中高年の遭難の原因にもなっているという「百名山」のようなものとはまったく違うのであって、誰かが引いた路線をひたすらなぞるというのではない。あくまでも、地図を思い浮かべて自分で勝手に考え、ここへ行こうと勝手にふらふら出かける。遭難などして、人様に迷惑をかけることはないのもいい。
あくまで気まま気まぐれが基本だから、岬の定義もそう厳密ではない。いちおう地名として“○○岬”とか“○○崎”とかついているものが優先し、まずは日本全図のなかで目立っている日本列島を形作る特徴的な主だった岬を、順繰りに訪ねている。
日本中岬だらけなので、いったい分母がいくつあって、そのうちのどれくらい行ってるのか、そんなことはさっぱりわからないし、どうでもいいことなのだ。
志摩半島に、最初に行ったのは、昭和30年代の終わり頃で、賢島に泊まった。しかし、そのときの旅館が今でもあるのかどうか、その場所はどこだったのか、調べればそれもわかるのだろうが、さすがにそこまでの興味もない。合歓の郷にも二度ばかり行っているし、お伊勢さんや鳥羽にも人並みに行っているので、馴染みがあるところのようでもあるが、でこぼこしたそのフォルムと同じように、つかみどころがない。普通でこぼこしていれば、それがつかみどころになるのだが、ここではどこにもかしこにも、無数にある出っ張りや入江が、どこを見ても同じように見えて、奇妙な既視感に翻弄される。
賢島から小さな連絡船に乗り、和具まで行き、そこからまた半島の西端の御座岬まで行ったのは、冷たい雨に英虞湾が煙る日だった。真珠の養殖いかだが並ぶ湾内を和具の港に入ると、高いところを大きなアーチの橋が架かっている。260号線のバイパスができているらしい。工事はまだ完成していないようだが、この道も御座まで行くのだろう。御座はなにしろこの半島の行き止まりで、小さな港と白浜という海水浴場の海岸があるきりだ。さほどこんな道路が必要と思われるほどとは思えないというと地元の人には失礼にあたり、申し訳ないが、およそ公共事業の基本は必要ではなく工事をすることそのものが目的である。
例によってバスがめったに来ないし、雨は降るし、とてもこの先もっと歩いて行く気にはならなかったので、とりあえず終点の港まで行き、折り返しのバスで引き返してきた。
それでもOKなの? OKです! いいんです! だからあ、言ったでしょ。気まま気まぐれが基本だって…。必要ではなく、こうして行ってみることが目的なんです。
369 御座岬 2=志摩市志摩町御座(三重県)“70過ぎるとダメ”な理由
▼国土地理院 「地理院地図」
34度16分13.86秒 136度45分7.96秒
東海地方(2005/03/17 訪問)
コメント 0