005 越前岬=丹生郡越前町血ヶ平(福井県)生きる勇気が湧いてくる?ような屹立する岸壁が… [岬めぐり]
森昌子の歌う日本海は、常に暗く淋しい。だが、このときは快晴で波も穏やかだった。永平寺へ行く前にまず武生で電車を降り、そこからバスで越前海岸を回ったのは、水仙の季節からは大きく外れた頃で、バス停から灯台のある高台まで、曲がりくねった道を登って行く。人もほとんどいない。静かな岬だった。
越前岬は、まあるくずんぐりとしている。だが、大きな縮尺の地図で見ると、日本海に突き出している、ちゃんとはっきり目立つ岬である。北側の出っ張りである東尋坊とならぶようにして、目立っている。
まるで青い海のなかに染まるのを拒絶するようにして、屹立する岸壁を眺めていると、生きる勇気が湧いてくる、というのはいささか芝居じみている。だが、なんとなくしゃんとした気分にはなる。
そういう緊張感を高めるように、高い空を飛行機雲が音もなく線を引いていく。能登へ行ったときもそうだったが、ここいらは小松の基地をベースにした“北の空の守りの最前線”なのだろう。
越前ガニとやらを食べたいな、ということもあって、それらしい宿を予約していた。当時やっと一般的に広がり始めたインターネットで探してみたら、漁師宿の民宿でそんなのがあった。めずらしく思って聞いてみると、そこの娘さん二人がホームページをつくっていたのだという。その場所が、越前岬と九頭竜川の河口の間で北寄りに位置する鷹巣海岸であった。
松林を抜け海岸に出ると、そこは越前海岸の岩場とはまったく異なる砂浜で、なぜか見知らぬ海が、懐かしく思えるほど静かに広がっていた。
▼国土地理院 「地理院地図」
35度58分54.20秒 135度57分29.96秒
北越地方(2001/10 訪問)
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